東京を中心に闘いの輪を広げてきた地下プロレスが、埼玉で試合を行うのは今回が初。その影響もあり、地下世界を初体験する観客も数多かったが、鎖に囲まれた漆黒のリングで繰り広げられる、血しぶきが飛び散る闘いに、皆が魅了を通り越して戦慄を覚えていた。
地下を初体験といえば、“格闘浪漫乙女”華名とて同じ。
「本当に華名が、地下で試合をするのだろうか?」
「相手は男? もう一人女子の参戦があるのでは?」
「試合じゃなくて、Ishtaria(イシュタリア)と一緒にダンスを踊るのでは?」
…などなどと、彼女の9・12地下参戦がアナウンスされた当初から、ファン、そして選手たちの間でも“地下世界”は華名の話題で持ちきりとなった。特に現役地下世界王者・紅闘志也(くれない・としや)に至っては、
「女が上がれるほど地下のリングは甘くねえよ。逆さ吊りにしてやる!」
と、“ダーク梶原一騎ワールド”のキーワードを織り交ぜて憤怒。とにもかくにも、華名が日本地下プロレス初の女子選手として登場するインパクトは、かくも絶大だったのだ。
【第5試合 時間無制限一本勝負】
“超竜”高岩竜一 vs“格闘浪漫乙女”華名
注目の華名の試合は、この日のセミファイナル。先に入場した華名。リングで待ち受けるその視線の先には…超竜・高岩竜一! 他に入場してくる選手は誰もいない。華名が本当に、地下のリングで試合を行う。しかもそれが、高岩竜一とのシングルマッチなのだから! 主催するフランス地下組織・WUW(World Underground Wrestling)は、彼女にとんでもない試練を与えたものである。
試合は開始から、予想に反しオーソドックスなレスリングをじっくり魅せられる展開。体力差・体格差・性別差…、高岩は全局面で華名との圧倒的な“差”をこれでもかと見せつけつつ、じっくりと華名を拷問のようにいたぶる。嗚呼、華名はこのまま“ダーク梶原ワールド”の女たちのごとく、徹底的に痛めつけられ“陵辱”されてしまうのか…?
しかし華名にも、女子プロレスの革命児としての矜持がある。高岩のグラウンドに必死に対峙し、途中キレのよいキック、ヒザ十字、腕十字で高岩をロープブレイクに追い込む。気づけば、予想に反して(?)、試合は重厚なレスリングの応酬。好勝負となっている。
しかし試合はやはり、超竜の横綱相撲だった。チョップにストンピング、ラリアットと、打撃技を解禁した高岩は、華名をついに抱え上げ、デスバレーボム一閃! 動けない華名。レフェリーストップが告げられ、高岩が華名に地下のキツい洗礼を浴びせる形となった。
しかし「女子を超えた闘い、性別を超えた闘いをしたい」という華名の思いが観客に伝わったか、試合後、退場時の華名にこの日一番の拍手と歓声が送られる。“地下の住人”たちが華名を認めた瞬間だった。
○高岩(9分28秒 TKO)●華名 ※デスバレーボム
そして試合後、さらなるサプライズが起こった。
突如、試合後のバックステージに虎の仮面の男が現れ、華名に何やら書類を手渡したのだ。
この虎の仮面、今までCORE STADIUMに現れた“カナダのタイガーマスク”とも別人のようだ。
そしてなんと、この書類の正体は、「『地下日本女子王座決定戦』への出場権を認める」という“認定書”だったらしい…!
地下日本女子王座…我々はまたしても、聞き慣れない“地下を紐解くキーワード”に出くわしたようである。はたして、その“地下日本女子王座決定戦”とは、いつ実現するのか?
そしてこの“黒の虎仮面”(ブラックタイガー)とはいったい…。“梶原ロマン”がそのまま現出する地下世界において、やはりタイガーマスクは絶対に不可欠なキーパーソンなのだろうか。そして、カナダのタイガーにしろ、ブラックタイガーにしろ、なぜ地下の虎たちはフランス地下組織(WUW)のメッセンジャーとして常に現れるのか。
汲めども汲めども尽きぬ地下世界の謎。誰か教えてくれよ!
地下プロレス『EXIT』公式サイト
http://www7.plala.or.jp/EXIT/
梶原劇画で伝承された「地下プロレス」が、この日本に存在した! 闇の闘いを伝える『EXIT』とは何か!?
http://npn.co.jp/article/detail/97320773/
地下プロレスに現れたタイガーマスクの正体を…誰か教えてくれよ!
http://npn.co.jp/article/detail/90191041/
(山口敏太郎事務所)
参照 山口敏太郎公式ブログ「妖怪王」
http://blog.goo.ne.jp/youkaiou