20数年前にはキテレツな格好で踊り狂う“タケノコ族”がかっ歩したものだが、いまはずいぶんと力が抜けたハイセンスな若者が目立つ。地方のおしゃれ自慢の中高生が“東京の洗礼”を浴びるようなことも…ほとんどない。やはり数人、勘違いファッションリーダーはいる。中途半端なゴスロリ少女。どっちもどっちという化粧の派手な女子高生に「あの格好ウケるんだけど」と指を差されていた。悲しい場面だった。
いまも昔も竹下通りといえばクレープが有名だ。相変わらず甘ったるい匂いをまき散らしている。「キャベツ焼き」なるものが登場。1個250円。どんな食べ物だろうとわくわくしたが、キャベツたっぷりのお好み焼きだった。価格からして大人向けではない。女の子がクレープに夢中なら、腹を減らした男の子はキャベツ焼き…という狙いなのだろう。
一方、表参道口は現存する最古の木造駅舎がそびえる。明治神宮方面に歩くと、入口脇に2つ並ぶ公衆電話ボックスがしゃれている。
大社殿のような屋根があり「明治神宮電話室」と記されていた。言葉の趣からして、めったな所には電話をかけにくい雰囲気だ。10代の若者ならば親に「いまから帰ります」と告げる電話に限るような感じ。愛の告白なら「結婚を前提に付き合ってください」ぐらいのまじめさが求められそうだ。もっとも、携帯電話があるせいで若い利用客は目撃できなかった。