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米中貿易戦争は「レアアース争奪戦」の様相に

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提供:週刊実話

 レアアースとはIT分野の半導体チップの製造には欠かせない資源であり、自動車、軍需品に至るまで需要が豊富な資源だ。レアアースがなければ、スマホやハイブリッド車、通信機器ばかりか、人工衛星、ハイテク戦闘機の製造まで広範囲の分野で支障が出てくる。

 米中の貿易戦争はここに来て、この“レアアース戦”の様相を呈してきた。中国は米国の中国製品に対する追加関税に対し、米国からの輸入品600億ドル分の追加関税率を引き上げるが、対米輸出製品の1つ、レアアース(希土類)の輸出制限に乗り出す気配をちらつかせている。中国新華社通信によれば、米国はレアアースの78%を中国から輸入しているという。

 「中国共産党政権は、こうした米国側の弱点を知っているので、米中貿易戦争で米国の制裁に対する報復カードとしてレアアースの輸出制限という切り札をちらつかせているのです。ただし中国側は、これまでレアアース輸出制限を正式には表明していません。なぜならこれを実行すると、単に対米報復というだけではなく、世界経済の発展にも大きな影響が出て、中国側も無傷では済まなくなるからです」(国際ジャーナリスト)

 米国は80年代まではレアアースの最大輸出国だったが、安価な中国産の輸入を加速させたことで、価格競争に敗れた米国内工場は次々と閉鎖へと追い込まれていった。その結果、中国が世界最大のレアアース輸出国となったのだ。

 「米国防総省は、中国へのレアアース依存の偏在化に備えて備蓄を本格化させています。もちろん民需用ではなく、戦闘機などハイテク兵器システムに必要なレアアースです。ペンタゴン報告書では、埋蔵が豊富なアフリカのマラウイとブルンジ両共和国を開発候補としていますが、鉱山の開発と精製、運搬システムの構築には6〜7年は必要で、緊急に必要とされる現段階では、とても間に合いません。現在、西側の鉱山企業で中国資本や中国との合弁関係にないレアアース企業は、豪州のライナス社だけです。同社がにわかに多忙となった関係で、米テキサス州で、地元のレアアースの加工処理業者と合弁で精製工場を設立する計画です」(同・ジャーナリスト)

 とはいえ、米国がレアアース市場における中国の優位性に対抗するには何年もかかる。中国の高笑いが聞こえてくる。

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