『美少女戦士セーラームーン』の内容は「ごく普通の14歳の女の子・月野うさぎがセーラームーンに変身して、世界を守るために悪を倒す話」である。アラサー女子たちは幼少期、自分より少し年上の中学生の女の子たちがセーラー戦士となり、世界を救いながらも、恋愛や友情、オシャレも楽しんでいる姿を、食い入るように観ていたのだ。
そんなアラサー女子の生態を新しい切り口で分析した本が発売され、人気を博している。『セーラームーン世代の社会論』(すばる社リンゲージ)である。
本の中では、作品を見ていない人にもわかりやすいように、チュートリアルやアニメシリーズ年表、登場キャラクターの紹介も掲載されているので安心だ。セーラームーンが戦う敵、女性観や仲間、また女子の欲望や恋愛についてなどが、全六章にわたって展開されている本書。ここにはアラサー女子がどのようなものを見て、感じ、育って今に至るかが描かれている。また、「セーラームーン世代」の女子より少し年齢が上の「のび太系男子」との比較について書かれている点も面白い。どちらもドジでおっちょこちょいな主人公というのは似ているが、変身できる力をもらい、全力で戦うセーラームーン世代の女子と、ひみつ道具で完全サポートしてくれるドラえもんという存在が必要不可欠なのび太系男子は、その価値観や生き方が大きく違う。そして、古典的な少女向け作品にありがちな「主人公が白馬の王子様を待っている」のは、実はのび太系男子のほうなのだ、とある。
いかがだろうか。現在の職場における「セーラームーン世代」は、社会の中心部分にいる。仕事も恋愛も上手くやりたい、欲張りで少しワガママな彼女たちについて、幼少期からのバイブルであったセーラームーンを通して考えてみるのも、また面白いだろう。