「旧歌舞伎座は、大阪最後の興行師と言われた故・松尾國三氏が、1958年に建設した桃山建築風の大劇場でした。設計は昭和期に数々の名建築を手がけた故・村野藤吾氏。御堂筋に面したなんばの一等地に位置し、その堂々たる有り様は、長年、ミナミのランドマークとして親しまれてきました」(地元記者)
それだけに、解体にあたっては専門家や市民の間から反対運動が起こるなど、その跡地開発にも高い関心が集まっていた。
そんな中、この秋にオープンするのが、冠婚葬祭の大手「ベルコ」が初めて手がける本格的ホテルなのだ。しかし、その外観を巡って、またまた議論が噴出しているという。
「東京の歌舞伎座のように、下の部分は旧歌舞伎座を彷彿とさせるデザインで、上に高層ビルが積み上がった建築様式なんです。東京同様、下の部分は劇場として使うのかと思えば、建物全部がホテルで、劇場はない。旧歌舞伎座を知る役者や歌手たちからは、『どうせ同じ外観にするのなら劇場設備も入れてほしかった』とか『まるで安物の映画のセット』との嘆き節が聞こえているんです」(同)
旧歌舞伎座の関係者からすれば、「外国人観光客目当てで外観だけ利用するな!」という気持ちなのだろう。
周辺に軒を並べる飲食店の経営者たちも冷ややかだ。
「外観だけ同じでも中身が違うと、逆に客足が遠のくんやないか」(居酒屋店主)
「客層が変わるから、もうここらにはいてられへん」(ゲイ・バーのママ)
一方、「オリンピックや万博に来る観光客のいい受け皿になる」と歓迎する声もある。
賛否両論だが、確かに外国人観光客には大ウケしそうだ。