アメリカと北朝鮮の二度目の会談が不調に終わり、再び経済制裁の必要性を強調しているアメリカが、韓国を牽制する動きを見せたということだろう。
「米国は、北朝鮮への精製油などの供給を洋上で行う、いわゆる“瀬取り”の監視を強化している。米財務省が、その疑いのある船舶をリストアップし、公表しているのですが、そこに韓国の船を追加したのです」(韓国ウオッチャー)
これは何を意味するのか。
「韓国の文在寅大統領は、あくまで経済制裁の緩和が先で、北朝鮮の核放棄はその後というスタンス。しかし、先に罰則をなくして犯罪者を改心させようとするのと同じで、国際社会は誰も同調しない。当初、米国は北朝鮮との“仲裁者”の役割を、文大統領に担わせるつもりでしたが、今回の『疑惑の船舶』のブラックリスト入りで警告を発したとみるべきです」(同)
一方、リスクを承知ですり寄っている北朝鮮からも、最近の文大統領は冷たくあしらわれている。“金正恩直結の女”と呼ばれる崔善姫外務次官が、「米国との同盟下にある韓国は仲裁者ではありえない」と公言しているのだ。
「この発言の背景には、中国の思惑がある。東アジアにおける米国の影響力を弱めたい中国からすれば、どっちつかずの態度を続ける文大統領に対して、北朝鮮を使ってプレッシャーをかけ、米韓同盟をぐらつかせる狙いがあるのです」(国際ジャーナリスト)
その中国とも、米軍の『THAAD(高高度防衛ミサイル)』の配備をめぐる火種がくすぶっている。
「我が日本とも、韓国の国会議長による『天皇陛下への謝罪要求』や、『元徴用工への不当な判決』などで、日韓関係は戦後最悪。文大統領は韓国国内での支持率も低迷していますから、まさに四面楚歌ですよ」(同)
そんな文大統領は10日から訪米し、トランプ大統領と会談している。それを前に、在韓米軍駐留経費の引き上げを了承しているため、その場で「お前はクビだ!」とは言われないだろうが、綱渡りのような状況は当分続きそうだ。
アメリカは韓国に対して「信頼できない仲間」という微妙な見方をし始めているのは確かだ。日本、中国、ましてや北朝鮮にさえにもそっぽを向かれた文大統領は針の筵だ。