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トレンド 2009年04月06日 15時00分
高橋4丁目の居酒屋万歩計(2)「河金」(かわきん、とんかつ屋)
東京メトロ日比谷線、入谷駅から徒歩170歩 浅草に住んでいる友が3人いる。1人は観音堂裏。1人は竜泉。1人は入谷。この店は入谷が贔屓(ひいき)なのだそうだ。入谷はかつて育ち盛りの息子を伴い、食欲旺盛な一時期には週に2度ずつ河金に通ったという実績を誇っている。 男の子は、トンカツに飽きたとは言わない。入谷は、ビールに飽きたとは死んでも言わない。なるほど確かにここなら、息子の千切りキャベツをつまみながら、週2回でも3回でも入り浸れる。そんなわけなので、ご亭主やおかみさんと顔なじみであることはあたりきしゃりきであるのみならず、長年いる店の飼い猫もそれを承知のはずだというので観察していたら、人間は挨拶する動物だからまだしも、挨拶しない動物である猫にはしっかり無視されていた。入谷は、そういう人ではある。 匁(もんめ)というのはおぼろな記憶がある重さの単位で、メという言い方で、お使いに出された子供のころは、まだみんなの口の端に上っていた。河金のとんかつを有名にしたのが百メ(100匁)カツ。1匁が3.75グラムだから375グラムという分厚さになる。 河金二代目の河野清光さんが命名した大ヒット商品の由来は「ウチに出入りしてる肉屋がね、進駐軍に400グラムのステーキ用の切り身を納めてくれって言われたんだ。それじゃひとつ、敵に負けちゃいられないから、こっちはカツでいこうって、それで最初、始めたわけ。ほんとは375グラムなんだけど、それじゃゴロが悪いし、あとになって永(六輔)さんが尺貫法を唱え続けていたから、それで百メってしたんだ」(「大衆食堂」野沢一馬著・ちくま文庫)。 販売戦略のコツを心得ていらっしゃる。店の壁に貼られてある新聞記事によると、この店はカツカレーの元祖でもあって、名前を「河金丼」。この戦略も上手というしかない。 お客が騒々しく入ってきたくらいでは、毛ほどの動揺も見せないチャトラとクロの2匹の猫は、椅子に敷かれた客用の小座布団で午睡の最中。丸々と太って、それぞれ200メはありそう。トンカツを一度も食べたことはない、とは言わせないぞ。 ここまで来たら、せっかくですから「入谷キャラバン」というコーヒー店に寄りましょう。良い飲み屋の近くには、なぜか必ず良いコーヒー店が存在するという法則からすれば、近所に渋い飲み屋があるはずなのだが…。発言と行動を言動というが、その言動に信頼の置ける入谷に、こんど会ったら聞いてみよう。予算1800円東京都台東区入谷2-3-15
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トレンド 2009年04月06日 15時00分
高橋4丁目の居酒屋万歩計(1)「東京トンテキ」(豚ステーキ)
渋谷駅南口から徒歩180歩 「厚切り国産豚肩ロースに秘伝のソースと、とれたてラードをたっぷりかけた、今までにない豚ステーキ」がうたい文句。都内に支店を出さず、全国展開も計画なし。しばらくここ1軒でいくそうだが、その立地が秀逸というしかない。歩道橋を行き交う人の目と、ビル2階の店のガラス窓が同じ高さで、ニアミスせんばかりの距離なのだ。 中でナイフとフォーク握る客は満面の笑みだし、繁盛しているからスタッフも満面の笑みだし、外の歩道橋でお腹をすかせて右往左往している身には、たまったものではないだろう。青山通りと明治通りが交差する渋谷駅の東口に架かる陸橋から、この店の内部は丸見え。横断歩道橋から垣間見える大規模なオープンキッチン、にしてしまった。 名がていを表し過ぎる店内を、おっかなびっくり様子を伺う女性客には、女性シェフを厨房に2人配置して、飢えた狼どもの獰猛(どうもう)な食欲を満たすためだけのお店ではありませんよ、というメッセージを懸命に発信。店の名刺にただ一行、女性も歓迎、とこれも懸命。にもかかわらず、今夜も来たぞお、と唸(うな)り声をあげて狼が2匹突入してきた。 狼たちは、分厚い鉄板の上で湯気を渦巻き立たせているハンバーグステーキの塊に、目を細めている。目に、まず食べさせている。わっ、鉄板にかぶりついた。 このあたり一帯のランドマークだった、屋上のプラネタリウムが目印の東急文化会館の跡地を資材置き場にして、東急東横線と東京メトロ副都心線の相互乗り入れ工事が急ピッチで進んでいる。東横線は代官山、中目黒、自由が丘、田園調布などを擁(よう)する東急グループの中枢。想像に難くない電鉄社内での微妙な力関係に、火に油を注いで妄想を炎上させた古今亭駒次の創作落語「鉄道戦国絵巻」が面白い。 戦国時代、一武将に過ぎない東横線が主家である東急電鉄本社に反旗を翻し、相互乗り入れを画策して大国JRグループと手を結ぼうとする。東急電鉄が1強8弱の路線を持つことを知っている一部の東京人しか笑えない、当たり前だが関西では全く受けないらしいこの噺(はなし)の、東横線を迎え討たんとする主家の家老が“弱小池上線殿と弱小世田谷線殿は参戦の義に及ばず”と2人を諭す件(くだ)りで、わたしは悶死した。 トンテキ定食(1000円)到着。角のハイボールできゅーっと喉潤しをして、がぶりと200グラムの肉を犬歯で裂く。ウルフルズの「ガッツだぜ!」をBGMに、狼たちの仲間入り。予算1700円東京都渋谷区渋谷2-22-10タキザワビル2F
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スポーツ 2009年04月06日 15時00分
サッカー ACLガンバ大阪必勝態勢
3月11日から始まったアジアチャンピオンズリーグ(ACL)は7、8日に1次リーグ第3節を迎える。ここまで好調なのが昨季ACL王者のガンバ大阪。山東魯能、FCソウルに連勝し、勝ち点6を確保。今月のスリヴィジャヤとの2連戦に勝てば、早くも16強入り(各組上位2位以内)が見えてくる。名古屋と川崎は同4、鹿島は同3と混戦の最中にいる。今週はいずれも格下との対戦だけに、確実に勝利したい。それぞれの対戦に焦点を当てた。 目下F組の首位に立っているG大阪は8日、本拠地・万博記念講演陸上競技場に昨季インドネシア王者・スリヴィジャヤを迎える。スリヴィジャヤはFCソウルに2-4、山東魯能に0-5と負け、際立ったタレントも不在。G大阪にとっては組みしやすい相手といえる。 とはいえ、G大阪に不安要素がないわけではない。その1つが右ひざ負傷で長期離脱中の右サイドバック・加地亮の穴埋めだ。 西野監督は、日本代表の万能型選手・橋本英郎をこの位置に配置し、守りを落ち着かせようと考えた。だが、ボランチ・明神智和の故障もあって、橋本を中盤から動かせなくなり、苦肉の策として左サイドバック・安田理大を右に回した。これで3月のACL2戦は乗り切れたが、J1第3節の京都戦で弱点を思い切り突かれ苦杯を喫した。 しかし今回は、明神が復帰。橋本を右サイドに置くことが可能だ。安田も左にいた方が本来の攻撃力を発揮できる。最終ラインを統率する山口智も「今季は新戦力のパク・ドンヒョクも入り、守備陣の顔ぶれがガラリと入れ替わったことで、連係面にかなりの不安があった。でも、ハシ(橋本)が最終ラインに入ることで落ち着くと思う」と前向きだ。 守りが安定すれば、攻撃力にも勢いがつく。今季のG大阪には、昨季まで神戸で活躍していたレアンドロ、元韓国代表で清水でも活躍したチョ・ジェジンが加入。ルーカスとともに外国人トリオを形成している。 3人の得点能力の高さは誰もが認めるところ。ただ、西野監督は「レアンドロとルーカスが中に入ってしまうため、ジェジンと動きが重なって攻撃が連動しなくなることがある。G大阪のパスサッカーを貫きながら、彼らを機能させる術を考えないといけない」と悩ましげに話す。外国人トリオをいかに機能させるか、という問題点もある。 ブラジル人と韓国人では意思疎通がしにくい。パス出し役の遠藤保仁も3人をコントロールしきれない部分があるようだ。豪華な陣容を擁しても、多国籍軍で戦うのは難しい。この課題をクリアできれるかがカギだ。 スリヴィジャヤの本拠地・パレンバンは移動もしにくく、気候も環境も違う。21日のアウェーゲームはタフな戦いを強いられるだけに、今回は完勝してアドバンテージを得たい。 (サッカーライター・元川悦子)
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スポーツ 2009年04月06日 15時00分
サッカー ACL鹿島、名古屋、川崎を徹底分析
G組3位の鹿島は7日、敵地でシンガポール・アームド・フォーシズFCに挑む。 初戦の水原三星戦に大敗した鹿島だが、上海申花戦では、ルーキー・大迫勇也の大活躍で息を吹き返した。今回は同組最下位の相手だけに、確実に勝ちたい。気がかりなのはコンディション面。4日のJ1京都戦後にシンガポールへ飛ぶが、暑熱対策の時間が十分取れない。競技場も不慣れな人工芝。これに適応することが勝敗のカギになる。 E組2位の勝ち点4を確保する名古屋は7日、ニューカッスル・ジェッツをホームに迎える。 ニューカッスルは豪州Aリーグでダントツの最下位。だが豪州特有の高さ、強さを兼ね備えている。ACL初体験の名古屋には未知の世界。だからこそ手堅い試合運びが肝要だ。攻撃陣はダヴィが好調で1点は取れる。ゆえに守備をしっかり固める必要があるだろう。 H組でトップに立つ川崎は8日、敵地でセントラルコースト・マリナーズと対戦する。 この相手は目下Aリーグ4位。ACLでも強豪・浦項に引き分けており、実力は侮れない。川崎も鹿島同様、Jリーグの試合直後の長時間移動を強いられるだけに体調面が心配。関塚隆監督の目指す攻撃サッカーが十分に機能していないのも懸念材料だ。だが、これを乗り切らなければ16強は見えてこない。正念場だ。
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スポーツ 2009年04月06日 15時00分
新日本プロレス 棚橋弘至が世界最高峰エース襲名
新日本プロレスのIWGPヘビー級王者・棚橋弘至が5日、東京・両国国技館で2度目の防衛戦に臨み、元レスリング五輪金メダリストで、米TNAが誇る世界最高峰レスラーのカート・アングルを撃破。日米エース対決を制し、世界標準の実力を証明した。次期防衛戦は5・3福岡大会で行われる春のG1覇者・後藤洋央紀とのV3戦。絶対的エースの勢いが止まらない。 「俺の進化が止まんねぇ!」。世界屈指のレスリングエリートを学生プロレス出身のIWGP王者がねじ伏せた。 五輪金メダリストのテクニックに翻弄された序盤戦。グラウンドの攻防では歯が立たず、ロープエスケープするしかなかった。それでも強引にヘッドロックでアングルの弱点の首を絞めあげ、劣勢の局面を打開。さらにスリングブレイドで首を破壊しにかかった。 だが世界最高峰レスラーの牙城を崩すことはできない。息を吹き返したアングルから雪崩式の五輪ピックスラムで投げ飛ばされ、意識を失いかけた。防戦一方。アンクルロックで捕獲されて絶体絶命のピンチを迎えたが、この窮地を、体を入れ替え、テキサスクローバーホールドで切り返して嫌な流れを断ち切った。 スリングブレイドで反逆。試合の流れを引き寄せると、最後はハイフライフロー3連発で、世界最高峰レスラーから3カウントを奪い、15分11秒の熱戦に終止符を打った。試合後はマイクを握って「ヤバい。まだまだ進化している」と自画自賛だ。 絶対的エースとして威厳を示す勝ち星。日米エース対決を制し、自らの力で至宝流出も阻止した。「カートに勝って、きょう、俺が何者かってことがわかった。ハイフライフロー、フロムジャパン。これで世界一と言えるでしょう」と、世界レベルの実力を確信した。 「これからのタイトルマッチは相手がどうこうよりも俺が中心。100回以上防衛する」。5・3福岡大会で行われる春のG1覇者・後藤洋央紀とのV3戦に死角は見当たらない。
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スポーツ 2009年04月06日 15時00分
全日本プロレス 春の祭典チャンピオン・カーニバル波乱の幕開け
全日本プロレス春の祭典「2009チャンピオン・カーニバル(CC)」が5日、東京・後楽園ホールで開幕した。三冠ヘビー級王者の高山善廣、前年度覇者の諏訪魔がまさかの黒星スタート。優勝候補が相次いで不覚をとる波乱となった。 「気になるヤツはいない」。高山はそう言って武藤敬司との初対決に臨んだ。ドラゴンスクリューや低空ドロップキックからの足4の字固めなど執ようなまでヒザ攻めに大苦戦。最後は、この日3度目の足4の字固めを極められ、たまらずギブアップするしかなかった。 右足を引きずりながら、控え室に戻った高山は「やせ我慢してギブアップしてなかったら、全戦休場になってしまう…」と完敗を認めた。それでも「オフで気持ち切り替えて残りは全部きっちり勝つ」と巻き返しを誓った。 また、連覇を目指す諏訪魔は小島のラリアートにごう沈し、「連覇のプレッシャーにつまずいただけ。チクショウ!」。 その他のAブロック公式戦は、西村修が真田聖也を撃破。カズ・ハヤシがジョー・ドーリングを投げ捨て勝利した。 Bブロックでは、デビューわずか5カ月の浜亮太が、ゾディアックを相手に大金星。太陽ケアは鈴木みのると同門対決を制した。
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スポーツ 2009年04月06日 15時00分
“おあずけ”かおる姫でも人気は健在
姫、脱がず。バレーボールの元日本代表で、ビーチバレーに転向した“かおる姫”こと菅山かおる(30=WINDS)が5日、JBVサテライト平塚大会(湘南ひらつかビーチパーク)に前日に続いて参加し、2回戦で敗退。全身スパッツで水着にはならなかった。しかし、浅尾美和(23=エスワン)に続くニューヒロイン誕生とあって約150人ものファンが集まり、ビーチバレーブーム過熱を予感させた。 かおる姫はペアを組む溝江明香(18=産能大)と上下とも黒の防寒用スパッツを脱がないままプレー。ギャラリーからはため息がもれた。大会初日、菅山ペアは「寒いからスパッツをはいて試合したい」と大会側に申し入れたものの受け入れられず、“脱衣”を指示され、恥ずかしビキニデビューとなった経緯がある。今日も…と期待していたギャラリーは肩透かしを食った格好だ。 そんな喪失感が菅山らにも伝わったのかこの日は連係も悪く、梁川友紀(28)、浦田景子(31)ペアとの試合は13-21、19-21のストレート負けを喫した。 試合後、菅山は「経験と練習が足りない」と悔しさをかみしめた。 それでもかおる姫フィーバーは止まらない。試合後は選手控室に出待ちができ、写真集持参でサインをねだるファンも。嫌な顔一つせず対応したかおる姫だが、ギャラリーが一番望んでいたファンサービスはあと一枚脱いでくれることだったかもしれない。
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レジャー 2009年04月06日 15時00分
桜花賞(JpnI、阪神芝1600メートル、12日)丹下日出夫の虎の巻 ブエナビスタで頭は鉄板 焦点は2着争い
桜花賞を前にした1週前の水曜日(1日)。栗東DWの幅を目いっぱいに使った松田博厩舎独特の追い切りで、ブエナビスタはラスト1Fを11秒4をマーク。抜群の切れ味を誇示し、いざ本番を迎えようとしている。 “女ディープインパクト”にも例えられるブエナビスタに、もし死角があるとすれば、3歳牝馬にとっては不安定な春シーズン…発情(フケ)をはじめとする体調維持に課題も考えられたが、どうやらその心配も皆無といっていい。 もとより、新馬戦では3着に敗れたものの、絶対的能力の証明である「推定10秒8前後の超ハイラップ」を含む、上がり3F33秒5を計時。その瞬発力と破壊力を証明する形で、阪神JF→チューリップ賞を楽勝してみせた。 なんて、前回のチューリップ賞は、スローの上がり勝負。直線を向き、4〜5馬身前を行くサクラミモザとの距離に、「一瞬焦ってしまった」と、さすがのアンカツも苦笑い。ただ、前回は、あくまでトライアル。ポンとスタートを切ったにもかかわらず、シンガリまで下げたのは、外を回っても勝てる…本番前に、もう一度使える脚を確認すると同時に、アクシデントに巻き込まれることのないよう、安全策が第一だったのかもしれない。 「桜花賞も、普通に後ろから行って、大外を回ってきてくれればそれでいい」なんて、達観したかのような陣営のコメントも耳に届いているが、さすがに本番ともなると、これまでのような悠長な競馬はしてこない。4コーナー先頭も辞さない、力技で押し切る作戦をとってくる可能性も捨て切れない。 同馬が力任せに直線先頭の積極策を選ぶようなら、確たる持ち時計のない一本調子のスピードタイプの逃げ・先行馬は、ゴッソリと排除。最後に2着争いに加わってくるのは、直線に「坂」のあるコースや、マイル以上の距離に良績のあるタフな底力型ということになる。 まず考えられのは、阪神JF2着を含め、<2300>のパーフェクト連対を誇るダノンベルベールの実績と地力だろうか。 ただ、前走のクイーンCはデビュー以来、2番目に軽い452キロでの出走。となると、これ以上の上積みは期待できそうにない。他馬にも付け入る余地は十分あるはずだ。もっとも、ブエナが突出した桜花賞。連下は力量拮抗、2番手以下の序列は大胆に組み上げた方が面白い。 対抗の1番手にはレッドディザイアを抜擢。新馬勝ちは、牡馬混合の芝1800メートルを上がり3F34秒2で快勝。次走のエルフィンSも、メンバー中最速の同34秒2の末脚を駆使した。そのポテンシャルと将来性を買って、第2の馬の筆頭として注目したい。 ほかでは、アネモネSをパワフルな差し脚で突破してきたツーデイズノーチス、この中間、栗東坂路で800メートル49秒台とハードに攻めてきたジェルミナル、フィリーズレビューの芝1400メートル1分22秒4が光るワンカラットが銀メダル候補。また、道悪限定でアイアムカミノマゴの一発にも注意したい。
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レジャー 2009年04月06日 15時00分
桜花賞(JpnI、阪神芝1600メートル、12日)急上昇ダノンベルベールが打倒ブエナに意欲
強大な壁を打ち倒すため、やるべきことはすべてやった。牝馬クラシックの第1弾「第69回桜花賞」(GI、芝1600メートル、12日)。今年は2歳女王ブエナビスタで断然ムードだが、それに待ったをかけるとすればやはり東のナンバーワン・ダノンベルベールだろう。昨暮れ以来、2度目の栗東留学で仕上げは万全。阪神JF(2着)は完膚なきまでに敗れたが、その後のパワーアップが著しいだけに、逆転の目は残されている。 勝負はゲタを履くまで分からないとは使い古された言い回しだが、人の勝負以上に競馬の世界では番狂わせがたびたび起きる。桜花賞はなおさらだ。成長期に加え、フケ(発情)など、この時期の牝馬は体調管理がとにかく難しい。現実に、力通りに決まらないケースが過去に何度もあった。 「1頭強いのがいるけど、何が起こるか分からないのが競馬。ベストを尽くしていればチャンスがめぐってくるかもしれない」 希望を捨てず、国枝調教師もダノンベルベールを鍛え上げてきた。 昨暮れ、阪神JFで女王ブエナビスタと初対決。2着で格好はつけたものの、ブエナには決定的ともいえる差をつけられた。女王は前哨戦のチューリップ賞も完勝。付け入るスキはまったくなさそうだが、「ベルベールを毎日見ていると、今ならひょっとして…と夢を見させてくれる」。それほど充実しているという。 「馬体の張りやカイバ食いなど1週間じっくり見てきたけど、グングン良くなっている。不安はまったく見当たらない」 昨暮れに続く2度目の「栗東留学」。前回は環境の変化に順応するまで時間がかかったというが、学習能力の高さも走る馬の大切な条件。「今回は慣れるのが早かった。落ち着きがあって、本当に気配はいい」とうなずいた。 1日に栗東坂路で行われた1週前追い切りも抜群の瞬発力だった。800メートル51秒7、ラスト1F13秒0。この時期の牝馬としては格段の速さだ。「何より3歳牝馬とは思えないほど、しっかり調教できているのがいい。普通なら体調の変化を考慮して加減してしまうものなんだけどね」 ブエナビスタの松田博調教師は言った。「うちの馬はもうこのままでいい。普通でいいんだ」と。チューリップ賞の強さなら確かにそれもうなずけたが、今のベルベールの勢いを見ると油断は禁物と警鐘を鳴らしたくなる。 「昨年、秋華賞で関東馬ブラックエンブレムが栗東滞在で結果を出した。特に阪神競馬場の関東馬房は騒がしい場所だから、関西馬と同じ馬房を使える栗東滞在はより効果が大きい。とにかく悔いは残したくなかった」 守りに入らず、攻め抜いた。追う者の強みを最大限生かした仕上げが、乱れ桜を演出するか。
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レジャー 2009年04月06日 15時00分
ダービー卿CT(GIII、中山芝1600メートル、5日)最強の1勝馬返上!? タケミカヅチが重賞初制覇
満開の桜の季節に大器晩成のタケミカヅチがついに、大輪の花を咲かせた。安田記念のステップレース「第41回ダービー卿CT」(GIII、芝1600メートル)は、5日の中山メーンに行われ、1番人気のタケミカヅチ(牡4歳、美浦・大江原厩舎)が、5番手から力強く抜け出し優勝。悲願の初重賞制覇を飾った。勝ちタイムは1分33秒7(良)。 それにしても、2勝目を挙げるまで何と時間を要したことか。一昨年の夏の新潟で新馬勝ち以来、ここまで泥沼の13連敗中だった。皐月賞2着(2008年)の肩書も色あせかけ、口さがないファンからは「フロックだった」と揶揄(やゆ)されていた。 そんな逆風にもジッと耐え、この日がくるのを信じていたタケミカヅチについに競馬の神様が降りてきたのだ。コンビの柴田善騎手は、次のようにレースを振り返った。 「ズブくなっているので(指示通り)いつもより前に行き、思い通りの位置が取れました。直線はちょっと窮屈な場面があったけど、道中、脚をためられたので差し切れると信じてました」とは心憎い。 薄氷を踏むクビ差の勝利をモノにできたのも、眠っていたマイラーの素質が一気に開花した証しといえる。厩舎開業14年目で重賞トレーナーの仲間入りを果たした大江原調教師は、「まだ伸びしろのある4歳馬だし、次は安田記念を目指します」と明言。期待に胸を膨らませていた。
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