スポーツ
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スポーツ 2020年02月03日 17時00分
「腕に縫い目がついた」西武・松坂、人生最悪のピッチャーライナーを明かす アテネ五輪のアクシデントに「怖すぎる」の声
西武・松坂大輔が、2日午後7時ごろにアップされた元横浜・高木豊氏のユーチューブ動画にゲスト出演。高木氏と共に2004年アテネ五輪予選リーグ第3戦・キューバ戦での投球について振り返った。 同大会最大のライバルと目されたキューバ相手に先発した当時プロ6年目・23歳の松坂。「4-0」と4点リードで迎えた4回裏、相手打者の打球が利き腕である右腕に直撃するアクシデントに襲われたが、そのまま続投し「8.1回7安打3失点・7奪三振」と快投している。 アテネ五輪の野球日本代表で内野守備・走塁コーチを務めていた高木氏は、アクシデント直後の状況について「(当たった衝撃で腕に)縫い目がついてるの。(各球団から選手を)預かっている身もあるから俺たち(コーチ陣)も心配で。(でも)『まだ握力がしっかりしてるから行きます』って言うから『いや、大丈夫か!?』って(思った)」と、ベンチが動揺する中、松坂は続投を強く志願したことを告白。 高木氏の言葉を受けた松坂は「あれはたぶん、野球人生で食らったライナーの中で一番強烈だったと思います」と、プロ22年目・39歳となった現在でもキューバ戦のライナーが野球人生で最悪のライナーであったと告白。 また、それでも投球を続けることができた理由に関しては「アドレナリンもあったと思いますね」と、気持ちの高ぶりが痛みを和らげてくれたのではないかと推測した。 「(松坂は)『感覚がおかしくなるから、スプレーはやらないでくれ』って言って、そのままマウンド行ったの」と、松坂が患部へのコールドスプレーを拒否していたことも明かした高木氏。これを受けた松坂は、「特に処置はしないでそのまま投げて。(でも)やっぱり終盤はちょっと怪しかったですけどね、握力は」と述べていた。 今回の動画を受け、ネット上のファンからは「球の縫い目がつくほどの衝撃って怖すぎる、よく骨折とかしなかったな」、「当時テレビで観ててこれは降板だって思ったけど、本人は逆に闘争心に火がついてたのか」、「手負いの状態で続投したのに、何事も無かったかのように抑えたのはさすがとしか言いようがない」といった反応が寄せられている。 続投した松坂は8回まで無失点を続けるも、9回に3点を奪われたことで完投・完封はならず。ただ、後を受けた石井弘寿(当時ヤクルト)がこれ以上の失点は許さず「6-3」で試合を締め、五輪では初めてキューバ相手に勝利を収める結果になった。 なお、患部の負傷が打撲にとどまったこともあり、松坂はその後準決勝のオーストラリア戦にも先発。チームは「0-1」で惜敗したものの、松坂は「7.2回5安打1失点・13奪三振」とアクシデントの影響を感じさせない好投を披露している。 今回の松坂の動画出演は、高木氏が現地で直接約束を取り付けたことで実現したものと思われる。高木氏は1日から始まったプロ野球春季キャンプに合わせ、同日から西武を含め5球団がキャンプを行う宮崎県を訪れているが、2日午後5時30分頃にアップされた動画では西武のブルペンを視察中に「次はちょっと松坂を探しに行こうか」と口にしていた。 今オフ14年ぶりに古巣西武に復帰し、多くのプロ野球ファンの注目を集めている松坂。その松坂をゲストに迎え16年前の裏話が明かされた今回の高木氏の動画は、ファンにとってもうれしい対談動画となったようだ。文 / 柴田雅人記事内の引用について高木豊氏の公式ユーチューブチャンネルよりhttps://www.youtube.com/channel/UCgr5CkgytiVfdnk4C0M42nQ
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スポーツ 2020年02月03日 12時10分
張本勲氏「キャンプで目立つ選手は活躍できない」と持論も物議 「結果を出している選手も」反論も
2日放送の『サンデーモーニング』(TBS系)で、張本勲氏がプロ野球選手の自主トレーニング、キャンプについて独自の見解を示し、物議を醸すシーンがあった。 番組では、プロ野球各球団の春季キャンプを取り上げ。日本ハム・中田翔や西武・森友哉が金髪でキャンプに臨んでいることが紹介される。 さらに、今季何かと注目されることが予想される「令和の怪物」こと千葉ロッテマリーンズ・佐々木郎希(大船渡高校)についても、カメラマンや報道陣でごった返す中、「厚底シューズ」を履き長距離走に励む様子が放送された。 また、「平成の怪物」で、今季埼玉西武ライオンズに復帰した松坂大輔も「西武キャンプは松坂一色」と取り上げる。この様子を見た張本氏は「プロ野球選手は自主トレとキャンプで目立つ選手は活躍できない傾向がある」と持論を展開。 関口宏が「あ?目立っちゃいかん?キャンプで。へー」と少々不満そうな声を上げると、張本氏は「そうそうそう、やっぱり面白いから記事になるんだけど、やっぱりスポーツ選手は内容だから、数字だから。キャンプで1年の計が決まるから、しっかり練習してもらいたいわね」とコメントした。 このコメントに、「取り上げているのはメディア。選手は頼んで見てもらっているわけじゃない。的外れだ」「そんなことはない。多くの人に注目されるためにはアピールも必要だし、結果を出している選手もいる」「今は野球だけをやっていればいい時代じゃない」「キャンプだけで1年が決まるとは思えない」とツッコミや反論が相次ぐ。 一方で、「一理ある。キャンプはしっかり打ち込んだ選手が結果を出す」「ふざけている練習はやっぱりだめだと思う」などと、意見を支持する声もあった。 佐々木のように、キャンプ期間中自分の意図しないところで一挙手一投足注目を浴び、ストレスを感じる選手は多く、日本ハム・斎藤佑樹のように戸惑い、結果を出せない選手もいる。 一方で、松井秀喜氏や大谷翔平など、注目されてもしっかりと結果を出す野球選手が大勢いることも事実。そのようなこともあり、目立った選手を活躍できないと一緒くたに結論づけてしまうことを暴論と感じた人が多かった。
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スポーツ 2020年02月03日 11時47分
巨人・菅野、”変則モーション”に手応えアリ? 九州で模索した新フォーム、女房役も絶賛する投球面の変化とは
原巨人は例年以上に短いこのキャンプで、先発ローテーションを再編成できるのか…。キャンプ2日目、エース・菅野智之がブルペンに入った。約30球、キャッチャーを座らせ、時折、変化球も混ぜるなど、気合の入った投球練習だった。早めの調整ができていた。そして、「新投球フォーム」の手応えも十分に感じていたようだった。 「菅野の隣で、新外国人投手のビエイラが投げていました。けっこう速いボールを投げていました。球団スタッフが測定したところでは150キロを超えていたそうです。前評判通りの剛速球投手だということは分かりましたが」 ライバル球団のスコアラーがそう評していた。 このビエイラは手薄な中継ぎ投手陣を補うために獲得された。しかし、メジャー通算1312安打のパーラ、原辰徳監督の期待も大きい右腕・サンチェス、先発ローテーション入りの実績を持つメルセデス、クローザーが予定されているデラロサもいる。「一軍に残れるのかなあ?」という立ち位置である。 菅野の次に一軍登録も厳しい外国人投手が目立つようでは、やはり、今季の巨人投手陣は「厳しい」と言わざるを得ない。 また、菅野の「新投球フォーム」だが、一部報道によれば、ブルペン投球のボールを受けた小林誠司捕手が「鋭角になったカーブの軌道」を称賛していた。しかし、昨季の菅野の不振は、直球の威力が落ちたことにある。その原因は長年の勤続疲労とされており、「新フォーム=剛速球の復活」となるかどうかは、オープン戦が始まるまでは分からない。 菅野に関して、こんな評価も聞かれた。 「左肩の開きがなくなったので、成果は期待できると思う」(プロ野球解説者) 新フォームは“変則モーション”と言っていい。下半身が制止したまま、上半身の腕だけを動かす。右手をグラブの中に入れ、前に出す。その両腕を胸のところに戻してから、左足を上げる。チーム関係者によれば、オフの間、九州のスポーツトレーニングの専門家を訪ね、菅野の体に適した動き方をいっしょに模索し、この新フォームに辿り着いたという。野茂英雄氏のトルネード投法、振りかぶった左足を胸まで上げるノーラン・ライアン元投手のように、野球少年がマネしたくなるようなカッコ良さはない。 しかし、小林捕手の「カーブが良くなった」というコメントに、敏感に反応する者もいた。メジャーリーグのスカウトだ。 「メジャーリーグではカーブが見直されています。打者のタイミングを外す緩急のカーブ、鋭角に曲がっていき、空振りを取るカープなど様々ですが、メジャーリーグで一流と称されるピッチャーは、みんなカーブを得意としています」(ア・リーグ中部地区スカウト) 菅野も今オフのメジャーリーグ挑戦がウワサされている。同スカウトによれば、カーブを武器にしつつある新しい菅野を「再調査しなければならない」と話していた。 巨人の弱点は、先発投手のコマ不足だ。メジャースカウトの評価を上方修正させることができればいいのだが…。連覇のカギは菅野の復活に掛かっている。(スポーツライター・飯山満)
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スポーツ 2020年02月03日 11時00分
オカダ・カズチカ「アントニオ猪木!」激闘後、創業者の名を叫ぶ
新日本プロレス「THE NEW BEGINNING in SAPPORO ~雪の札幌2連戦〜』▽2日 北海道・北海道立総合体育センター北海きたえーる 観衆5,690人“何かが起こる雪の札幌” これは昭和、平成を経て令和にも受け継がれるかと思われたが、この2連戦でいわゆる事件は起こらなかった。 そんな中、最も事件を起こしそうな男、タイチがオカダ・カズチカを相手に、地元、北海道でその実力を開花させた。前日に行われた前哨戦でタイチは、オカダを花道で急襲し、ブラックメフィストを見舞い、首に大きなダメージを与えることに成功。オカダは首のあたりにテーピングを施してリングに上がった。試合では、タイチの首攻めに苦しめられるオカダ。12年ぶり2度目のシングル対決は一進一退の大激戦となった。レインメーカーになってからはシングル初対決だが、タイチは「2連勝を狙う」と公言していた。 放送席の金丸義信を試合に介入させたり、レフェリーの隙を突いて急所攻撃を見舞うなど、勝利への執着を見せて、イーブンだった会場のコールが、完全に大タイチコールに。しかし、オカダの強さは底知れなかった。最後は旋回式のツームストンパイルドライバーから、レインメーカーでカウント3。30分を超える大激戦に終止符を打った。試合後、オカダはマイクを掴むと、「タイチは帰れ」コールをして、場内の「レッツゴータイチ」を煽り、オカダなりのやり方でエールを送った。 「タイチさんなまら強かったです」と改めてタイチの強さを認めると、「北海道巡業が決まりました。楽しみですね!」とファンに呼びかける。そして… 「札幌大会、何も起こらなかったので、俺が今、気になってる人のことを言わせてください!アントニオ猪木ーーー!!というわけで、またお会いしましょう」 なんと、オカダの口から新日本プロレス創業者であるアントニオ猪木氏の名が。猪木氏と言えば、先月6日の東京・大田区総合体育館大会で行われた獣神サンダー・ライガー引退セレモニーに、ビデオメッセージという形ながら、14年ぶりに新日本マットに登場している。昨年から猪木氏は、これまでなら“あり得なかった”行動力を発揮しており、この発言が今後どのような形で繋がっていくのか注目されるところ。 バックステージでオカダはこの件については一切触れなかったが、「今ベルトがないんでね。好き放題やらせてもらいますよ」と発言。オカダは「プロレス夢のオールスター戦」の実現もぶち上げているだけに、無冠になってもまだまだ見逃せない。(どら増田)
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スポーツ 2020年02月02日 17時30分
一昨年にタイトルを獲得した選手も 球団消滅から約15年、時の流れに抗う近鉄戦士たち
1949年から2004年まで、複数回の名称変更を経ながらパ・リーグで活動を続けていた大阪近鉄バファローズ。「いてまえ打線」と呼ばれた強力打線で多くのファンを魅了した球団だったが、同じパ・リーグのオリックス・ブルーウェーブと合併し2004年をもってその歴史に幕を閉じた。 球団消滅から約15年が過ぎ、ほとんどの選手が現役を引退した“近鉄戦士”たち。現在、球界で生き残っている該当選手は、ヤクルト・坂口智隆、近藤一樹、巨人・岩隈久志の3名のみとなっている。 2002年のドラフトで1位指名を受け入団した36歳の坂口は、翌2003年に1軍デビューしプロ初ヒットもマーク。同年はこのデビュー戦1試合のみ、近鉄最終年となる翌2004年も7試合の出場にとどまったが、球団消滅後に移籍したオリックスでは11年間で936試合に出場している。 その後2016年からプレーするヤクルトでは、昨シーズンまでの4年間で438試合に出場している坂口。昨シーズンは開幕直後に受けた死球の影響で「22試合・.125・0本・2打点・8安打」と不振に苦しんだため、今シーズンは逆襲を期すシーズンとなるだろう。 2001年のドラフトで7位指名を受けて入団した36歳の近藤は、プロ2年目の2003年に一軍デビューすると、2004年には11試合に登板しプロ初勝利を記録。その後2005年から所属したオリックスでは、2016年7月にトレードでヤクルトに移籍するまで120試合に登板した。 トレード先のヤクルトでは、昨シーズンまでで既にオリックス時代を上回る195試合に登板し、2018年には最優秀中継ぎ投手(35ホールド)のタイトルを獲得するなど活躍を見せている近藤。今シーズンも中継ぎ陣の一角として、一軍の試合でフル回転することが濃厚だ。 1999年のドラフト5位で入団した38歳の岩隈は、プロ2年目の2001年から先発として頭角を現すと、2004年に最多勝(15勝)、最高勝率(.882/当時の名称は最優秀投手)の2冠を獲得。その後2005年から2011年までプレーした楽天では、7年で65勝をマークした。中でも強烈なインパクトを残したのが「28試合・21勝4敗・防御率1.87」といった数字を残した2008年で、同年は最多勝、最高勝率(.840)、最優秀防御率の投手3冠に加え、沢村賞やリーグMVPまで手中に収めている。 2012年から2018年(2018年はマイナー)まで所属したマリナーズでも、7年間で63勝をマークした岩隈。しかし、巨人に移籍した昨シーズンは2017年に手術を受けた右肩の調子が上がらず、一軍での勝利どころか登板もゼロという苦しい結果に。残留こそしたものの、2年連続の不振なら去就が不透明になることも予想される。 全員が30代後半と、いつガタが来てもおかしくない年齢に突入している近鉄戦士たち。今シーズンが3年契約の2年目である坂口、単年契約ながら年俸がアップした近藤はともかく、岩隈に関しては“今シーズンダメなら引退、もしくは戦力外”という見方もされているが、果たしてこの3名の2020年はどのようなシーズンとなるのだろうか。文 / 柴田雅人
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スポーツ 2020年02月02日 11時30分
38年ぶり出現の「横綱大関」、前回の経緯は波乱万丈? 千代の富士、北の湖ら往年の大横綱も巻き添えに
平幕徳勝龍が20年ぶりの幕尻優勝を果たす一方で、大関豪栄道が関脇に陥落した大相撲初場所。豪栄道はその後27日に現役引退を決断することになるが、関脇への陥落決定直後から各メディアでちらほらと取り上げられ始めた言葉がある。それが「横綱大関」だ。 「横綱大関」とは大関が1人、または不在の場合、横綱が大関の地位を兼任するという形で番付に記載される地位のこと。江戸時代に始まったとされる大相撲において、当時の最高位が大関だったことや、小結、関脇、大関の三役は番付上、欠くことができないという慣例が由来とされているが、あくまでも番付上の穴を埋めるための措置であり待遇などは変化しない。 番付上に「横綱大関」が出現するのは、西横綱の北の湖が対象となった1982年初場所以来。つまり、前回のケースが終了したのは同場所ということだが、実はそこに至るまでの道のりは紆余曲折だった。 前回のケースが始まるきっかけとなったのは1981年春場所。同場所の大関は東に千代の富士、西に増位山という顔ぶれだったが、5日目に増位山が現役引退を表明。その後、昇進目安をクリアする成績を収めた関脇もいなかったため、翌夏場所では大関が千代の富士1名だけに。そのため、西横綱の二代目若乃花を「横綱大関」として番付上の穴を埋め合わせた。 ただ、迎えた夏場所、そして次の名古屋場所を経ても、関脇から大関への昇進力士は輩出されず。それどころか、名古屋場所を制した千代の富士が横綱に昇進したため、大関が0人という状況になってしまった。それゆえ、同年秋場所では昇進したばかりの千代の富士だけでなく、東横綱の北の湖も「横綱大関」として番付に名前が掲載されている。 その後秋場所で琴風が昇進に成功したことで、九州場所では再び1人大関、1人「横綱大関」の体制に戻った上位陣。その後、九州場所では昇進力士が出なかったが、翌1982年初場所で隆の里が昇進を決めたため、5場所にわたって番付に存在し続けた「横綱大関」は同場所をもって姿を消すこととなった。 「関脇、小結の空位は成績のいい平幕力士を昇進させることで対応できますが、大関には“三役での直近3場所で33勝”という昇進目安が設けられているため、空位になっても簡単に昇進させるようなことはできません。前回から今回はたまたま38年という長期間となりましたが、不測の事態やアクシデントによる空位への対応が難しいことを考えると、『横綱大関』出現のリスクは常に存在しているといっても過言ではありません」(相撲ライター) 今回のケースでは鶴竜が春場所に「横綱大関」となることが濃厚とされているが、同場所は朝乃山の大関とりが懸かっているため、朝乃山が昇進に成功すれば「横綱大関」は1場所で消滅する。ただ、もし失敗に終わってしまった場合、「横綱大関」消滅までの道のりは前回以上に紆余曲折となってしまうかもしれない。文 / 柴田雅人
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スポーツ 2020年02月02日 08時00分
プロレスラー世界遺産 伝説のチャンピオンから未知なる強豪まで── 「木戸修」きらりと光るいぶし銀の魅力
常に脇役的な存在でありながら、晩年には定番技を出すたびに大歓声が上がった木戸修は、浅黒く焼けた肌やキッチリ整った髪形でおなじみの“愛されレスラー”だった。特に札幌地区では熱心なファンが応援団を結成し、木戸の名前の入ったのぼりを掲げる場面も見られたものだった。※ ※ ※ 真面目一辺倒では何かと生きづらいもので、それは一般社会もプロレス界も同じこと。練習の虫で職人気質の木戸修が、新日本プロレスの中でどこか浮いた存在になったのも、自然の成り行きであったか。「地方巡業のとき、練習後の休憩時間だったのか会場近くの公園のベンチで、一人ポツンと座っている木戸を見かけたことがあります。新日のジャージを着ていなかったら、ちょっとガタイのいい人にしか見えませんでした」(プロレス記者) 女遊びなどしないために「同性愛者」だとか、試合中も髪が乱れないことから「カツラ」だとか、陰口を叩かれることもあった。後年、実の娘である木戸愛がプロゴルファーとして活躍し、そのとき取材に同席した木戸の頭部は、年相応に地肌がうっすらと透けていた。それを見れば同性愛とカツラのいずれもが、デマであったことが分かる。 1968年、18歳で日本プロレスに入門した木戸は、その道場で、当時、コーチを務めていたカール・ゴッチと出会う。 ゴッチ流のハードトレーニングに音を上げる者が多い中、木戸は一切の愚痴を漏らすことなく稽古に励み、ゴッチからは「マイ・サン(わが息子)」と呼ばれるほどの信頼を得ている。「引退時に初めて明かしたのですが、木戸がそこまで徹底して練習に取り組んだ理由は、先に日プロに入門しながら練習中のケガでデビューがかなわなかった、実兄の存在があったそうです」(同) 道半ばであきらめざるを得なかった兄に代わって、絶対にプロレスラーとして成功するという信念があったからこそ、ストイックなまでの修行に耐えられたのだろう。 木戸は常に中堅のポジションで、時にはジュニアクラスで初代タイガーマスクのパートナーを務めたりもしたが、ファイトスタイルは一貫していた。 使う技はゴッチ流のグラウンド・テクニックや突き上げるようなフォームのドロップキック、スイング式ネックブリーカーにダイビング・ニードロップぐらいのもの。脇固めやキド・クラッチを決め技とするようになったのは、第一次UWF参戦以降である。 折り目正しく無駄な動きのない闘いぶりで(だから髪が乱れなかったのか)、地味ながらもその技術の高さを周囲に認められていた木戸は、途中参加となった第一次UWFの「格闘技ロード公式リーグ戦」(’85年)でスーパー・タイガー(佐山聡)や藤原喜明、前田日明らを抑えて優勝。佐山タイガーにこそKO負けを喫したが、藤原や前田を30分近い激闘の末にいずれもサブミッションで下している。 そうした実績からもっと高い評価を受けてもよさそうであったが、元来の自己アピールが少ない性格もあって“いぶし銀の中堅”という立ち位置は引退まで変わらなかった。★対抗戦で際立つ関節技の切れ味 ちなみに第二次UWFに参加しなかったのは、「第一次UWFに関係していたゴッチが第二次UWFとは絡まなかったから」という理由であった。IWGPタッグ王座を獲得した際のパートナーである前田を含めて、他のレスラーとの交流関係は薄く、UWFにおいても一匹狼的な存在であったようだ。 なおIWGPタッグは木戸が唯一獲得したベルトで、その前の王者は藤波辰爾&木村健吾組。試合は木戸が、木村をキド・クラッチで下している。 その王座戴冠劇と並び木戸の名勝負として挙げられるのが、’90年2月、東京ドームで開催された全日本プロレスとの対抗戦、ジャンボ鶴田&谷津嘉章の五輪コンビと対峙したタッグマッチである。「パートナーの木村健吾のほうが、当時の新日内における格付けは上でしたが、試合で目立ったのは木戸でした。谷津を足関節やフェイスロックで極め、鶴田のラリアットなどを何度も脇固めで切り返してみせました」(同) あらためて映像を見返すと、再三の脇固めは1回目よりも2回目、2回目よりも3回目と、徐々に入り方が深くなっているようで、そんなところに木戸の技術力とプライドが感じられる。「試合自体は“鶴田が貫録の勝利”“必殺バックドロップを出すまでもなく新日勢を一蹴”などと評されましたが、実際には木戸の関節技を恐れた鶴田が、焦って試合を終わらせたように見えなくもない」(同) 無論、あえて木戸の技を受けてみせた鶴田の格上意識もあっただろうが、脇固めから脱した鶴田が即座に木村をボディシザース・ドロップで下した結末は、いくらか唐突な印象もあった。 普段は目立たない木戸が、全日のエースを慌てさせたというのが事実であったならば、それもまた痛快な話ではある。木戸修***************************************PROFILE●1950年2月2日生まれ。神奈川県川崎市出身。身長180㎝、体重105㎏。得意技/脇固め、キド・クラッチ。文・脇本深八(元スポーツ紙記者)
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スポーツ 2020年02月01日 11時30分
昨季キャリアハイを叩き出した選手も 球団身売りから15年、絶滅危惧種となった球界の“ダイエー戦士”たち
1989年から2004年まで、パ・リーグに存在した球団である福岡ダイエーホークス。1994年オフに就任した王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)の下、リーグ優勝3回、日本一2回を成し遂げたが、2004年オフにソフトバンクへ身売りしその歴史を終えている。 ソフトバンクへの身売りから15年が経過する中で、ダイエー所属経験を持つ選手は一人、また一人とユニフォームを脱いでいる。しかし、そんな時代の流れにも負けず、今なお日本球界で現役を続けている“ダイエー戦士”もいる。それがソフトバンク・明石健志、和田毅、オリックス・山崎勝己の3名だ。 2003年のドラフトで4位指名を受け入団した34歳の明石は、翌2004年5月2日近鉄戦で1軍デビューし、初打席でいきなり三塁打をマーク。同年はこの試合を含め7試合の出場にとどまったが、その後現在に至るまで所属するソフトバンクでは昨シーズンまでの15年間で859試合に出場している。 昨シーズンは春季キャンプ中にヘルニアの摘出手術を受けるも、99試合に出場しキャリアハイとなる5本塁打を記録した明石。体調が万全ならば、今シーズンも内外野を守れるスーパーサブとして多くの出場機会を得る可能性は十分といえるだろう。 2002年のドラフトで自由獲得枠として入団した38歳の和田毅は、1年目からいきなり14勝をマークしチームのリーグ優勝・日本一に大きく貢献。翌2004年は2年連続2ケタ勝利となる10勝を挙げるかたわら、8月に行われたアテネ五輪の野球日本代表にも選出された。 その後ソフトバンクでも7年間プレーした和田は、2011年オフに海外FA権を行使してメジャーに挑戦し、2015年オフに古巣へ5年ぶりに復帰。翌2016年は「24登板・15勝5敗・防御率3.04」といった数字を残し最多勝、最高勝率(.750)の二冠に輝いた。ただ、2017年以降は3年間で8勝と思うような結果が出せていないため、今シーズンも不振なら現役続行に黄信号がともる可能性は否定できないところだ。 2000年のドラフトで4位指名を受け入団した37歳の山崎は、翌2001年から2004年までは一軍出場がゼロ。ダイエー時代は時の正捕手・城島健司の牙城を崩すことができず、ソフトバンク時代も初年度の2005年はわずか3試合しか出場機会を得られなかった。ただ、同年オフに城島が海外FA権を行使してメジャーへ移籍すると一軍に定着し、2013年までの8年間で634試合に出場した。 同年オフに国内FA権を行使してオリックスに移籍し、昨シーズンまでの6年間で304試合に出場している山崎。昨シーズンは24試合に出場にするも無安打に終わってしまったため、今シーズンは“背水の陣”として練習・試合に臨む必要がありそうだ。 どの選手も、年齢的には既にベテランの域に達しているダイエー戦士たち。また、和田、山崎に関しては、成績次第で引退、もしくは戦力外となる可能性もゼロではない状況だ。来たる2020年シーズン、“生き残り”としての意地を見せることはできるだろうか。文 / 柴田雅人
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スポーツ 2020年01月31日 18時46分
栄光からわずか3年…甲子園優勝校の元主将が逮捕 卒業後の転落劇に「挫折に耐えられなかったのか」の声
2017年の夏の甲子園で、見事優勝を勝ち取った花咲徳栄高等学校(埼玉)。31日、その花咲徳栄で当時主将を務めていた千丸剛容疑者が、千葉県警佐倉署に逮捕されたことを複数メディアが報じた。 報道によると、千丸容疑者を含めた5人は昨年4月26日に千葉・八街市内の住宅に金品を奪う目的で侵入し、居合わせた住人夫婦にバールや刃物などで暴行を加えたとのこと。また、この5人は同日に同市内で発生したナンバープレート盗難事件にも関与しているという。 2017年夏の甲子園の花咲徳栄は、清水達也(現中日)、西川愛也(現西武)といった後にプロ入りする選手たちを擁し決勝に進出。決勝ではこちらも後にプロ入りする中村奨成(現広島)を擁する広陵(広島)を「14-4」で下し、埼玉県勢としては春夏通じて初めてとなる優勝を飾っていた。 今回の一件を受け、ネット上からは「せっかくの栄光に何傷をつけるようなことしてるんだ」、「徒党を組んで他人に暴力を振るうなんて言語道断、厳罰に処すべきだ」、「優勝から2、3年でここまで落ちぶれるってことは、元々の素質に問題があったのか?」、「甲子園優勝校で主将までやってたのに、挫折に耐えられなかったのか」といった驚きや批判の声が多数寄せられている。 「甲子園の舞台で躍動した球児が、その後逮捕されてしまった事例は過去にもあります。例えば、2005年夏の甲子園決勝で駒大苫小牧・田中将大(現ヤンキース)と投げ合った京都外大西の本田拓人は、2011年にひったくりをしたとして逮捕。また、2010年夏の甲子園で東海大相模を準Vに導いたエースで、その後2011年から2016年まで阪神でプレーしていた一二三慎太も、2017年に女性に暴行したとして逮捕されています。甲子園で輝きを放った選手は人生のピークとも言えるほどの名声を得られますがその分、後に挫折を味わった時の反動も大きくなりやすいのでしょうか…」(野球ライター) 花咲徳栄は今月24日に発表されたセンバツ出場校に選出されたため、4年ぶりに春の甲子園に出場する予定となっている。努力して甲子園切符をつかんだ現役の野球部員たちに、今回の一件が影響を及ぼさないことを祈るばかりだ。文 / 柴田雅人
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スポーツ 2020年01月31日 18時00分
千葉ロッテ 佐々木朗希「一軍キャンプ決定」超過保護デビュー
“令和の怪物”ことロッテのドラフト1位・佐々木朗希(18)の一軍キャンプ帯同が決まった。もっとも、沖縄県石垣島でのキャンプを見た者なら分かるが、千葉ロッテは一軍と二軍がほぼ同じエリアで練習する。 目の届くところに、との配慮もあったのだろう。井口資仁監督(45)も「焦らせるつもりはない」と言った通り、今回の一軍帯同は“体験”だが、周りの大人たちがそれを許さない。「新人自主トレで判明したのは『筋力はある』ということ。腕、肩、腰、脚の筋肉量が多く、測定数値も高い方でした。でも、持久力がなく、すぐにバテてしまう。12分間走などのランニングもつらそうでした」(スポーツ紙記者) ドラフト指名した5人中3人が大学生。体力差は仕方ないが、素質は体力測定で改めて証明されたようだ。慎重に育てていかなければならないが、そうもいかない事情も出てきた。「今年は五輪イヤーなので、プロ野球界もその勢いに便乗したいと考えています。侍ジャパンの壮行試合として、『若手中心のネクストチーム』を編成し、日本代表と競わせるプランも出てきました」(球界関係者) ’06年、第1回WBCの壮行試合がイメージされているのだ。当時、12球団選抜チームが編成され、侍ジャパンと対戦した。その時、12球団選抜のマウンドに上がったのが、プロ2年目のダルビッシュ有だ。その試合を経て北京五輪予選リーグに先発し、第2回WBCメンバーに選出された。この理想的な成長劇を踏襲してもらいたいからか、佐々木のネクストチーム入りも囁かれている。「恒例の3月の国際試合はペナントレースの前倒しもあり、日程的に不可能です。ペナントレースが中断する7月が検討されています」(同) また、2月7日から侍ジャパンのドキュメンタリー映画『侍の名のもとに』が上映される。その舞台挨拶か宣伝のひと言を佐々木に、との声も聞かれた。「今の佐々木には、二軍戦でも1年間を戦う体力はありません。でも、怪我をしていないので、体験目的で、オープン戦のどこかで投げさせるという話も聞かれました」(前出・記者) 1イニングなら、行けるという。早くも佐々木グッズの販売を開始したロッテ。壮行試合の登板案も驚きだが、営業的事情で今後も佐々木には前面に立ってもらう算段だ。とはいえ、あくまでも「慎重に」。早々の過保護デビューは間違いなさそうだ。
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俺達のプロレスTHEレジェンド 第12R 生涯歩み続けたヒール道〈上田馬之助〉
2014年03月04日 11時00分
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3年ぶりV奪還目指す中日ドラゴンズに暗雲… ビジターはOKなのにホームは鳴り物応援NG!
2014年03月03日 15時30分
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2014年プロ野球キャンプ情報 ニューフェイスは戦力になるか?(中日編)
2014年03月03日 11時45分
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韓国女と偽装結婚逮捕 元関脇琴富士にみる引退力士の転落人生(2)
2014年03月02日 11時00分
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韓国女と偽装結婚逮捕 元関脇琴富士にみる引退力士の転落人生(1)
2014年03月01日 11時00分
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2014年プロ野球キャンプ情報 ニューフェイスは戦力になるか?(広島東洋編)
2014年02月28日 11時45分
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理事長選後から始まった角界内部抗争
2014年02月28日 11時00分
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ダルビッシュが史上4人目の日本人メジャー開幕投手に 過去のデータでは無敗
2014年02月27日 15時30分
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2014年プロ野球キャンプ情報 ニューフェイスは戦力になるか?(東北楽天編)
2014年02月26日 15時30分
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イチローの控えが決定的に! ライバル外野手が契約延長
2014年02月26日 15時30分
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2014年プロ野球キャンプ情報 ニューフェイスは戦力になるか?(東京ヤクルト編)
2014年02月25日 15時30分
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俺達のプロレスTHEレジェンド 第11R 日本の戦後文化史にもその名を残す〈ザ・デストロイヤー〉
2014年02月24日 11時00分
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レンジャーズとマイナー契約の田中賢介 二塁のポジション獲りのチャンス到来
2014年02月22日 17時59分
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V赤信号 原巨人内で浸食し始めた“松井監督”の影響力
2014年02月22日 11時00分
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豆まきも大人気だった遠藤
2014年02月21日 11時00分
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マー君入団でイチロー放出危機
2014年02月20日 20時00分
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浅田真央、キム・ヨナ、リプニツカヤ… ソチ五輪女子フィギュアで金メダルを手にするのは?
2014年02月20日 15時15分
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俺達のプロレスTHEレジェンド 第10R “新日最強の男”が本領を発揮するとき〈坂口征二〉
2014年02月20日 11時00分
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“第2の西岡剛”になる可能性も… アスレチックス中島裕之に厳しい春
2014年02月19日 15時30分