貴闘力は角界を追われた後、焼き肉店を経営。昨春には、“昭和の大横綱”大鵬さんの三女・美絵子さんとの間に生まれた長男・納谷幸男が、親交のあるリアルジャパンプロレス(初代タイガーマスク主宰)に練習生として入門していた。
その縁もあって、同団体の昨年9・28後楽園大会を観戦していたところ、“邪道”大仁田厚に襲撃され肋骨を骨折。怒った貴闘力は雪辱を期し、プロレスデビューを決意。これを大仁田も受諾し、4・16代々木で対戦することになった。
貴闘力は鈴木みのるを、大仁田は矢口壹琅をパートナーにして、邪道ルールのデスマッチで両軍が激突。リング上には、2つの有刺鉄線ボードが持ち込まれた。
試合は開始早々、貴闘力が大仁田から大流血に追い込まれ、有刺鉄線ボードに叩きつけられるなど劣勢に回ったが、不屈の闘志で形勢逆転。最後はセコンドについた息子・幸男が大仁田を捕獲している間に、矢口に強烈な張り手を見舞ってフォールし、デビュー戦を白星で飾った。
大仁田へのリベンジを果たした貴闘力は「(有刺鉄線で)背中が痛いけど、(勝って)気持ち良かった」と笑顔を見せたが、今後についてはコメントしなかった。
一方、敗れて怒り心頭の大仁田は「大鵬の孫がジャマしやがって。負けたとは思ってない。次は親子タッグで来い」と、まだ練習生の幸男の出陣を要求。
初代タイガーマスクは、貴闘力の今後に関し、「本人に任せたい」としながらも、継続参戦を熱望した。
新たにぼっ発した大仁田と大鵬の孫・幸男との遺恨。本来、幸男はプロレスではなく、格闘技志向だが、大仁田はどんな手段を使ってでも要求を実現させてしまう男。そのデビュー戦が、大仁田とのデスマッチになるかもしれない。
(ミカエル・コバタ)