スポーツ
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スポーツ 2016年03月29日 12時02分
開幕カード大盛況の裏で懸念される不祥事の後始末
「もう、出て来ないよな…」 プロ野球関係者、とくに連盟担当としてNPB事務局にも出入りしている球団幹部から、そんな“祈り”にも似たボヤキが聞こえてきた。 2016年のプロ野球ペナントレースが開幕した。第一節を終え、セパ12球団のべ18試合で動員した総観客動員数は57万5292人。開幕6試合だけでも、19万8416人を集めた。単純に比較できないが、Jリーグの今季開幕戦の総観客動員数は18万6688人(J118チーム9試合/2月27〜28日)。スタジアムの規模などが異なるが、約20万人を集めたことで『プロ野球人気の底力』を再認識したメディアも少なくなかった。 「昨秋、巨人選手による野球賭博関与が発覚し、キャンプインしたと思ったら、清原和博の逮捕です。もう膿を出し切ったと思ったら、巨人から4人目の賭博関与者が出て、他球団からも『声だしのご祝儀』や、高校野球の勝敗にお金を賭けていたとの報告があって…。各球団の営業担当はファン離れを懸念していただけにホッとしましたよ」(在阪球団スタッフ) 冒頭の「もう、出て来ないよな」のセリフは、「これ以上の不祥事や賭博関与者が出て来ないように」という意味である。 しかし、悲観的な見方をする関係者もいないわけではない。 「営業的な打撃はありませんでしたが、プロ野球界に対する社会的な信用はまだ回復していません。(野球賭博の)本格的な調査はこれからが本番です」 12球団が浄化を目指す共同声明を出したのが、3月23日。どういうわけか、その翌24日になって、オリックスが「ノックによる罰金制を敷いていたこと」が判明した。この件は「18日時点でNPBに報告していた」との一報もある。だが、共同声明を出した23日の12球団代表者会議で“金銭授受あった球団名”にオリックスは入っていなかった。12球団代表者会議に出たオリックス職員、NPBスタッフは気づかなかったのだろうか。 「中日でもノックでミスをした選手から罰金を集めていました。しかし、その罰金を福祉関係に寄付していた、と。社会貢献であれば、金銭授受は許されるのかと指摘する関係者もいないわけではありません」(前出・同) 野球協約には抵触しないそうだが、高校野球の勝敗、声だしのご祝儀、罰金などについて、法曹界からは「単純賭博罪に当たるのではないか」との声も出ている。 「笠原将生元投手がNPBの聞き取りに応じ始めました。そこで新たな情報が出て来ないとも限らない。5月になれば、清原の裁判も始まります。一部報道にもあったように『現役時代からのクスリの使用説』が証言されれば、2020年東京五輪の追加競技に立候補している件にも影響が出るかもしれません」(球界関係者) 賭博、覚せい剤。膿は出し切らなければならない。野球賭博の真相究明が進めば、ファンはもっとつらい話を聞かされることになるだろう。「高校野球の指導者復帰」、東京五輪の追加競技など、プロ野球界の不祥事が理由で“悪い方向”に一変しなければいいのだが…。*写真イメージ
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スポーツ 2016年03月28日 12時18分
ドラフト情報 センバツ大会のネット裏に衝撃が走った日
第88回選抜高校野球大会(以下=センバツ)のネット裏がざわめいた。 去る3月24日(大会5日目)、巨人の山下哲治スカウト部長が自ら視察に訪れたのだ。同部長は“神出鬼没”でも知られている。スカウト陣を統括する立場になりながらも、「お目当ての選手」を自らの眼で確かめるため、全国を飛び回っているが、同部長が訪れたのは一回戦の試合。それも、午前9時開始の第一試合だった。 「どの球団もドラフト候補の選手に関しては練習試合も見ていますからね。甲子園大会は『あくまでも確認』というスタンスをとる地区担当スカウトもいます」(在京球団職員) その山下部長が視察したのは、創志学園(岡山)対東海大甲府(山梨)。創志学園には昨秋の神宮大会でも好投した高田萌生(新3年・右投右打)がいる。試合後、同部長が各メディアにこうコメントをした。 「最初はボールにキレがなかったけど、後半はストレートもけっこう来ていた。投げ方がいいよね。高校生の右投手では間違いなくトップクラス」 創志学園・高田に関する批評を求められ、そう答えた。そのご満悦な表情からして、今後絞り込まれる『指名リスト』に高田が残ることは間違いないだろう。 「山下部長も同行したその日の巨人スカウトチームはスピードガンも持参しています。近年、球速が何キロ出たとか、そういう評価をしなくなりました。あえて計測器を持ち込んだのは、高田が一年生のころから評価していたからでしょう」(前出・同) 同日、阪神の畑山俊二アマ統括スカウト補佐も、高田について「去年の神宮大会よりもフォームのバランスが良くなっている。スライダーの曲がりも…」と称賛していた。 関係者によれば、昨秋のドラフト会議では1位指名の最終判断を山下部長に委ねたという。即戦力投手の指名の方向性は合致していたが、数人まで絞り込んだ後の『決め手』に欠いた。山下部長が昨年10月14日の立命館大対関西大の試合を直接視察し、桜井俊貴を選んだ、と。 「東邦の藤嶋健人(右投右打)の投げた22日、敦賀気比の山崎颯一郎(右投右打)が登板した25日も、スカウトが多かったですね」(前出・同) 「今年は1位指名に残る高校球児は少ない」なる前評判もあったが、巨人はスカウト部長が、阪神もアマ統括補佐を現地派遣している。数少ない好投手を早めに見定める目的があったのだろう。いずれにせよ、センバツのネット裏でスカウトが牽制し合っている光景は変わらないようだ。(スポーツライター・飯山満)※巨人・山下哲治スカウト部長、阪神・畑山俊二アマ統括スカウト補佐のコメントは共同通信などから引用いたしました。
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スポーツ 2016年03月27日 15時00分
友成那智 メジャーリーグ侍「007」 ドジャース「前田健太」
ドジャース入りした前田健太投手の評価が日増しに高まっている。地元ロサンゼルスのメディアは3つの変化球(スライダー、チェンジアップ、カーブ)がどれもハイレベルであること、両サイドに投げ分けるピンポイントの制球力があること、速球のスピードは平均レベルだが軌道を動かせる点を高く評価しており、昨年までドジャースに在籍したメジャーを代表する技巧派右腕ザック・グレインキーの後釜になり得る人材という声も出始めている。 マエケンにとってメジャーに移ること、ドジャースを選択したことはどんな意味があるのだろう? メリットとデメリットを列挙して考察してみたい。■メジャーで投げることのメリット (1)マエケンは全投球の4割弱がスライダー。メジャーのストライクゾーンは外側にボール1個半くらい広いので、スライダーの威力が倍増する。ドジャースの先輩、斎藤隆はスライダーが右打者に対する強力な武器になり、マイナー契約で入団しながら瞬く間にクローザーに昇りつめた。(2)マエケンは制球がいいので100球の球数制限がネックにならず、6回ないし7回まで投げ切ることができる。■ドジャースで投げることのメリット (1)ドジャースは多国籍の伝統があり、英語を話せない外国人選手を活用するノウハウがある。日本人投手の使い方も心得ていて、過去に在籍した3人の先発投手(野茂英雄、石井一久、黒田博樹)は全員ローテに定着して活躍した。 (2)ドジャースはチームにクレイトン・カーショウという大エースがいるため、プレッシャーのかからない先発3番手くらいで投げることができる。 (3)デーブ・ロバーツ監督は沖縄育ちで母親が日本人。大の親日家で日本人選手との付き合い方も心得ている。 (4)マエケンはフライボールピッチャーなので、俊足で守備範囲の広い名手が揃うドジャースの外野陣には大いに助けてもらえる。 (5)正捕手のグランダルは昨年から投手をリードする能力が急速に向上。特に変化球の使い方がうまくなった。バックアップ捕手のエリスは以前からリードの上手さに定評があり、マエケンはドジャースで捕手に恵まれる可能性が高い。 (6)日本人が多く住み気候もいいロスは、日本人選手には最高の住環境。 このほか、本塁打の出にくいドジャースタジアムで投げることは、フライボールピッチャーであるマエケンに有利に作用するであろうこと、賢者ハニカット投手コーチの助言を絶えず受けられることなども見逃せない。実際、同コーチは1年目の日本人投手は早く結果を出そうと力んで投げることが故障のリスクを招くと見て、マエケンにリラックスして投げることを指示、それを徹底させている。 その一方で、メジャーで投げるデメリット、ドジャースで投げるマイナス要素もいくつかある。■メジャーで投げるデメリット (1)日本では中6日だった登板間隔が中4日になるので、シーズンを乗り切るのが大変になり、ヒジや肩の故障リスクが増す。 (2)右打者にはスライダーが強力な武器になるが、反対にチェンジアップは精度がイマイチなので左打者に手こずる恐れがある。 (3)メジャーの打者はパワーがあるうえ、マエケンは打球がフライになりやすいタイプだ。そのためパワーヒッターの多いメジャーでは失投が本塁打になるケースが多くなる。■ドジャース入団のマイナス面 (1)ドジャースは金満球団であるため長期契約している投手が6人いる(カーショウ、キャズミア、前田健太、柳賢振、マッカーシー、シエラ)。さらに単年契約の超高額年俸投手が1人(Bアンダーソン)、若手の成長株が3人(Aウッド、ボルシンガー、フリーアス)いるため10人で5つのイスを争う構図になり、極端な過当競争になっている。長期間ローテに踏みとどまるには常に平均以上の防御率をキープする必要がある。 (2)チームの中継ぎ陣が弱体で勝利投手の権利を持って降板しても、後続のリリーフ投手が打ち込まれて勝ち星を消されるケースが何度かあると思われる。 (3)ドジャースとの契約がマエケンに不利な内容になっているため、ハイレベルな成績を残しても、FAになって超大型契約で他球団に移ることができない。 このようにデメリットやマイナス点もいくつか存在する。ただメリットの方が多いので悪い選択ではなかったように見える。 あとは故障しないことだ。契約では長期欠場があるとその年は保証給300万ドルに開幕ロースター入りボーナス15万ドルを加えた315万ドルしかゲットできない。しかし故障せずにメジャーの先発投手の標準である32試合と200イニングをクリアすれば、表にあるように1315万ドル支給される。 マエケンの大先輩、黒田はメジャー移籍後にバットの芯を外す投球術を身につけてほぼ毎年、このレベルの数字を出していた。マエケンが自分をどう進化させて、この2つの数字をクリアしていくか注目したい。ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。
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スポーツ 2016年03月27日 12時00分
やさぐれユニット「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」から感じる“あの匂い”
【俺はロス・インゴベルナブレスだ!】 昨年5月にメキシコCMLLでラ・ソンブラ、ルーシュらが結成したロス・インゴベルナブレスに加入した内藤哲也。ロス・インゴベルナブレスとは本来ベビーフェイス(メキシコではリンピオ)であるにもかかわらず、観客からブーイングをくらっていた選手たちが結成した、いわば“やさぐれ”ユニットである。3年前にG1クライマックスを初制覇してからの内藤もまさに同じような境遇に立たされていただけに、この合流は必然だったのかもしれない。【パレハ(友達)がいる】 ロス・インゴベルナブレス加入後、新日本プロレスマットでは仲間がいないため、しばらくは本隊の選手とタッグを組み、無気力試合を展開していた内藤は、次第にパレハの存在について示唆するようになった。そして、昨年10・12両国国技館の棚橋弘至戦にパレハが登場。EVILというリングネームで紹介されたのは、アメリカで武者修行していた渡辺高章だった。内藤&EVIL組で「WORLD TAG LEAGUE」への出場が決定すると、内藤はさらなるパレハの投入を予告。そして、11・21後楽園ホール大会において長期欠場から復帰予定だったが、直前でキャンセルしていたBUSHIが突如として内藤&EVILのセコンドとして現れる。対戦相手のドク・ギャローズに毒霧を吹いて勝利に貢献、電撃加入すると、ユニット名をロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンに改めた。【BUSHI、EVILのタイトル挑戦】 結成当初はリーダーの内藤が「トランキーロ! 焦んなよ!」と、タイトルはおろか勝敗にも興味がない姿勢を見せていたロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンだが、昨年の「WORLD TAG LEAGUE」は準優勝、12・19後楽園大会ではBUSHIがマスカラ・ドラダを破りCMLL認定世界ウェルター級王座を獲得。年明けに陥落したものの、2・14新潟・アオーレ長岡大会でKUSHIDAが保持するIWGPジュニアヘビー級王座に挑戦するなど、ベルトへの意欲を見せた。また「NEW JAPAN CUP 2016」1回戦の3・3大田区総合体育館大会で行われた石井智宏戦で覚醒したEVILは、この試合で手応えを掴んだのか、3・20兵庫・ベイコム総合体育館大会で石井が持つROH世界TV王座に挑戦。結果は連敗を喫するも、あわやのシーンが連発し会場をどよめかせた。試合後、石井は「俺にとって、思ったとおりのあいつだったよ」とEVILの実力を認めるコメントを出している。「NEW JAPAN CUP 2016」を制し、IWGPヘビー級王座への挑戦権を得た内藤については次週の当連載で書きたいと思う。【伝説のユニットとの共通点】 ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンを見ていると、90年代後半の新日本マットを席巻し、世間も巻き込んで空前のブームを築いた伝説のユニット、nWoジャパンを思い出す。海外の団体で結成されたユニットを新日本マットにも持ち込んだこと、そしてオリジナルのメンバー編成が3人であることは全く同じである。さらに、リーダーは本隊から独立した内藤が務め(nWoジャパンでは蝶野正洋)、凱旋帰国したばかりのEVILが合流(nWoジャパンでは天山広吉)、そして肝心要なところで試合に介入するBUSHI(nWoジャパンではヒロ斎藤)など、チームバランスに関してもよく似ている。 また、Tシャツやキャップといったグッズがよく売れているのも大きな共通点と言っていいだろう。nWoジャパンはカッコいいヒール軍団を目指して支持を得たのに対して、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンは“窓際族からの逆襲”的な流れで結成されたことが、逆にカッコいいとファンの共感を呼んでおり、新しいダークヒーロー像を築きつつある。 nWoジャパンはその後、武藤敬司(グレート・ムタ)や小島聡、そしてスコット・ノートン、nWoスティングなどの加入により勢力拡大を図ることで一大ムーブメントを巻き起こした。ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンもROH世界ヘビー級王者ジェイ・リーサルと共闘するなど、勢力拡大を図っているだけに、これからどんなパレハが現れるのか注目したい。(増田晋侍)<新日Times VOL.11>
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スポーツ 2016年03月26日 15時38分
投手偏重補強の埼玉西武が「ルーキー投手ゼロ」で開幕!
プロ野球ペナントレースが開幕した(3月25日)。埼玉西武ライオンズはサヨナラ勝ちをおさめたが、「なぜ!?」「大丈夫か?」と不安視する声も聞かれた。 昨季まで2年連続Bクラス。起死回生の打開策について、田邊徳雄監督(49)と編成の意見は一致していた。投手陣の補強。昨秋のドラフト会議で西武は10人を指名した(支配下登録)。それも、うち8人が投手。もっといえば、7人が社会人、大学生である(独立リーグも含む)。「投手陣を再整備すれば、勝てる。ソフトバンクの独走を阻止できる」と判断したからだろう。しかし、“即戦力”として指名したはずの新人投手たちのなかで、一軍で開幕を迎えた投手はゼロ。したがって、投手陣は「補強されていない」に等しい…。 西武が高山俊(阪神)、オコエ瑠偉(東北楽天)、高橋純平(ソフトバンク)でもなく、1位入札したのは、多和田真三郎(22=富士大)だった。他球団との競合・抽選を避けたのではない。ドラフト前日の鈴木葉留彦球団本部長のコメントが思い出される。 「この投手に関しては4年生時での判断というより、下級生(のころ)から見てきて、身体能力の高さがドラフト候補選手のなかで一番。1位で行くと決めた。エースナンバーをつけていい選手」 鈴木本部長の言う「この投手」とは、多和田のこと。西武スカウト陣が即戦力タイプの投手を直前まで調査していたため、メディアの「1位予想」は割れた。しかし、「多和田ですか?」と記者団に聞かれ、ハッキリそう答えたのだ。一昨年の高橋光成に続き、2年連続での『指名選手名の公表』だった。 これは西武の1位指名予想が割れた理由でもあるのだが、多和田は4年時に右肩腱板を炎症し、秋季リーグは投げていない。 「新人合同練習(1月)を見て、シーズン中盤以降に(一軍に)出てきてくれればと判断したようです。今季の開幕一軍に間に合わないと怪我の回復具合を予想する西武スカウトもいました」(球界関係者) 高橋光成も一軍デビューは8月だった。多和田にスロー調整を許したのは「将来性」を買ったからだろう。目先のことにとらわれないのが西武球団の長所でもあるが…。 先発ローテーションの関係で、第2節以降の先発予定投手を意図的に開幕メンバーから外すことはある。開幕戦登録の投手10人のうち、ニューフェイスは新外国人のアンディ・バンヘッケン(36)、C.C.リー(29)の外国人投手だけ…。パ・リーグ出身のプロ野球解説者が今後をこう予想する。 「開幕投手の菊池雄星、十亀、バンヘッケン、野上がローテーションを務めます。牧田の復帰は4月下旬か、GW中になりそう(3月20日時点)。救援は高橋朋と増田がカギ。高橋朋は昨季62試合に登板しており、彼一人に負担が集中する図式が変われば良いのですが…」 昨季216本の安打数を記録した秋山翔吾を1番バッターに置く打線は魅力的である。また、キャンプでは3年目の山川穂高(24)が打撃でアピールしていた。体重100?の巨漢で、出場は一塁か、指名打者に限られてくるが、森友哉(20)がオープン戦で不振だったため、「ひょっとしたら!?」と思っていたら、本当に開幕スタメンで出てきた(一塁)。 名前、人気ではなく、調子の良い者、努力した選手をきちんと評価できるのは、西武球団の素晴らしさでもある。 「西武のスタメンは中村剛、栗山、メヒア、浅村など好選手も多いが、選手層が薄い。怪我人が出たら、戦力ダウンは確実」(前出・プロ野球解説者) 牧田、背番号18・多和田が復帰するまで、西武は『打』で勝負することになりそうだ。蛇足になるが、『打』の山川は多和田と同じ富士大学の出身である。※鈴木葉留彦球団本部長のコメントは共同通信等に掲載されたものを引用いたしました。
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スポーツ 2016年03月26日 15時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈相撲人気の頂点“若貴対決”〉
立ち合いでは互いにまわしを取れず、貴乃花は右の差し手を伸ばしてこれを探る。それを左手で押さえにかかる若乃花。貴の右腕には、若の懸命の守りを払いのけるほどの力感が見られない。 両者不十分な体勢のまま若が寄って出る。いったんはこらえた貴だが、この攻防の間に左上手を取った若が再度前に出ると、貴は土俵を割る寸前、膝から力が抜けたかのように崩れ落ちた。 若の左上手の側へ貴が倒れるという不自然な結末。決まり手の発表は、右の下手投げというやや無理のあるものだった。 '95年11月場所。若貴ともに12勝2敗で迎えた千秋楽。次位とは2つ以上の勝ち星の差で、いかように転んでも兄弟いずれかの優勝は決定していた。さらには史上初の兄弟による相星決戦もあり得るということで、大相撲ファンならずとも並々ならぬ興味が注がれることになる。 日曜の夕刻。両者による優勝決定戦の瞬間最高視聴率は58.2%を記録している。しかし、本割で先に土俵に上がった若乃花が敗れたことで、福岡国際センターの観客席は、「また2年前と同じか」との落胆に覆われていた。 '93年7月の名古屋場所では、若貴兄弟と曙がそれぞれ千秋楽に13勝2敗となり、巴戦での優勝決定戦が行われた。 最初の取組は横綱・曙vs関脇・若ノ花。横綱がこれを押し倒しで下すと、続いては曙vs大関・貴ノ花(番付、四股名ともに当時)。先に若が勝っていれば、ここで貴との対戦になっていたはずだが、それでも曙に貴が勝てば、やはり兄弟対決が実現する。 しかし、そんな観衆の期待は、曙の圧倒的パワーの前に打ち砕かれる。曙は貴を一方的に寄り倒して横綱としての初優勝を飾り、その一方で兄弟決戦は幻に終わったのだった。 そんな経緯もあり、若が敗れた瞬間は「また兄弟対決は見られない」と、多くの観衆が諦めかけていた。だが、結びの一番で、貴乃花が一瞬にして武蔵丸のはたき込みに敗れると、館内は大きな拍手で包まれることになった。 共に敗戦というプロセスは、この際どうでもいい。とにかく兄弟決戦が見たい。だが、そんな観客の期待の中で行われた優勝決定戦は、冒頭のような呆気ないものに終わってしまった。 「これを八百長という人もいます。確かに貴乃花の負けっぷりは、本割の武蔵丸戦も含めて不自然なものでした。とはいえ、それだけで八百長と断じられるものではない」(スポーツ紙記者) 現に、相撲界の八百長を事あるごとに告発し、自らも現役時代にはその仲介役をしてきたという元小結の板井も、「若貴兄弟はガチンコ相撲だった」と断言している。 だが一方で、当時の週刊誌では〈千秋楽の前夜、兄弟の父親でもある藤島親方が貴乃花の部屋を訪れて、「分かってるな?」と念を押した〉とも報じられている。 すでに11度の幕内優勝を飾り、この場所まで3連覇を果たしていた貴乃花に対し、大関昇進後の若乃花は故障もあって低迷していた。そんな兄を不憫に思う気持ちが、藤島親方にあったとしても不思議ではない。 両者は引退後、別々にこのときの取組について語っている。 「やりにくかった」(貴乃花) 「当たった瞬間、相手に力が入っていないな、というのは分かりました」(花田虎上=若乃花) あからさまな八百長ではなかったにせよ、どこか平常心では臨めない一番だったのは、事実であろう。当時、優勝の賜杯を手にした若乃花も、どこか浮かない様子で、心からの喜びを見せることはなかった。 また、貴乃花は「この取組が、のちの兄弟断絶に至る軋轢の原点になったのでは?」と問われた際に、「間違いないです」とも答えている。 兄弟の複雑な心境の中で行われた不可解な取組ではあったが、これ以降、若乃花は成績が上向き'98年に横綱昇進。兄弟横綱として若貴ブームを巻き起こすことになったのは、ある意味で皮肉なことであった。
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スポーツ 2016年03月25日 15時00分
新生『なでしこジャパン』初の女性監督に“カリスマ”澤穂希が急浮上
そろそろ若手に切り替える時期に来ているのではないか? そんな声が聞こえてくる。リオデジャネイロ五輪の出場権を逃した『なでしこジャパン』で、指揮権をめぐるオンナの戦いが始まった。すでに女子A代表初の女性監督をさせる動きもあり、有力視されているのがヤングなでしこを率いた実績のある、U‐20女子代表監督の高倉麻子氏(47)。 しかし、協会の“本命”は他にいた。昨年12月に引退した“カリスマ”澤穂希(37)だ。 「協会は'23年の女子W杯開催国として立候補する予定ですが、五輪に出場できない状況下ではPR活動も大々的にできない。協会が変えたいのはチーム状況だけではありませんからね」(専門誌記者) 一方の澤は引退会見でも「そういう気持ちになったら…」と言葉を濁し、しばらくはノンビリしたいという心の内を覗かせ監督業に興味を示していなかった。しかし、なでしこの五輪不出場が決まった3月7日の試合後、「強いなでしこに戻るよう何か携われることがあれば」と一転、前向きな発言をしている。 「3月末から日本サッカー協会新会長に就く田嶋幸三氏も、澤を指して『なでしこに関わってもらいたい』とコメントしています」(前出・記者) 協会の希望は、やはり澤擁立と見て間違いないが、スポーツ紙記者はこう言う。 「監督タイプは宮間あや。彼女はプレーについて理論で説明できる。澤はどちらかと言えば直感で動く天才肌。指導者向きではないのですが…」(TV局員) それでも、W杯開催国として海外にもアピールをし、かつ今の停滞ムードを一掃できるのは、やはりカリスマの存在なのだろう。 「もっとも、澤はまだ監督ライセンスを取得していない。監督になるためにはC級ライセンス取得からスタートし、その後、B級へと進みA級ジェネラルまで1年が掛かります。その2年後にようやく、代表監督になれるS級の養成講習会が受けられるのです」(前出・記者) ただし、澤は国際Aマッチ20試合以上の出場歴があるため、A級ジェネラル取得後、1年でS級講習会を受けられる。 「澤をチーム帯同のアドバイザーに就け、2年後に代表監督というシナリオでしょう」(前出・記者) 澤の今後でいえば昨年末、今夏の参院選へ向けての自民党からの出馬要請を辞退していたことも判明。いよいよ監督待望論が高まりそうだ。
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スポーツ 2016年03月25日 08時00分
2016年プロ野球キャンプ情報「混セとパ1強5弱」説は本当か?(東北楽天編)
昨夏の甲子園大会を沸かせたオコエ瑠偉に関心が集まっている。オコエ加入により、外野手の定位置争いはさらに厳しくなった。松井稼頭央、牧田明久、成長株・福田将儀、新加入のジョニー・ゴームズ、聖澤諒、岡島豪郎、枡田慎太郎…。ひょっとしたら、梨田昌孝新監督は島内宏明に期待しているのではないだろうか。昨季は怪我などもあって、25試合にしか出ていない。打率も2割3厘と振るわなかった。しかし、フリー打撃を見る限り、頭角を表した一昨年よりも鋭い打球を連発していた。体も大きくなった。仮にレギュラー争いに敗れたとしても、試合終盤での代打でも使える。一軍ベンチに置いておきたい選手。それくらい、存在感を示していた。 問題は投手陣だろう。開幕投手を務める則本昴大はともかく、2番手以降が実績に乏しい。ローテーション候補は塩見、釜田、戸村、美馬、レイ、ブリガム、リズなど。塩見は昨季3勝、レイも5勝だ。松井裕樹は今年もクローザーを託された。キャンプ中盤以降の練習試合、オープン戦で2年目の安樂智大が何度もチャンスを与えられたのは、先発候補の弱さの裏返しでもあったわけだ。 野手陣はウィーラー、ゴームズの外国人野手が好調だった。梨田監督は「2番銀次」の攻撃的打線を公言している。ウィーラー、ゴームズが打線の中核を託されるとすれば、一軍登録の『外国人枠4人』の使い方が難しくなってくる。レイは当確として、ブリガム、リズが「最後の1つ」を争っている。先発投手のコマ不足を考えると、どちらかを一軍に置いておきたいところだが、救援のキャム・ミコライオに復調の兆しが見えてきた(二軍スタート)。また、3人目の外国人野手、アマダーは左手首の故障で開幕は絶望的だが、楽天首脳陣はアマダーの打撃を高く評価している。2月21日の中日戦で先制3ランを放っており、135?の巨漢ながら、技術でボールを飛ばすテクニックを持っている。梨田監督は攻撃的な野球を掲げているだけに、シーズン中、外国人野手3人を登録する時期もありそうだ。 3月20日のDeNA戦、6回一死一・三塁。一塁走者の福田が二盗を試みる。DeNAの捕手・高城の二塁送球と同時に三塁走者の桝田が本塁に向かってスタートを切った。二塁手・飛雄馬が俊敏な動きで本塁に返球した。ストライク返球だった。しかし、結果はセーフ。捕手のブロック禁止のコリジョンルールを逆手に取った「ダブルスチール」である。桝田は「キャンプからタイミングをはかる練習をやってきた」と、してやったりのドヤ顔だった。近鉄、日ハム時代の梨田監督は自由に打たせていくタイプだった。こうした走塁練習を仕切っていたのは真喜志、米村の両コーチ。桝田は本塁突入の前に二盗を決めている。先発陣が脆い分、打線が援護してやらなければならない。かといって、打撃には好不調の波が必ずある。梨田監督がまだ打撃フォームの固まらない新人・オコエを一軍で使い続ける理由は「走塁」に活路を見出そうとしているからだろう。
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スポーツ 2016年03月24日 15時00分
野球賭博の “黒い霧”が東京五輪を覆う「野球&ソフト」追加競技落選の危機
巨人に続き、阪神、西武でも選手間ののやり取りが明らかになった。プロ野球の選手間で金銭のやりとりが発覚した問題で、西武は3月15日、自チームの公式戦の勝敗に絡んで選手間で同じような現金のやりとりが行われていたと発表した。 巨人軍、4人目の野球賭博関与者・高木京介投手が謝罪会見に臨んだことで、いったんは鎮静化したはずだった。 この騒動に、馳浩文部科学大臣も「自浄能力が働いていたのか?」と憤慨したというが、野球賭博問題が清原裁判と重なって、NPBを奈落の底に突き落とすことになりそうだ。 「清原和博の裁判は長引かないはず。初犯ですし」(社会部記者) 裁判は5月17日から始まる。「2カ月余で結審するのではないか」との声も聞かれた。しかし、結審までの時期が悪すぎる。 「東京五輪の追加種目競技が最終決定するのは今年7、8月。最終議論の過程で、清原裁判が同時報道されていく図式になりそうです」(JOC関係者) NPBは国際オリンピック委員会傘下のアンチドーピング機構に加盟していない。独自の方法で薬物使用の調査をしてきたわけだが、清原は「現役時代からの常習」を疑われている。 裁判でそれが明らかになれば、NPBはクスリの使用に厳しい五輪競技には不適格だという烙印を押されることになる。 「清原が反省の弁を述べ、更正に向かっていくとしても、クスリ、賭博問題に関するNPBの自浄能力は疑われたまま」(前出・社会部記者) NPBの自浄能力に関してだが、熊崎勝彦コミッショナーの憤りは尋常ではない。一連の信頼を取り戻す一環として、目下、内部で審議されているのが賭博問題の調査を『捜査』に切り換えることだ。 「野球賭博問題の調査を一任されたのが、大鶴基成氏です。熊崎氏と同じ元東京地検特捜部長を経験した同氏ですが、2人とも新たな高木投手の不正発覚により、メンツ丸潰れです」(内部関係者) 先に処罰された福田、笠原、松本の3投手について調査が行われていたときのことだ。大鶴氏は「調査に協力してもらえない。真相究明できない」と嘆いていた。携帯電話を取り上げるなどして徹底的に調べるつもりだったが、「調査」である以上、相手側の協力が必要だ。しかし、3投手は「イヤだ」の一点張り。彼らを誘惑したとされる“闇の紳士”も同様である。 「警察と話し合っています。事件として捜査に切り換われば、相手の意思なんか関係ない。徹底的に調べられます」(前出・内部関係者) 返り血を浴びることになるであろう野球界は、東京五輪の追加競技に選ばれない可能性が高まった。ワンセットで立候補した女子のソフトボールも巻き添えにしてしまう。
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スポーツ 2016年03月24日 12時25分
主力離脱! 先発ローテーションに悩むヨシノブは「アノ人」を踏襲する?
プロ野球ペナントレース直前の3月23日、ヨシノブ巨人が開幕一軍メンバー27人を発表した。28人まで登録できるので、おそらく「あと1人」を開幕前日に決めるのではないかと思われる。というか、「最後の1人」が誰になるかで、新生巨人、高橋由伸監督(40)の命運も違ってくるのではないだろうか。 「代わり映えしないね。というか、去年と比べ、戦力ダウンしている。大丈夫かな…」 そう懸念するプロ野球解説者も何人かいた。 まず、チームの精神的支柱でもある阿部慎之助(37)は2月下旬に右肩痛を訴え、いったんはオープン戦に戻ってきたが、調子は上がらず。『開幕メンバー』を発表する前の3月21日に二軍降格を伝えたのは、チーム全体に動揺が広がるのを防ぐためだと思われる。 その阿部とともに二軍落ちとなったのが、世代交代の象徴でもあった2年目・岡本和真(19)だ。そうなると、新人野手で唯一、一軍スタートを勝ち取った重信慎之介(22=早大)に注目が集まっていく。キャンプ、オープン戦で走塁センスとスピードをアピールしていたが、こんな声も聞かれた。 「もともと選手層の厚いチームなので、内外野に代わりの選手はいます。問題は投手じゃないかな。とくに先発は…」(プロ野球解説者) 開幕投手は菅野智之が務める。その菅野を軸とした『先発ローテーション』だが、オープン戦を見る限り、頼りになりそうな二番手は新人・桜井俊貴(22=立命館大)。昨季13勝を挙げたマイコラスは故障で離脱。高橋監督は「ローテーションは6人でまわす」と話していた。ポレダ、高木勇、そして、オープン戦で結果を残した田口麗斗、今村信貴の2人も入れなければ「6人」にはならない。 「高橋監督が就任直後からキャンプ中に受けた取材の限りでは、内海の名前も出していました。杉内は手術をしたので、今季終盤まで出て来られないのでは」(前出・同) 内海はオープン戦通算3試合11イニング3分の1を投げ、自責点13。ベテランであり、「調整」でテストしたい配球もあったはず。したがって、数字だけでは判断できないものの、昨季の不振から考えても、ローテーションを託すのはちょっとコワイ。大竹寛はオープン戦で投げていない。キャンプ序盤で左足を痛め、大事を取ってのスロー調整が続いている。 こうした投手事情からしても、高橋監督は本当に厳しいシーズンを送ることになるのではないだろうか。 もっとも、「菅野、桜井、ポレダ、高木勇、田口、今村」のローテーションは全員20代だ。実績のある菅野と来日2年目のポレダは大丈夫だと思うが、高木勇は昨季中盤以降、ピリッとしたピッチングを見せていない。田口、今村の成長が著しいと言っても、“大抜てき”に近い。「育てる」の要素が多いということは、指揮官がどれだけ我慢できるかが問われる。若い投手陣の奮闘に期待するファンも多いと思うが、なんか、長嶋茂雄氏の「監督1年目」にも似てきたような…。