スポーツ
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スポーツ 2016年04月22日 16時00分
友成那智 メジャーリーグ侍「007」 2016年の田中将大 ストレートを捨てた理由
今年もメジャーリーグが開幕した。 日本人投手の中でピッチングに最も大きな変化が見られたのはヤンキースの田中将大だ。田中はアストロズとの開幕戦に先発し5回3分の2を2失点に抑えるまずまずの投球を見せたが、米国最大のスポーツ専門局ESPNは「タナカは6回途中まで投げたが通常の速球(ストレート)は1球しか投げなかった」と伝えている(マーチャンド記者)。 なぜ田中は「ストレートを捨てたピッチング」を見せたのだろう? 答えはハッキリしている。対戦チームが「タナカはスプリッターとスライダーはトップレベルだが、ストレート系(ストレート、ツーシーム)はワーストレベル」という認識を持つようになったからだ。実際、開幕戦で対戦することになったアストロズのヒンチ監督は、ゲーム前日、メディアの取材に「タナカは、悪い時はストレート系に頼ろうとする傾向があるけど、いい時はストレート系をあまり投げない」と語り、ストレート系に的を絞っていくことを明言していた。 敵将からこうした発言が飛び出すのは、分析データを見て田中のピッチングを研究しているからだ。最も信頼度が高い野球データサイト『ファングラフス』は投手の各球種の評価を掲載しているが、2015年のデータを見ると田中はスライダーがプラス10.7ポイントでスライダーを投げる135投手(ア・リーグ)の中で5位。スプリッターはプラス8.9ポイントで、同球種を投げる23投手中2位と最高レベルの評価を受けているが、ストレート系はマイナス17.7ポイントで、ア・リーグの191投手中188位というかなり低い評価がくだされた。 こうしたデータは、もちろん相手チームも見ている。アストロズのヒンチ監督はそれを見て昨年の1ゲームプレーオフで田中と対戦したとき、各打者に初球を狙わせて田中をKOしている。 初球を狙い打ちさせたのは、ストレート系が最も多くなるカウントだったからだ。 では、具体的に、田中は「ストレートを捨てたピッチング」で何が得られるのだろう。大きいのは(1)一発病の克服、(2)少ない球数、(3)ゴロ量産、の三つである。 最初に「一発病の克服」を挙げたのは、今季の田中の最大の課題は被本塁打をいかに減らすかという点にあるからだ。昨年、田中は25本の本塁打を打たれている。この数字はア・リーグのワースト9位だ。その大半は、甘く入ったストレート系を打たれたもの。今季、ストレートを捨てた投球で被弾を大幅に減らすことができれば、おのずから成績はよくなる。 被弾を15本程度に減らすことができれば、期待される16勝以上と2点台の防御率を出す確率はグンと高くなるだろう。 「ストレートを捨てたピッチング」は三振を取るピッチングではなく、打たせて取るピッチングである。そのため球数も少なくなるが、これは大きな意味がある。なぜなら田中はヒジの故障リスクが高いため、今季も厳格な球数制限が課せられており、90球前後でマウンドを降りることになるからだ。 90球の球数制限で三振を取ることにこだわると、5回までしか投げられないケースが多くなる。しかし「ストレートを捨てたピッチング」だと6回か7回まで行ける。このことは、勝ち星を大幅に増やすことにつながるだろう。 なぜなら、今季のヤンキースのリリーフ陣には、メジャー最強を誇ったベタンセスとアンドルー・ミラーの逃げ切りコンビに、時速165キロの豪速球男アロルディス・チャップマンが加わり、6回終了時点で1点でもリードしていれば、7、8、9回はこの3人が抑えて、95%以上の確率で勝てる体制ができ上っているからだ。 「ストレートを捨てたピッチング」は、言い換えれば三振よりゴロ量産を狙ったピッチングである。その場合、重要なのは味方内野陣の守備力だ。 ヤ軍は一昨年まで、手抜き守備で評判が悪かったカノーと守備範囲が極端に狭くなった老雄ジーターの二遊間コンビだったので、ゴロを打たせるタイプの黒田博樹は年間50本以上も、なんでもない内野ゴロをヒットにされて迷惑していた。しかし、ヤ軍は世代交代を進め、今季はトップレベルの守備力を誇るスターリン・カストロが二塁手としてカブスから加入。ショートのディディ・グレゴリアスもメジャー屈指の守備力を誇る遊撃手に成長しているので、投手は内野ゴロを打たせれば打たせるほどメリットを享受できる体制になっている。 「ストレートを捨てたピッチング」で、田中もゴロを量産するようになるので、そのメリットを最大限享受することになるだろう。ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。
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スポーツ 2016年04月21日 16時00分
再び球界大炎上! 東京五輪「神宮使用禁止」要請でボロが出た野球・ソフト落選
五輪組織委からの「神宮使用中止」の要請は、2020年東京オリンピック追加競技での復活を目指す野球・ソフトボールに対し、別の意味合いも含んでいたようだ。 東京五輪・パラリンピック組織委員会が、新国立競技場のお隣、神宮球場側に「大会前後の使用中止」(計9施設)を要請したのが明らかになった4月5日、NPBは都内でプロ・アマ合同協議会を開いていた。東京五輪での競技復活に向けての話題も出たという。 しかし、同協議会に出席した井原敦事務局長は、寝耳に水といった様相だった。 「(使用中止は)全く聞いていない。(合同協議会でも)その話は出なかった。みんなで話し合う必要がある」 NPB局員によれば、『最悪の事態』も念頭に入れておかなければならないという。最悪の事態とは、ペナントレースの中断である。 「こちらが把握している限りでは、神宮球場と同第二球場を五輪の資材置き場にして使いたいから、警備面を含め、使用中止にする、と。どれくらいの期間使えなくなるか、まだ分かりませんが、5月から11月くらいはダメみたいですよ」(NPB関係者) ダメみたい…この他人事のような言い方に、事の重要さが隠されていた。 「NPBだけではなく、BFJ(全日本野球協会)も五輪組織委からの連絡が来てないんです(10日時点)。神宮球場だけが通達を受け、知らせてくれたんです。これから来るとしても、厄介なことになりますよ」(前出・同) 5日、神宮に本拠を置くヤクルトの衣笠剛球団社長がこう吐き捨てている。 「(組織委から)電話1本、文書1本、接触もない!」 使用中止を要請するのならば、まず関係各所に相談するべきだろう。五輪組織委の対応もおかしい。 「ヤクルト球団、東京六大学を始めとする大学の各リーグの春と秋の大会、高校野球の東京都大会、秋の高校、大学の明治神宮大会、さらに同年にヤクルトがAクラス入りした場合、クライマックスシリーズや日本シリーズにも影響が出ます。新国立周辺の警備がいかに重要かは分かる。だが、これだけの野球団体に影響が出るのに、直接の連絡も事前相談もないなんて…」(前出・同) 高野連の対応は早かった。東京の高野連は千葉、神奈川にも連絡を入れ、近く対応が協議される。しかし、NPBなどの野球団体が覚悟した『最悪の事態』は、これだけではなかった。 「要するに、東京五輪で野球は蚊帳の外ってことでしょ? この理不尽な通達は、追加競技に立候補した野球・ソフトの落選を暗に伝えてきたのでは」(前出・同) 前日の4日、NPBは一連の野球賭博問題で「自主申告すれば、1年間の失格停止で済ます」とする特例措置を発表している。だが、文部科学省やスポーツ庁、五輪組織委は「自浄能力」をまだ疑っている。遅々として真相究明が進まない中、清原和博被告の覚醒剤事件が致命傷になったと見る向きもある。 「政府・自民党内には野球を応援している議員も多いんです。昨年、スポーツ振興くじをプロ野球にも拡大する案が検討されました。しかし、清原被告の『現役時代から使用していた』との情報以降、スポーツ振興くじ拡大の話は聞かなくなりました。こんな言い方はしたくないが、清原被告によって、プロ野球界に対する政府の信用も喪失したわけです」(与党代議士秘書) NPBは野球・ソフトが追加競技に決まれば、大田スタジアムなど公営の球場を含めて対応するつもりでいた。東京ドームは私営であり、球場内広告等で適さない要素もあるからだ。 さらに、NPBは、ヤクルトだけが貧乏クジを引かないよう、全チームで協力することも確認していた。巨人、ヤクルト、埼玉西武、千葉ロッテが地方遠征を増やし、ヤクルトの東京圏での主催試合数を確保させる案なのだが、こんな嘆きの声も聞かれた。 「駒沢オリンピック記念公園内に硬式野球場があるけど、改修工事を東京都に求めても対応してくれないでしょうね。五輪準備で都も資金不足だろうし」(前出・関係者) 五輪イヤーは海外からの観戦・観光客も増える。遠征先のホテル確保ではJリーグにも影響が出るだろう。 今夏、追加競技が正式に決まる。IOCにも清原事件、賭博問題は届いている。最悪の場合、五輪競技から落選したうえに、プロ野球はペナントレースの中断で興行収益まで大幅に落とすことになる。 「4年後の五輪イヤーに清原被告が立ち直っていたとします。NPBだけでなく、ソフトボールや学生野球にも謝罪してほしい。一生を懸けて償ってくれ、と」(ベテラン記者) 野球ファンからすれば、やりきれないが、その気持ちも分からなくもない。
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スポーツ 2016年04月21日 11時06分
火曜日登板の意義 藤浪が名実ともにエースとなるには…
4月19日の阪神対ヤクルト戦(甲子園)、藤浪晋太郎(22)が先発マウンドに上った。火曜日のゲームで先発を務める投手の責任は重大だ。ペナントレースは月曜日が移動等で試合が組まれていないため、「火曜日から6連戦」という見方もされている。その連戦の初戦を勝つのと負けるのとではチームの勢いも違ってくる。金本知憲監督(48)は金曜日の開幕ゲームにメッセンジャーを送り出し、藤浪をその大事な火曜日まで温存する作戦でペナントレース本番に突入した。 「メッセンジャーは『オレが開幕投手を務めるんだ』という強い決意を持ってキャンプインしていました。藤浪は優勝を強く意識していました。開幕投手は名誉ですが、藤浪はこだわりがない」(球界関係者) 藤浪も火曜日の先発が『優勝』のためにいかに重要であるかは分かっていた。メッセンジャーと藤浪、両投手のモチベーションを巧く演出できたのも、好調なスタートを切れた要因だろう。 火曜日の先発といえば、前回4月12日、藤浪はバースデー登板ともなった。勝ち投手にはなったものの、7回途中で降板した悔しさを口にしたのは既報通り。しかし、金本監督が記者団に語った藤浪評は興味深い。 「藤浪は(途中降板したことを指して)ダメだったとか言うと思うよ。でも、ダメでも勝ったことは大きいんだ」 単にチームが勝利したから藤浪を労ったのではない。また、金本監督は就任当初から藤浪に厳しく当たり、傲慢にならないよう教育していく旨も明かしていた。なのに、変化球主体で本調子ではなかった藤浪に“優しい言葉”を掛けたのは、何故か…。『エースになるための階段』を着実に上がっていると見たからだろう。金本監督は藤浪にこんな言葉も掛けていた。 「今日はアイツが投げているから、勝たせてやりたいと思われる投手になれ」 金本監督の思い描くエース像でもあった。そして、どうすればそうなれるのかを藤浪に考えさせた。 バースデー登板の日、藤浪はスリーベースヒットを放つなど積極果敢な姿も見せている。4月5日の巨人戦でもそうだった。一塁に出塁すると、次打者のヒットで一気に三塁まで進んだ。積極的な走塁はチームスローガン・超変革の必須事項でもある。 だが、藤浪の成長を確信できたのは翌6日の試合前だった。阪神ナインは巨人との2戦目に備え、打撃練習をしていた。そのとき、藤浪は一塁後方で走塁練習を独りで行っていた。前日先発しているため、完全休養日に充てたとしても許されたはず。前出のチーム関係者によれば、藤浪はチームを奮い立たせた三塁への激走を『反省』していたという。 「二塁ベース手前で、三塁コーチャーの指示を確認するタイミングを間違ってしまいました。そのため、二塁ベースを蹴るときにぎこちない走り方をしてしまい、そのことを反省していました。同じ失敗を繰り返したくないとし、必死に走塁練習をしていました」(同) その貪欲な姿勢と必死さは他のナインも見ている。藤浪は野球に真摯に取り組み、必死になることで金本監督の描くエース像に近づこうとしているのではないだろうか。 6連戦の初戦となる4月19日火曜日。藤浪は4点を失い、5回でマウンドを下りた。8回裏にヤクルト救援陣を打ち込み、チームは勝利したが、藤浪の表情は晴れなかった。 「野手が点を取ってくれた後に失点し…」 金本監督は取り囲む記者団にこう言った。 「次回、ちゃんと修正してくれれば何の問題もない。負けなかったことが大きいんだ」 勝つことへの執念。高山、横田も頑張っているが、超変革の本当の象徴は藤浪ではないだろうか。※4月19日、金本知憲監督と藤浪晋太郎の試合後のコメントは共同通信等を参考といたしました。
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スポーツ 2016年04月20日 16時00分
再び球界大炎上! 闇カジノ賭博事件 警視庁がマークする疑惑のプロ野球選手リスト(2)
桃田らが通っていた闇カジノ店は、東京・錦糸町駅から300メートルほどのところにある雑居ビルの9階。ラブホテル街のど真ん中にあり、周囲にはキャバクラも建ち並ぶ。完全会員制で、'14年12月ごろに田児がまず会員になり、桃田を引き込んだという。 彼らがやっていたのは、レートの高い、トランプ賭博のひとつであるバカラ。田児は多いときは100万円単位、桃田は数万〜数10万円単位で賭け、最終的に2人で計1000万円以上は負けたという。結果的に、暴力団に資金を提供していたわけで、社会的責任は重いが、それはプロ野球選手も同じだ。 「同店が摘発されたのは昨年4月で、経営者とその背後にいた住吉会系組幹部ら6人が賭博開帳図利などの容疑で翌月、逮捕された。その際に押収された顧客リストの中に、桃田、田児の名前があったそうです。当初、2人への追及はリオ五輪が終わる8月以降と予想されたのですが、球界へ波及する可能性が高まり、シーズン中の混乱を避ける意味でバドミントン選手を先に手掛けたという情報もあります。在京球団だけでなく、有名プロ野球選手の名前もあるようです」(全国紙の社会部記者) 桃田は、今回の問題が発覚し、マレーシアから緊急帰国した7日に更新された世界ランキングで、男子シングルス4位から2位にアップ。糾弾するには、これ以上ないタイミングとはいえ、その意味では気の毒な面もある。 捜査当局の動きは、元東京地検特捜部長の熊崎コミッショナーも当然つかんでいた。 それを物語っているのが、4月4日のプロ野球実行委員会で成立した、賭博に関与した選手に自白を促す“時限立法”だ。4月6日から25日までの20日間限定で「野球賭博行為について自己申告した場合、一度は無期失格処分になっても、1年後に改悛の情があれば熊崎コミッショナーの判断で解除される」というものである。 奇しくも桃田らの闇カジノ賭博が発覚したのは4月6日。NPB首脳はそれより前に情報をつかみ、すぐさま「自浄努力」を内外にアピールするとともに、鎮火に務める策に出たともいえる。 NPBは巨人4選手以外にも野球賭博や闇カジノに出入りしていたプロ野球選手の情報を入手しており、“救いの手”を差し伸べたとみられる一方で、思いのほか進まぬ各球団からの野球賭博の報告に業を煮やし、ブラフをかけたと見る向きもある。 自ら名乗り出れば「無期限もしくは1年間の失格」。一方、シラを切って逃げおおせることも可能だが、その後に発覚すれば「永久追放」の極刑…。ここから先は神経戦だ。 警察当局は、これまで押収した顧客リストに加え、逮捕した闇カジノの元従業員らから、情状酌量をエサに人気選手の名前を引き出したとも伝えられる。 NPB野球賭博調査委員会の大鶴基成委員長は「野球協約の中でのぎりぎりの措置。仮に有害行為をした選手がいるとすれば、申告しようかどうかという苦しみから、早期に解放してあげる必要性がある」と微妙な言い回しで“自白”を迫っている。 4月25日までの間、身に覚えのある選手にとっては、自分との戦いだ。球界には、ペナントレース以上の緊迫感が漂っている。
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スポーツ 2016年04月19日 16時00分
再び球界大炎上! 闇カジノ賭博事件 警視庁がマークする疑惑のプロ野球選手リスト(1)
日本バドミントン協会は10日、違法カジノ店で賭博行為をした、リオ五輪でのメダル獲得が確実視されていた桃田賢斗(21・NTT東日本)の無期限の競技会出場停止を決めた。警視庁はそこから闇カジノに出入りしていた疑惑のプロ野球選手のリストも入手しており、再び球界が大炎上寸前の事態に陥っている。 実は男子バドミントンの桃田が闇カジノに出入りしていた問題が表面化したことで、バドミントン協会首脳以上にショックを受けていたのが巨人だ。3月25日に行われたヤクルトとの開幕戦(東京ドーム)で桃田に始球式を務めさせたこともあるが、闇カジノで賭けに興じていたことに対するバドミントン協会の厳正な処分が、巨人の手ぬるい処分に跳ね返ってくることを危惧したからだ。 巨人は、野球賭博の関与でNPB(日本野球機構)熊崎勝彦コミッショナーから1年間の失格処分を下された高木京介投手との契約解除を発表した3月11日、選手・監督・コーチら175人、球団職員124人の計299人の調査結果も公表。すでに処分を受けている笠原将生、福田聡志、松本竜也投手及び高木京とは別の選手1人が「闇スロット」への出入りを申告してきたことも明らかにした。 しかし、野球協約に抵触していないとの理由で選手名は公表せず、厳重注意にとどめていた。 さらに明らかになった「声出し」と「高校野球くじ」のほか、14人が賭けマージャン、23人が賭けトランプの経験があると答えていることも明かしていた。高木京については、2013年から'14年にかけて“闇スロット店”に数回出入りし、1回10万円程度の勝ち負けがあったとの報告も受けたという。 前述のバドミントン協会の処分は、今後の方向を占う意味での指針となるため注目が集まったが、“主犯格”のロンドン五輪代表の田児賢一(26、NTT東日本)は無期限の登録抹消。桃田も無期限の競技会出場停止が科され、また、同行為をしていた日本B代表の古賀輝は1年間の競技会出場停止処分という予想以上に厳しい内容を受けた。 とりわけ、男女を通じて初となるシングルスのメダル獲得が有力視されていた桃田の、リオ五輪への門戸が完全に閉ざされた処分は日本中に衝撃を与えた。 「これは闇スロット通いを選手が告白しても、選手名さえ公表せず、頬かむりしていた巨人への警告です。警視庁サイドからは、これまでの摘発で闇カジノに出入りしていた顧客名簿を入手しており、有名選手、コーチも含め、相当数いるとの情報もある。いきなりバッサリでは球界が大混乱するし、東京五輪の野球復活が正式に決まる今夏のIOC(国際オリンピック委員会)理事会にも支障が出る。NPBとしては選手個々が自ら申し出ることで穏便な制裁にとどめ、幕引きを図りたいのでしょう」(文科省関係者)
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スポーツ 2016年04月17日 12時00分
IWGPヘビー級王座奪取の内藤哲也がトランキーロ政権樹立!
【尋常じゃない内藤の支持率】 「この会場の雰囲気、この声援、あなたの耳にしっかり届いてますか? 新日本プロレスワールドをご覧の木谷オーナー」 4・10両国国技館大会でオカダ・カズチカを倒し、夢だったIWGPヘビー級王座を奪取した内藤哲也は、渡されたベルトをリングに投げ飛ばしてマイクを掴み、“体制側の象徴”木谷高明オーナーを挑発した。この試合をシンガポールで見ていた木谷オーナーは、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの介入によるタイトル移動に憤り、飲んでいたビールを投げつけたという。しかし、当日もし木谷オーナーが来場していたら、大ブーイングと「帰れ」コールが送られていたのは言うまでもない。 関係者の話によると、今回の両国大会は前売り券の売り上げが順調で、当日券も若干数のみの発売だったという。結果9,078人(超満員札止め)の動員をマーク。今大会用に作られたスペシャルパンフレットも完売した。会場にはロス・インゴベルナブレスグッズを身に付けているファンが数多く見られ、対戦カード発表のオープニング映像が流れた時点から会場は「内藤哲也王座奪取」に向けてすでにムードが高まっていた。 そうしたファンの感情は、メインイベントで内藤の入場テーマ曲が流れると、大・内藤コールとなって爆発。最近の新日本の会場でテーマ曲に合わせてコールが起こるのは珍しい。逆にオカダには入場時からブーイングが飛ぶという異様な空気。これまでどんな選手を相手にしても余裕の表情を隠さなかったオカダだが、どんなに反則をしてもブーイングすら起こらない内藤を前に、徐々に焦りの表情を見せていた。まさに内藤の代名詞である「トランキーロ(焦んなよ)」の術中にハマってしまったというのが正直なところだろう。内藤は予告通りデスティーノでオカダを沈め、2011年1月から5年以上に渡り、棚橋弘至、オカダ、AJスタイルズの3人しか腰に巻いてないIWGPヘビー級王座のベルトを手にした。【新しいパレハはSANADA】 “何かが起こる”春の両国大会で今年も事件が起きた。メインの試合中、オカダがフィニッシュに向けて吠えたところに後ろから忍び寄る覆面を被ったマッチョマン。男はオカダを担ぎ上げるとハワイアン・スマッシャーを喰らわせ、自らマスクに手をかける…。正体は全日本プロレス、WRESTLE-1、アメリカTNAに所属し、現在はフリーとして活動していた真田聖也。前日に大日本プロレス札幌大会に参戦していたことや、髪型をイメージチェンジしたことで、最初は「誰だ?」という声も多く上がっていたが、直後に放ったムーンサルトプレスは名刺代わりというには十分な一発だった。 真田とロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのメンバーには繋がりがある。BUSHIとは全日本時代の同期の仲、EVILとはEVILが渡辺高章だった時代にアメリカでタッグを結成し、カール・アンダーソン&ドク・ギャローズと対戦。そして、内藤とは新日本の入団テストを一緒に受けたというストーリーがある。また、東京スポーツが主催し、新日本、全日本、プロレスリング・ノアの3団体が2011年に日本武道館、2012年に仙台サンプラザで開催した東日本大震災復興チャリティー興行「ALL TOGETHER」では、両大会とも真田と内藤がタッグを結成。仙台大会の試合後に内藤が「もう真田とは同じコーナーに立ちたくない。もう俺を真田の横にくっつけないでくれ」と言えば、真田も「もう次はホント、組むのはないっすね。次は相手のコーナーにいることを望んでいます」と語っていた。同年7月に新日本と全日本が旗揚げ40周年記念として行った「サマーナイトフィーバー in 両国 WE ARE PRO-WRESTLING LOVE!」では内藤がタマ・トンガ、真田がジョー・ドーリングをパートナーに従え対戦し、試合後に握手を拒否したことからシングル対決への期待が膨らんでいた。 こうした経緯があるだけに、あれから4年の月日が経ち、2人が対角線上に立つならまだしも、こんな形で組むことになろうとは全く予想できなかった。真田はSANADAとリングネームを改め、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの新メンバーとして次期シリーズからの参戦が決定。5・3福岡国際センター大会ではオカダとのシングルマッチが組まれた。実はSANADAとオカダはともに28歳で同い年。同世代のライバルが不在だったオカダにとっては、新たな刺激になるのではないだろうか。【内藤の次なる挑戦者は石井】 「俺に決定権があるなら、キャプテン・ニュージャパンと防衛戦30連戦やりますよ」 次期挑戦者が石井智宏だと“会社に決められた”ことを不服とした内藤は、11日に新日本プロレスの事務所で行われた一夜明け会見でこのように発言した。内藤にとって石井は、先月行われた「NEW JAPAN CUP 2016」2回戦で勝った相手であり、「キャプテン・ニュージャパンのIWGP初挑戦の方が見たくないですか?」という内藤の言葉にも頷けてしまう。こうしたファン心理を突いた発言が、内藤が支持率をどんどん上げている一番の理由である。お互いに挑発合戦を繰り返している木谷オーナーとの遭遇も、木谷オーナーが会場を訪れたときに遅かれ早かれ実現するはずで、それを期待する声も多い。しかし、内藤はそんなファンに対しても「トランキーロ!」と言い放つはずだ。 混沌とした時代に生まれた内藤哲也のトランキーロ政権。時代の後押しとともに長期政権となる予感がする。(増田晋侍)<新日Times VOL.14>
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スポーツ 2016年04月16日 16時00分
俺たちの熱狂バトルTheヒストリー〈“薬師寺vs辰吉”忘れじの死闘〉
1994年(平成6年)12月4日、名古屋レインボーホールで開催された日本人同士のWBC世界バンタム級王座統一戦。このとき正規の王者は薬師寺保栄で、辰吉丈一郎は同級の暫定王者だった。格でいえば薬師寺が上でありながら、戦前の下馬評では辰吉の圧倒的有利と目されていた。 「日本ボクシング史上最短で世界王座を獲得した辰吉と、王者とはいえ無名の薬師寺というのが、当時は一般的なファンの見方で、専門家やマニアもその見解に大きな違いはありませんでした」(ボクシング記者) '93年、網膜剥離により一時は現役引退を宣告された辰吉に、既定のルールを曲げてまで復帰の道を開いたのは、日本ボクシング界のドンといわれた帝拳プロモーションの本田明彦会長だった。 「辰吉が傘下の大阪帝拳ジム所属で、その人気が金になるという算段はもちろんあったでしょう。しかし、それも辰吉の才能を信じたからこそ。本田会長がそこまでするのだから、やはり辰吉は本物に違いないという道理です」(同) さらにいえば、薬師寺への評価は芳しくなかった。網膜剥離で試合をキャンセルした辰吉の代役として、王者・辺丁一(韓国)に挑んだ世界戦、薬師寺は判定勝ちを収めたもののスポーツ紙では、〈すべての面で王者・辺が上〉〈ジャパンマネーが判定をゆがめた〉などと批判を受けていた。 「その後、辺陣営の抗議もあって行われた再戦では、5度のダウンを奪いKOで快勝したものの、やはり最初の試合のイメージが強かった。また、デビューからしばらくは、パンチを打ってはすぐに退くファイトスタイルから“チキンハート”と呼ばれており、ボクシングに詳しい人ほどその印象があったでしょう」(同) 薬師寺は辰吉戦までにアメリカで猛特訓を積み、目覚ましい進化を遂げていたのだが、名古屋のジム所属のために全国区での試合放映はなく、一般ファンがそうした事情を知ることはなかった。 世紀の一戦と世間を煽りつつも、まるで辰吉復活祭の様相だったが、そのムードを一変させたのが両者の舌戦だった。 「薬師寺は勘違い君。主役と勘違いの力の差を見せつけたるわ」 「あの年齢になって髪の毛を染めるようになっちゃあかんよ。そんなん社会人デビューしたらダメ。ああいうのはもう中高生で終わるのが当たり前。きっと彼の場合、その間に目立つ時がなかったんやろね、輝ける時が…」 「チャンピオンになっているから強いんやろうけどね。しょせん僕とはケタが違う!」(いずれも辰吉) 「王座決定戦の当日は辰吉君もチャンピオンベルトを巻いてくるが、そのベルトには“暫定”と書いてこい」(薬師寺) 壮絶な舌戦に大きな関心が寄せられるとともに、ファイトマネーも高騰し、両者1億7000万円という破格の金額が積み上げられた(もっとも試合を主催した薬師寺側は、もろもろの経費支払いのため1億円以上がそちらに回され、当人に渡されたのは3000〜4000万円だったという)。 過去に類を見ないほどの盛り上がりの中、ついに試合開始のゴングが鳴った。1Rこそはそれぞれ相手の様子をうかがうような静かな立ち上がりとなったが、それも徐々にヒートアップ。6Rまでには両者ともまぶたから出血するほどの激しい打ち合いとなる。 「ファイトスタイルはガードを固めず積極的に前へ出る辰吉と、ジャブで距離を取ってフットワークを活かす薬師寺で対象的。噛み合わない試合になる懸念もあったが、いい意味で裏切られました」(ジム関係者) だが、試合中盤あたりから形勢に差がつき始める。必死の形相で前に踏み出す辰吉だが、それに比して手数が出ない。 対して、薬師寺の左ジャブから右ストレートのコンビネーションブロー、左右のフックが、的確に辰吉を捉えていく。 「実はすでに1Rで、辰吉は左拳を骨折していたのですが、それでも最終12Rには連打で薬師寺をロープ際まで追い詰めるド根性を見せた。もし、薬師寺が並みのボクサーなら、あの気迫だけで圧倒されていたでしょう」(スポーツ紙記者) 薬師寺勝利の判定が下ると、辰吉はこれまでの因縁などまるでなかったかのように、勝者を抱きかかえて祝福したのだった。
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スポーツ 2016年04月15日 16時00分
巨人 開幕ダッシュでも東京五輪の野球取り消し危機
野球賭博、薬物疑惑など最悪の状況で船出した“由伸・巨人”が、新人監督では藤田元司氏以来35年ぶりの開幕4連勝。下馬評を覆して驚異的な底力を見せつけた。 その要因は、東京五輪に追加採用される予定の「野球・ソフトボール取り消し」への危機感だという。 「東京五輪の追加競技・種目を審議する国際オリンピック委員会(IOC)理事会が6月に開かれ、大会組織委員会が候補に希望した野球・ソフトボール、空手、スケートボード、スポーツクライミング、サーフィンがプレゼンテーションを行いますが、3月に入って、復活が確実視されていた野球・ソフトボールが微妙になった。その原因が巨人にあり、汚名返上に躍起なのです」(全国紙・運動部記者) 野球・ソフトの復活が微妙になってきたのは、米大リーグが五輪参加に消極的なことに加え、IOCが「復活する5競技で上限500人」の条件を設け、野球・ソフトボールの出場国はそれぞれ6カ国に絞られたことも関係している。これではメダル争いは意味がないという声が渦巻いているのだ。 「そこに来ての元巨人の清原被告の覚醒剤事件や野球賭博が致命的となった。これらは海外メディアでも報じられ、五輪憲章に明らかに違反することから、各国のIOC理事が反発しているのです」(東京五輪組織委員会関係者) 修正案として「野球・ソフトボール」から野球を外し、「ソフトボール12カ国」、大会組織委員会が追加候補から外したボウリング、スカッシュの復活などが挙がっているとの情報もある。 「しかし、ペナント戦で首位を走れば、敵対する陣営がまたぞろ賭博、薬物疑惑をリークするでしょうし、5月には清原の公判も始まります。東京五輪の野球復活を思えば、IOC総会が終わる8月までは巨人には鳴りを潜めてもらい、賭博問題のフェードアウトを待つ。これが最良のシナリオですが…」(前出・記者) NPBは開幕前、再発防止に「12球団共同声明」を発したが、この程度では東京五輪の野球復活は難しい。巨人の開幕連勝はめでたくもあるが、嬉しくはなし?
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スポーツ 2016年04月14日 16時00分
プロ野球「春の大嵐」 急展開! 日本ハム・大谷が今オフ前倒しメジャー挑戦へ
日本ハムの大谷翔平投手(21)が開幕から好調な“打撃”を見せている。3月29日のオリックス戦で3ランを含む自己最多5打点と大暴れすると、翌30日にも2ラン。既に投手ではMAX162キロの超人伝説を築き上げたが、プロ4年目はギアをもう一段上げ、「二刀流」での飛躍を目指している。 「昨季までは野手で出場する際、最低でも登板日の前後2日間は間隔を空けていました。それが今季は登板日の前後1日だけ。球団は体力的な負担を懸念しているが、本人が“二刀流”を強く望んでいるのです。1年でも早いメジャー転身への布石でしょう」(日本ハム担当記者) 大谷がやたら早期渡米を目指すのは、メジャー球団のスカウトから「今オフを逃せば、メジャー移籍は困難になる」という情報を得ているからだ。アメリカ大統領選挙に向けた野党・共和党の候補者選びでトップを走るドナルド・トランプ氏が、ここに来て「日本人選手の締め出し、日本球界との関係見直し」を口にし始めたことが背景にある。 「移民規制」で支持者を飛躍的に増やしているトランプ氏。日本での報道は「ムスリム(イスラム教徒)の米国入国をすべて禁止」という部分ばかりを強調しているが、実は「メジャーでプレーする日本人選手」も標的にしているのだ。彼らのせいでMLBを目指す米マイナーリーグの若手選手の生活が脅かされているとし、マイナー契約をして渡米する若手選手も含め、ビザの発給制限をする方針なのだ。 米球界から不平等の声が出ている「ポスティング・システム(入札制度)」も撤廃縮小させる考えだ。日本球団への入札金は「上限2000万ドル(約23億円)」に引き下げられたが、契約が切れる来年からはさらに大幅ダウン、もしくは撤廃が予想される。そうなれば、入札金のメリットが消滅し、日本球団は所属選手のポスティングによるメジャー移籍を認めなくなる。日米球界の摩擦は頂点に達するのだ。 「今の流れなら、今年11月に共和党の候補者はトランプ氏で決まる。大谷は“160キロ&50発”のポテンシャルを実証し、予定を前倒してメジャー移籍するしかない。この機会を逃せば来年から2期8年は日本を出られない可能性があるからです」(スポーツ紙デスク) 海外FA権取得には実働9年が必要で、大谷は裏技にも知恵をめぐらしているという。投手や野手の単品なら9年でも「二刀流なら2倍速」という計算方式だ。 「高校卒業後、ドジャース入りを目指していた大谷が、日本ハムの1位指名をあえて受け入れたのは、二刀流を認めてくれたからに他ならない。入団時に投打で活躍することで“1シーズンを2年分にカウントする”との密約があったとも噂されている。9年を4年半で済ますために、大谷投手は打者にもこだわるのです」(選出・デスク) そんな背景を知ってか知らずか、米メディアは、こぞって「地球最高の有望株」と絶賛。かのトランプ氏にとっても、“160キロ&50発”だけは例外?
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スポーツ 2016年04月13日 16時00分
プロ野球「春の大嵐」 好発進! 金本阪神が手本とする「2003V星野野球」
アニキの野球は、“'03年の星野スタイル”を継承したものだった。 黒星スタートではあったが、金本知憲監督(48)は開幕カードを勝ち越した。この「●○○」の星取りは、'85、'03、'05年と同じ。そう、リーグ優勝を勝ち取った年である('85年は日本一)。 「好調なスタートを切れた最大の勝因は打順改造です。1番高山、2番横田、3番ヘイグの新打順が機能しており、チーム全体に攻撃的、かつ積極的なムードを生み出しました」(TV局員) オープン戦終盤、金本監督は「1番高山俊、2番横田慎太郎」をテストした。若い2人の勢いそのままに乗じた格好だが、アニキは苦悩に苦悩を重ね、この打順を決断したのが真相だ。 「新人の高山は1番バッターとして、開幕から4戦連続安打、2リーグ制以降初となる新人の『初球先頭打者アーチ』など、素晴らしい結果を出しています」(在阪記者) しかし、俊足なのは横田の方で、「1番横田」も検討されたが、結局、金本監督は「1番高山、2番横田」を選択した。しかし、2番に俊足を置く打順、その下地はあった。'03年、星野仙一監督時代の野球だ。 「『1番今岡、2番赤星』の'03年の打順です。狙いは星野監督と同じ。星野監督もバントを嫌う指揮官でした。1番バッターが出塁し、2番バッターに打たせようとすると、併殺の危険性を伴います。2番に俊足バッターを置けば、併殺を免れますので」(前出・在阪記者) 開幕戦の初回の攻撃がそうだった。高山が出塁したが、横田はピッチャーゴロ。しかし、俊足が利いて併殺は免れた。その併殺崩れが先制点につながった。 「金本監督は就任当初から打順に関しては『1番とか2番を気にするのは初回の攻撃だけ』と言っていましたが、時間が経つにつれ、打順編成にも慎重になってきました。一方で、母校・東北福祉大の伊藤義博監督(故人)の野球にも似ているとの声も聞かれました。伊藤監督は『厳しく、明るく』の方針で、闘争心を全面に出す野球を掲げていました」(球界関係者) また、3番打者に匹敵する『攻撃的2番』だが、キャンプ中は横田以外の腹案も秘めていた。鳥谷敬、大和、ヘイグ、福留孝介がそうだが、ある情報を聞き、金本監督は「そう来たか…」と嘆き、考え直したという。 「DeNAのラミレス監督が『2番梶谷』で攻撃的打順を作ろうとしていると聞き、先を越されたと思ったんです(故障で実現せず)。二番煎じはイヤとのことでした」(前出・関係者) “斬り込み隊長”として、東京六大学の最多安打記録を持つ高山を1番に置くのはともかく、横田の2番は“賭け”でもあった。バントはしないとはいえ、高山が高い出塁率を誇っている以上、チャンスを広げるか否か、重要な場面で打席が回ってくる。精神的に図太くなければ務まらない。 「横田がよく口にするのは『興味ありません』の言葉です。横田の人となりを取材するため、記者団はテレビ、芸能人、クルマなど色々な話題を振りますが、帰ってくるのはその言葉だけ。野球に専念しているようですね」(前出・在阪記者) 高山とのライバル関係も、金本監督はあおっている。 「紅白戦で高山がランニングホームランを打ちました(2月28日)。そのとき中堅を守っていたのが横田で、彼は高山に負けたくない一心で無理にダイレクトキャッチを試み、失敗したんです。高山が目の前で打てば、横田の闘争心はいつも火が点いたままですから」(前出・関係者) この1・2番コンビが他球団の研究で不振に陥ったときは、6・7番に下げた鳥谷敬、西岡剛の使い方を変える。勢いのある新顔を使うのも“星野野球”の特徴だった。ベテランが控えているから、金本監督も決断できたのだろう。 「星野監督は怖かったけど、赤星には絶対に怒りませんでした。何度サインの見逃しをしても、です。ベンチ裏で矢野燿大現コーチが殴られたとの逸話も残っていますが、赤星に対してはニコニコして接していました。今、金本監督は裏で鳥谷らに喝を入れていますが、若手には怒らない。怒られて燃える選手とそうでない選手を見極めているのも星野監督と同じ」(前出・関係者) 藤浪晋太郎投手が29日のヤクルト戦で147球を投げたが、完投は逃した。また、開幕戦ではメッセンジャーに盗塁のサインを出した。「投手にも盗塁させる」は本誌既報通りのトラ秘策だが、古参のOBたちは「開幕から猛ダッシュで息切れしないか?」と心配しているという。 「真価が問われるのは怪我人が出たとき。その対処法に注目したい」(阪神OB) 就任1年目でリーグ優勝を果たせば、師匠もなし得なかった快挙達成となる。