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プロ野球「春の大嵐」 好発進! 金本阪神が手本とする「2003V星野野球」

 アニキの野球は、“'03年の星野スタイル”を継承したものだった。
 黒星スタートではあったが、金本知憲監督(48)は開幕カードを勝ち越した。この「●○○」の星取りは、'85、'03、'05年と同じ。そう、リーグ優勝を勝ち取った年である('85年は日本一)。
 「好調なスタートを切れた最大の勝因は打順改造です。1番高山、2番横田、3番ヘイグの新打順が機能しており、チーム全体に攻撃的、かつ積極的なムードを生み出しました」(TV局員)

 オープン戦終盤、金本監督は「1番高山俊、2番横田慎太郎」をテストした。若い2人の勢いそのままに乗じた格好だが、アニキは苦悩に苦悩を重ね、この打順を決断したのが真相だ。
 「新人の高山は1番バッターとして、開幕から4戦連続安打、2リーグ制以降初となる新人の『初球先頭打者アーチ』など、素晴らしい結果を出しています」(在阪記者)

 しかし、俊足なのは横田の方で、「1番横田」も検討されたが、結局、金本監督は「1番高山、2番横田」を選択した。しかし、2番に俊足を置く打順、その下地はあった。'03年、星野仙一監督時代の野球だ。
 「『1番今岡、2番赤星』の'03年の打順です。狙いは星野監督と同じ。星野監督もバントを嫌う指揮官でした。1番バッターが出塁し、2番バッターに打たせようとすると、併殺の危険性を伴います。2番に俊足バッターを置けば、併殺を免れますので」(前出・在阪記者)

 開幕戦の初回の攻撃がそうだった。高山が出塁したが、横田はピッチャーゴロ。しかし、俊足が利いて併殺は免れた。その併殺崩れが先制点につながった。
 「金本監督は就任当初から打順に関しては『1番とか2番を気にするのは初回の攻撃だけ』と言っていましたが、時間が経つにつれ、打順編成にも慎重になってきました。一方で、母校・東北福祉大の伊藤義博監督(故人)の野球にも似ているとの声も聞かれました。伊藤監督は『厳しく、明るく』の方針で、闘争心を全面に出す野球を掲げていました」(球界関係者)

 また、3番打者に匹敵する『攻撃的2番』だが、キャンプ中は横田以外の腹案も秘めていた。鳥谷敬、大和、ヘイグ、福留孝介がそうだが、ある情報を聞き、金本監督は「そう来たか…」と嘆き、考え直したという。
 「DeNAのラミレス監督が『2番梶谷』で攻撃的打順を作ろうとしていると聞き、先を越されたと思ったんです(故障で実現せず)。二番煎じはイヤとのことでした」(前出・関係者)

 “斬り込み隊長”として、東京六大学の最多安打記録を持つ高山を1番に置くのはともかく、横田の2番は“賭け”でもあった。バントはしないとはいえ、高山が高い出塁率を誇っている以上、チャンスを広げるか否か、重要な場面で打席が回ってくる。精神的に図太くなければ務まらない。
 「横田がよく口にするのは『興味ありません』の言葉です。横田の人となりを取材するため、記者団はテレビ、芸能人、クルマなど色々な話題を振りますが、帰ってくるのはその言葉だけ。野球に専念しているようですね」(前出・在阪記者)

 高山とのライバル関係も、金本監督はあおっている。
 「紅白戦で高山がランニングホームランを打ちました(2月28日)。そのとき中堅を守っていたのが横田で、彼は高山に負けたくない一心で無理にダイレクトキャッチを試み、失敗したんです。高山が目の前で打てば、横田の闘争心はいつも火が点いたままですから」(前出・関係者)

 この1・2番コンビが他球団の研究で不振に陥ったときは、6・7番に下げた鳥谷敬、西岡剛の使い方を変える。勢いのある新顔を使うのも“星野野球”の特徴だった。ベテランが控えているから、金本監督も決断できたのだろう。
 「星野監督は怖かったけど、赤星には絶対に怒りませんでした。何度サインの見逃しをしても、です。ベンチ裏で矢野燿大現コーチが殴られたとの逸話も残っていますが、赤星に対してはニコニコして接していました。今、金本監督は裏で鳥谷らに喝を入れていますが、若手には怒らない。怒られて燃える選手とそうでない選手を見極めているのも星野監督と同じ」(前出・関係者)

 藤浪晋太郎投手が29日のヤクルト戦で147球を投げたが、完投は逃した。また、開幕戦ではメッセンジャーに盗塁のサインを出した。「投手にも盗塁させる」は本誌既報通りのトラ秘策だが、古参のOBたちは「開幕から猛ダッシュで息切れしないか?」と心配しているという。
 「真価が問われるのは怪我人が出たとき。その対処法に注目したい」(阪神OB)

 就任1年目でリーグ優勝を果たせば、師匠もなし得なかった快挙達成となる。

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