スポーツ
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スポーツ 2016年07月26日 14時00分
広島・黒田200勝達成で加速する「8月V」へ緒方マジック(1)
メークドラマの引き立て役にされた屈辱を晴らす−。前半戦を首位で折り返した緒方カープは「黒田の200勝達成」で、8月優勝を目指して猛進撃だ。 「'96年、最大11.5ゲーム差もあったのに、広島は当時の長嶋巨人にひっくり返され、『メークドラマ』の引き立て役にされてしまいました。当時のことを体験した選手はいませんが、緒方孝市監督(47)や一部コーチはまだ覚えています。新井貴浩も'08年に、阪神で『メークレジェンド』の引き立て役にされた悔しさは忘れていません」(地元メディア陣の1人) 広島版メークドラマが始まった。今シーズン前半戦の牽引役が2000本安打を達成した新井だとすれば、勝負どころの後半戦、チームのまとめ役となるのは、男・黒田博樹(40)である。 「新井が2000本安打を達成する直前、チームは『1日でも早く』と盛り上がっていました。黒田はチーム内に強い影響力を持ったエースです。その男が節目の200勝を達成するとなれば、チームはさらに活気づくはず」(同) 今の広島に対し、「好調過ぎる。一度はつまずくのでは?」と懸念する声もないわけではない。だが「神ってる」とも称される広島について、優勝を確証するデータも出てきた。 プロ野球の過去の歴史を振り返ると、2位に10ゲーム以上引き離して首位ターンしたチームの出現は'03年の阪神以来、9年ぶり。今季の広島は9チーム目となるが、過去8チームはすべて優勝している(メークドラマ時は10ゲーム以内)。 また、7月13日の前半戦最終ゲームでのことだ。同日は黒田が200勝達成に挑戦した2度目の試合でもあった。ここで黒田が勝っていたら、2位巨人とのゲーム差は「12」に広がっていた。メークドラマが「11.5」だったわけだから、2位ヨシノブ巨人にとってそれ以上の過酷な数字、事実上の終戦となっていた。 「黒田の200勝をかけた挑戦ですが、本人はあまりこだわっていないようです。でも、広島打線は逆に緊張してた」(スポーツ紙記者) この現象は、優勝候補の筆頭に挙げられながら、実力を発揮できなかった昨季と同じだ。しかし、今季は違う。緒方監督はしたたかな一手をすでに打っていた。 「広島からオールスター戦に選ばれたのは7人。投手では野村祐輔と中崎翔太の2人だけ。黒田も選ばれて当然でしたが、緒方監督が巧く交渉したようです」(球界関係者)
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スポーツ 2016年07月26日 11時23分
暗黒時代突入? 金本監督の「鳥谷スタメン落ち」が遅れた真相
7月24日、虎のキャプテン・鳥谷敬(35)がスタメンから消えた。連続フルイニング出場の記録は、667でストップした。今季は攻守ともに絶不調であり、金本知憲監督(48)の決断を批難する声は聞かれなかった。しかし、後半戦の舵取りはさらに難しくなってしまったようだ。 虎の後半戦は連敗スタート。本拠地・甲子園で対巨人3連戦を全敗し、次の広島3連戦でも連敗。広島との2戦目となる7月23日には黒田博樹(41)の日米通算200勝目を献上してしまった。 「打撃好調だった西岡剛を怪我で失い、今の阪神には『軸』になる選手がいません。鳥谷とゴメスの打撃不振は完全な計算外、藤浪が勝てないのも痛い」(プロ野球解説者) 後半戦のスタートとなる巨人3連戦を終えた時点で、「甲子園での対巨人戦勝ち星ナシ」。これは、1990年と同じだ。データ上、万年最下位候補だった『暗黒時代』と重なってしまったのだ。 こんなことがあった。関西系メディアが阪神OBによる金本知憲監督(48)へのインタビューを試みた。その際、インタビュアのOBは「わりとニコニコしてるな。もっとイライラしてると思っていた」と切り出すと、金本監督は、 「イライラしてるよ。試合中は!」 と返した。本心だろう。チーム再建の超変革はまだ始まったばかりであり、時間が掛かるということを金本監督も痛感しているのではないだろうか。 主砲・ゴメスをスタメンから外した後、金本監督は捕手・原口文仁(24)の一塁守備をテストしている。原口を将来の大砲候補として育てていくのか、「打てる捕手」として鍛えていくのか、迷っているのだろう。 金本監督のいちばんの悩み、迷いは鳥谷の処遇だった。関係者によれば、金本監督はコーチスタッフに「鳥谷のスタメン外し」を何度も相談していたそうだ。 「鳥谷は攻守ともに絶不調で、『鳥谷は体調が悪いのではないか?』『今後も守備負担の大きいショートで起用し続けていいのか?』などを口にしていました。球宴前までは、安心してショートを託せる代わりの選手がいないとし、鳥谷を使い続けたんですが」(関係者) 新遊撃手として、名前が上がった選手も何人かいたそうだ。北條史也(21)の名前が真っ先に出て、次に大和(28)。今は二軍だが、植田海(20)の名前も出たそうだ。しかし、ショートは重要ポジションであり、いくら不振でも、鳥谷が外されたとなれば、チーム全体が動揺する。金本監督はその連鎖反応を恐れたという。 「試合前、早出練習を毎日しているのが鳥谷です。その鳥谷の背中を見て、若手がマジメに練習しているのも事実であって、鳥谷を使い続けた金本采配も間違っていなかったと思います」(前出・関係者) 鳥谷を外した7月24日の試合後、何人かの阪神首脳陣は、代わりにショートを守った大和の「守備センス」を口にしていた。 「鳥谷が海外FA権を行使した14年オフ、当時の指揮官だった和田監督が真っ先に後継遊撃手に指名したのも大和でした。真弓明信氏が監督を退いた11年オフ、『サード・鳥谷、ショート・大和』のコンバート案も出ていました」(プロ野球解説者) 「試合中、イライラしている」という金本監督の言葉は、「我慢して使っている」の意味にも聞こえる。若手を使うということは、ベテランと主力が安定した力を発揮していることが大前提となる。鳥谷、ゴメス、藤浪、そして結果を出しても長続きしない若手…。超変革が達成できるかどうか、まずは鳥谷が不振から脱することではないだろうか。
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スポーツ 2016年07月25日 14時00分
プロレス解体新書 ROUND11 〈“選ばれし神の子”の試練〉 中邑真輔vsダニエル・グレイシー
今春、新日本プロレスから米WWEへと活動の場を移した中邑真輔。デビュー当初の格闘スタイルから変貌し、「イヤァオ!」と叫びながら体をクネらせる独自のファイトが、いまや米マット界でも認められつつある。 新日入団当初から大きな期待を寄せられた中邑だが、果たしてそれは当人の望むものだったのか…。中学の頃からプロレスラーに憧れていたが、周囲の勧めもあって青山学院大学に進学。中邑は同大レスリング部の主将まで務めた。 ようやく新日入門となったのは2002年。しかし、当時のプロレス界、中でも新日は総合格闘技という荒波に飲み込まれようとしていた。 PRIDEに参戦した藤田和之を筆頭に、永田裕志、安田忠夫、石澤常光(ケンドー・カシン)、小原道由らが相次いで総合格闘技のマットに挑戦。その当初には、藤田が“霊長類最強”とうたわれたマーク・ケアーに勝利し、'01年の大みそかには安田もジェロム・レ・バンナに涙の勝ち名乗りを上げる金星もあったが、一方で同年には藤田と永田がミルコ・クロコップに連敗するなど、格闘技路線における新日の先行きは決して明るいものではなかった。 そこに入門してきたのが中邑である。レスリングの実績があり、さらには和術慧舟會で総合の練習もしていた。加えて、体格に恵まれマスクもいいとあっては、新日関係者が色めき立つのも当然だった。 デビュー戦は'02年8月、藤田和之プロデュースと銘打たれた新日の日本武道館大会。相手に選ばれたのは元IWGP王者で、当時は魔界倶楽部のリーダー格だった安田。試合順は休憩明けの第7試合という破格の扱いだった。 いざ試合となっても素早いタックルからマウントを奪い、安田の巨体をジャーマン・スープレックスで投げ捨てるなど見せ場はたっぷり。結果、安田のフロントチョークで敗れたとはいえ、今後の飛躍を大いに期待させるパフォーマンスを披露してみせた。 これにより中邑には“選ばれし神の子”というキャッチフレーズが与えられた。 「この頃の新日で“神”といえば、もちろん創業者であるアントニオ猪木のこと。つまり、猪木に選ばれた中邑が、当時、猪木が執心していた格闘技路線に進むことを意味していました」(プロレスライター) だが、幼い頃から祖母に抱かれてテレビのプロレス中継に親しみ、プロレスゲームに熱中してきたという中邑にとって、格闘技路線は本来の望む姿とは別物だった。 「新日入団前のファンの時代には、『誰かプロレスラーが格闘家に落とし前をつけてくれ』との思いを抱いていたそうで、それを自身が担うことにも矛盾はなかったでしょう。それでもプロレスラーとしての修行もそこそこに、格闘技路線へ進むことへの違和感は少なからずあったのでは…」(同) しかし、そんな中邑の本音から離れて事態は進んでいく。デビュー戦を終えると間もなく米国の新日LA道場へ飛び、総合格闘技のトレーニングを積むことになった。 そうして迎えた同年の大みそか『INOKI BOM-BA-YE2002』において、中邑のデビュー第2戦が行われた。 人気急上昇中のボブ・サップvs高山善廣をメーンとし、藤田vsミルコのリベンジマッチ、吉田秀彦vs佐竹雅昭の柔道と空手対決などがラインナップされる中、中邑はヘンゾ・グレイシーの従弟にして弟子のダニエル・グレイシーに挑むことになった。 ところが、周囲の期待も空しく、試合はダニエルの完封といっていい内容に終わった。左のリードブローからタックルに入ったものの、中邑はそこからの攻め手を欠いた。 途中で眉尻をカットする不運もあったが、終始、グラウンドで主導権を握るダニエルに対し、中邑は反撃らしい反撃もできず、最後は見え見えの腕十字狙いからしっかりと極められて、2Rタップアウトとなったのだった。 「ダニエルもそれまでプロとしては、ノアの杉浦貴に勝ったのみで、中邑と同じくデビュー2戦目でしたが、長きにわたり柔術を学んできた経験値が違う。付け焼刃の特訓でかなう相手ではありませんでした」(格闘技記者) その後も中邑は、アレクセイ・イグナショフとの無効試合をめぐるいざこざなどがあり、格闘技戦において目覚ましい結果を残すことはなかった。 「中邑がいい意味で開き直ったのは'03年の大阪ドーム大会。新日マットに格闘色を求める猪木に反旗を翻し、リング上で鉄拳制裁された一件からです。これ以降、猪木の呪縛から解き放たれたのではないでしょうか」(前出・プロレスライター) '04年、IWGP王者のボブ・サップに挑戦表明した際、中邑は「K-1とかPRIDEとかよく分かんねえけど、一番スゲエのはプロレスなんだよ」と言い放ったが、その言葉通り格闘技のイメージを離れて、純プロレスラーとしてスター街道を歩み始めることになる。
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スポーツ 2016年07月24日 12時00分
ライガー「これが『J-CUP』だ!」Jr.オールスター『SUPER J-CUP』開幕!
プロレスジュニアヘビー級選手16人(8団体と鈴木軍)参加によるオールスター戦『SUPER J-CUP 2016』が20日後楽園ホールで幕を開けた。準々決勝、準決勝、決勝戦は8月21日に有明コロシアムで行われる。 「『J-CUP』面白いじゃないか。新日本のファンも知らなかったと思う、Eita選手のこと。知ってても、今日の試合後のあのコール、あれが『J-CUP』だよ。拳王とやったグルクン、彼もそんなに新日本のファンに知名度があるわけじゃない。けど、試合が終わってみれば、“グルクン大合唱”だよ。これが、『J-CUP』なんだ。これが、『J-CUP』の意味するところなんだよ」 DRAGON GATEのEitaを破り、1回戦を突破した獣神サンダー・ライガーは、試合後バックステージに現れると『J-CUP』の存在意義について一気にまくし立てた。 プロレスジュニアヘビー級のオールスター戦『SUPER J-CUP』は1994年に「団体を背負っているヘビー級の選手にはできないオールスター戦を、ジュニアの選手ならできるんじゃないか?」とライガーが雑誌の企画で行われた他団体のジュニアヘビー級選手との対談で提唱したことがキッカケで実現。新日ジュニアの中心選手はもちろん、当時新日本と交流があったWARからは折原昌夫が選ばれていたが、怪我により外道が代打出場。また逆に新日本と交流がなかったFMWのリッキー・フジ、ハヤブサ、みちのくプロレスのザ・グレート・サスケ、スペル・デルフィン、TAKAみちのく、SPWFの茂木正淑が参戦を果たしている。16人参加のワンナイトトーナメントで開催された第1回大会では、提唱者のライガーが準決勝でサスケに敗れるハプニングがあり、会場はサスケコールが大爆発。その模様がテレビ朝日系列『ワールドプロレスリング』で全国放送されたことにより、サスケとみちのくプロレスの名を全国区に押し上げた。 ライガーが語った「『J-CUP』の意味するところ」というのは、サスケをはじめとしたみちのく勢や、一回戦でライガーと対戦し、インパクトを残したハヤブサのような選手を生み出す力が『J-CUP』にはあるということだろう。 『SUPER J-CUP 2016』トーナメント1回戦 7・20後楽園ホール大会試合結果○マット・サイダル<ROH>(7分56秒 エア・サイダル→片エビ固め)●梶トマト<K-DOJO>○拳王<NOAH>(11分33秒 羅喉→体固め)●グルクンマスク<琉球ドラゴン>○タイチ<鈴木軍>(12分5秒 ラストライド→エビ固め)●青柳優馬<全日本>○獣神サンダー・ライガー<新日本>(9分12秒 垂直落下式ブレーンバスター→体固め)●Eita<DRAGON GATE>○ウィル・オスプレイ<CHAOS>(9分14秒 オスカッター→片エビ固め)●ティタン<CMLL>○金丸義信<鈴木軍>(10分25秒 タッチアウト→片エビ固め)●BUSHI<ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン>○田口隆祐<新日本>(14分56秒 どどんスズスロウン→片エビ固め)●原田大輔<NOAH>○KUSHIDA<新日本>(16分25秒 ミスティカ式ホバーボードロック)●石森太二<NOAH> 今回の『J-CUP』は新日ジュニアとノアジュニアで活躍している選手の強さが目立ち、普段、新日本またはノアのリングに上がっていない参加選手は一人も1回戦を突破できなかった。しかし冒頭のライガーの発言にもあるように、Eitaやグルクンマスク、梶トマトといった選手は『J-CUP』らしいインパクトを残したと言ってもいい。全日本の青柳優馬も恵まれた身体を活かして異彩を放っていた。 また新日本とノアの本隊ジュニア頂上決戦的な意味合いもあった、セミとメインの試合はどちらも手に汗を握る大熱戦で、試合中、何度も後楽園ホールが揺れた。ノア勢にとっては悔しい結果になってしまったが、田口に敗れた原田は「ノアと新日本のジュニアの闘いはまだ終わらない」と再戦を要求している。新しい闘いのキッカケになる可能性を秘めているのも『J-CUP』の魅力だ。 一回戦の結果を受けて8・21有明コロシアムで行われる準々決勝のカードが次のとおり決定した。▼ウィル・オスプレイ<CHAOS> 対 マット・サイダル<ROH>▼金丸義信<鈴木軍> 対 田口隆祐<新日本>▼獣神サンダー・ライガー<新日本> 対 タイチ<鈴木軍>▼KUSHIDA<新日本> 対 拳王<NOAH> IWGPジュニアヘビー級王者のKUSHIDAが本命であることには変わりないが、NOAHで唯一残った拳王の存在は非常に不気味。GHCジュニアヘビー級王者の金丸と田口のカードが発表されると、後楽園ホールからはどよめきが起こった。こちらも注目のカードだ。そして16年ぶり3回目の優勝を狙っているライガーは「別にこれが挑戦者決定戦とは思わないけど」と前置きをした上で、「優勝したらIWGPジュニアに挑戦したいと言ってもいいと思う」と優勝の先の目標を口にした。 ジュニア戦士たちには現在開催中の『G1』に負けない熱を『J-CUP』で見せつけてもらいたい。(どら増田)<新日Times VOL.27>
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スポーツ 2016年07月23日 14時00分
友成那智 メジャーリーグ侍「007」 MVPは「田中将大」 最も期待を裏切った選手は?
メジャーリーグは7月10日に前半戦が終了。15日から後半戦に入る。今週は日本人大リーガーの「シーズン前半の総括」を行ったうえで、前半のMVP(最優秀選手)を選出し、併せて米国流にLVP(最も期待を裏切った選手)も選んでみたい。■前半戦の総括 昨季、メジャーの日本人選手は故障者が続出し稼働率が極端に低下。総年俸に対する実際の働きは52.7%しかなかった。総年俸は5960万ドル(63億円)だったので30億円くらいが無駄になったことになる。そのため今季は、何が何でも年俸に見合った働きができることを示す必要があった。 結論から言うと、今季前半は、その命題を何とか達成することができたと言える。 今季の日本人メジャーリーガーの総年俸は6548万ドル(68.8億円)なので、前半戦の俸給の総計はその半分の3274万ドル(34.4億円)となる。 それに対し、WARベースで算出した前半戦の実際の働きは3440万ドル(36.1億円)で、俸給の総額をわずかに上回った。オールスター選出者がゼロだったのを見ても分かる通り、今季前半、日本人メジャーリーガーには際立った働きをした者がいなかった。しかし、DL入りしたのはトミージョン手術明けのダルビッシュ有だけで稼働率がたいへんよく、「カネの分は働いた」と言える結果になった。■シーズン前半のMVP 候補:田中将大、イチロー 受賞者:田中将大 田中将大は7月6日現在、勝ち星が六つしか付いていないため、今季は不調だと思っているファンが少なくない。しかし、勝利数が少ないのは、ひとえにヤンキース打線の得点力不足に原因がある。今季のヤ軍は、打線の中軸がまったく機能せず、チーム得点はア・リーグ15球団中13位というひどさだ。その影響をもろに食ったのが田中なのだ。 田中は、昨年までは相手打線を自責点2以内に抑えれば、8割方勝ち星がついた。しかし、今季はそうならない。自責点2に抑えた試合はこれまでに6試合あったが、勝ち星が付いたのは1試合だけだ。それ以外にも自責点1の試合で負け投手になった試合と、8回まで無失点に抑えながら勝ち星が付かなかった試合が一つずつあり、今季はとことん勝ち運に見放されたシーズンになってしまった。 しかし、勝ち星以外はハイレベルな数字が並ぶ。 防御率(3.12)はア・リーグ9位、貢献ポイントであるWAR(3.1)は同4位、安定感の指標であるWHIP(1.05)は同5位、耐久性を見る投球イニング数(112回1/3)は同6位である。 田中はヒジの故障リスクを減らすため、今季は三振を狙わず、打たせて取ることに徹している。投球スタイルの転換を図りながら、これだけハイレベルな数字を出していることは称賛に値する。 マーリンズのイチローはメジャーの野手で最高齢の42歳になりながら、オフの間、徹底的に下半身を鍛え、全盛期に近いスイングスピードを取り戻し序盤からヒットを量産。6月上旬には日米通算でピート・ローズの通算安打記録4256本を更新。メジャー3000本安打の達成も時間の問題となった。打率3割4分はナ・リーグの150打数以上の打者では2位、出塁率4割1分3厘は同3位、得点圏打率4割3分5厘は同2位である。 ただ、マ軍は若くて優秀な3人のレギュラー外野手を擁しているため、依然4人目の外野手という位置づけで使われており、出番が限られている。そのため、チームへの貢献度では田中に大きく後れを取っており、どちらがMVPにふさわしいか考えた場合、田中将大に軍配が上がる。■LVP(最も期待を裏切った選手) 候補:青木宣親、上原浩治 受賞者:青木宣親 青木はオフにマリナーズと契約し、トップバッターとして期待されていた。しかし、以前は得意だった左投手を苦にするようになり、序盤から打率が低迷。6月半ばにはトップバッターから8番打者に降格。さらに6月23日には3Aに降格となった。日本のファンは、イチローの指定席だった「マリナーズのトップバッター」に青木が入ることに大きな期待を寄せていただけに、落胆は大きい。 レッドソックスの上原は新加入のキンブレルにクローザーの座を明け渡し、今季はトップセットアッパーに回った。これにより負担が軽くなったため、今季はフルシーズン、レベルの高い活躍をしてくれるのではないかと期待が高まった。しかし、伝家の宝刀スプリッターが落ちずに、甘く入って痛打されるケースが頻発。最大の武器が最大のリスクになってしまった。 レ軍は今季、地区優勝を狙える戦力を十分備えているが、上原の不振は首位争いでオリオールズに後れを取る一つの要因になっている。 ただ、青木と比較した場合、上原はここ一番というところで度々見事な働きを見せているので、LVPは青木で決まりだ。ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。
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スポーツ 2016年07月22日 16時00分
失速のトラを救う掛布プラン 二軍後半戦の戦い方が一変する?
二軍の戦い方が変わる。掛布雅之二軍監督(61)は独自のやり方で金本監督を支えるつもりでいるようだ。 「掛布二軍監督も坂井(信也=68)オーナーと直接会談しています。おそらく、自身の考えていること、やりたいことをその席上で伝え、お墨付きをもらったのではないか」(球界関係者) 話は少し逆上るが、トラの総帥・坂井オーナーが金本知憲監督(48)と会談の場を設けたのは、6月中旬。同オーナーが現場トップとこうした話し合いの場を設けることはこれまでもあった。ただ、前任者時代は常に進退問題が騒がれていたため、キナ臭い様相も漂っていた。同オーナーは会談前後に「全面支援」を何度も口にしたのは、下位に低迷する金本阪神への配慮もあったのだろう。掛布二軍監督とも会談したのは、その後の6月27日だった。 「金本監督とは少し早いですが、オフの補強のことも触れたそうです。外国人スラッガーの緊急補強やトレードの用意ができている旨も伝えたと聞いていますが、金本監督が現有戦力で戦いたいと突っぱねたそうです」(前出・同) 現有戦力で戦うとする一軍指揮官の言葉を受けた後での『掛布会談』だったので、その中身は、二軍調整中の中堅、若手に関する状況確認がメインになったという。しかし、それだけではなかった。掛布二軍監督は「二軍の在り方」についての持論をオーナーに訴えていたそうだ。 「掛布二軍監督は、二軍戦を前半と後半に分けて内容を変えたい、と。これから始まる後半戦は不振で一軍登録を外された中堅以上の選手を優先的に使い、二軍は再昇格のために徹するべきと訴えたそうです。前半戦と後半戦の在り方を変えることで一軍をサポートすべきだ、と」(同) オーナーはこの掛布案を了承したという。その通りになれば、後半の二軍戦は“一軍別動隊”のようなラインアップとなる。後半戦全てを一軍経験者の調整に当てることはないだろうが、掛布二軍監督も前半戦とは異なる采配をしなければならなくなる。 「一般論として、二軍戦では『経験』を積ませるため、代打を送るべき場面でも打たせたり、イニングの途中で投手を交代させることは極めて少ない」(プロ野球解説者) 一軍経験者が『調整』で二軍戦に出るとき、実戦感覚を取り戻そうとするため、ヒットが出たかどうかの結果にはあまりこだわらない。しかし、一軍に再昇格してすぐに戦力になるように調整させるとなれば、結果も求められる。掛布二軍監督は一軍指揮官のような采配を振るうことになるのではないだろうか。 「金本監督の前半戦を振り返ってみると、二軍から上がってきた若手をすぐに使い、彼らもその期待に応えましたが、長続きしませんでした。今後、彼らの教育係である掛布二軍監督を一軍コーチに配置換えするというコーチスタッフの改造案も出てくるのでは?」(前出・プロ野球解説者) 掛布二軍監督のサポート案は「一軍コーチ昇格の含みも?」と思うのは、穿った見方だろうか。
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スポーツ 2016年07月22日 14時00分
ラグビー国際親善試合ドタキャン “五郎丸効果”もナメられた日本
7月30日に企画していたラグビー国際親善試合『ヤマハ発動機対RCトゥーロン(フランス一部リーグ)』が中止になった。実行委事務局によると、試合開催は両クラブ間で合意していたが、トゥーロンが6月28日夜、中止を求める意向を文書で伝えてきた。仏の競技団体やリーグ側の理解が得られないことを理由に挙げているという。 トゥーロン側が「所属リーグの規約でこの時期に国際試合をやってはいけないことが分かった」と一方的に通達してきたからだが、すでにチケットも発売されていた。今さら「規約を知らなかった」というのも、おかしな話だ。 「今回、親善試合の話が進められたのは、五郎丸(歩=30)が移籍したからでした。今、ラグビー協会とヤマハはチケットの払い戻しやらでテンテコ舞いですよ」(スポーツ紙記者) 突然のドタキャンは、2019年ラグビーW杯のホスト国・日本がナメられたことを意味するも同然。だが、親善試合を仕掛けたのは日本側。五郎丸が移籍したから試合が成立すると思ったという。 「協会は五郎丸の移籍を後方支援していました。'19年W杯まで、こうした親善試合を足場に、フランス代表やウェールズ代表とのビッグゲームに発展させるつもりでした」(同) 五郎丸は豪州・レッズに移籍したが、通用しなかった。一時は「古巣のヤマハに戻るべき。実戦感覚を失ったら…」との声も協会内から出ていた。しかし、協会が思っていた以上に“世界”は広かった。 「『ラグビー版レアル・マドリード』とも呼ばれるトゥーロンは、五郎丸を試合で使うつもりでいて、莫大な資金を元手に、各国代表選手や人気選手を集めています。各国の代表選手ばかりが所属するので、自国の代表戦と重なると、チームを一時的に離脱しなければなりませんからね」(同) 五郎丸とポジションが重なるリー・ハーフペニーはウェールズ代表で、世界屈指のプレースキッカー。その彼がチームを離脱するときに起用するというビジネス戦略で五郎丸が獲得された。 言うまでもないが、五郎丸が試合に出たとき、日本のメディアが大騒ぎするのは必至だ。 「ドタキャンになった親善試合ですが、怪我でリハビリ中の五郎丸を一時帰国させ、観客に挨拶させる段取りだったのです。もちろん、これも日本側の要請です」(関係者) “戦力・五郎丸”に負担を掛けたくなかったのが、ドタキャンの真相なのかもしれない。
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スポーツ 2016年07月20日 14時00分
阪神・金本監督が決断する「鳥谷スタメン落ち」ショック療法
金本知憲監督(48)の眉間の皺が深くなるばかり…。 ペナントレース83試合目の7月8日、『自力優勝』の可能性が消えた。あまりに早い“終戦宣言”である。 「投手と野手の中核が指揮官の期待に応えられていない。“終戦”は当然の結果でしょう」(在阪記者) 8日の広島戦、先発マウンドを託されたのはエース藤浪晋太郎(22)だった。8回8失点は自己ワースト。3回までに大量5点を失い、完全にゲームの主導権を広島に奪われていた。 「7回裏、二死でラストバッターの藤浪がそのまま打席に立ちました。代打が送られなかったので、8回も投げることが分かったんですが、不甲斐ないピッチングの責任を取らせる制裁ですよね」(同) 「自分で責任を取れ!」と言わんばかりだった。その8回のマウンドでさらに3点を献上。金本監督は動かず、怒りの目線を向けるだけ。虎ベンチは重苦しい空気に包まれていた。 「藤浪は四球多発で自滅しました。まだ球宴前なんだし、切り換えて次に備えさせてもよかったはず。藤浪に厳しく当たったのは“教育”です。ですが、他のナインにも『藤浪にこんなに厳しくしたんだから、誰であっても容赦しない』というメッセージが込められていたようです」(球界関係者) そのメッセージをもっとも強く感じ取ったのは、不振が続く“悩める主将”の鳥谷敬(35)かもしれない。金本監督は近く、鳥谷との直接会談を設ける。精彩を欠いたままであれば、「記録ストップ」も十分にあり得るという。 鳥谷は『連続試合出場』と『連続フルイニング出場』の記録を更新中である。『連続試合出場』はあと7試合で1700の大台に届き、来季早々に金本監督の1766試合(歴代2位)を抜く計算だ。『連続フルイニング出場』は659試合、今季中に1492試合の記録を持つ金本監督に次ぐ歴代2位に躍り出る(数字はすべて7月9日現在)。しかし、それはすべて“不振を脱することができれば”の話。 「金本監督は鳥谷にまず確かめたいのは、試合出場の記録にこだわりがあるのかどうか、です。『ある』と答えたとしても、温情で出場させることは絶対にしない。今のままなら、会談は記録ストップの死刑宣告になるようです」(前出・在阪記者) 記録の重みは当事者でもある金本監督が一番よく分かっている。現役時代から弟分としてかわいがってきた鳥谷に、できれば記録を更新させてやりたいと思っているはず。また同時に、「まさか自分が記録を止める側になるとは…」という嘆きの思いもあるのではないだろうか。 「会談は球宴期間の休み中。そして、7月22日の広島戦が最後のスタメンになるようです。同日、連続試合出場がちょうど1700となり、フルイニングは666試合。トリプルシックスで記憶に残る。1701試合目は代打での途中出場か、2打席目までの結果を見てということになる。フルイニングが667試合に伸ばせるかは22日の結果次第」(同) いきなり記録を止めず、会談で当人を納得させてからするのは、アニキ金本監督のせめてもの配慮だ。もっとも、鳥谷の不振は、開幕戦を6番でスタートさせられたことへのショックとする指摘もある。 「鳥谷がFA宣言した'14〜'15年オフ、阪神は有事に備え、新遊撃手の選択に入りました。そのときと同様、大和をショートにコンバートするのではないか」(プロ野球解説者) 大和は今年、正二塁手争いに敗れ、ベンチスタートとなる試合が多い。ゴールデングラブ賞に輝いた外野一本で使うべきとの声もあるが、阪神首脳陣は「鳥谷の次は大和」と見ている。 「身体能力の高さはピカイチ。あの地肩の強さと脚力を見せられたら、大和以外は考えにくい」(同) 西岡剛でもなければ、北條史也でもない。若手の植田海もいるが、『ポスト鳥谷』は大和になりそうだ。 「金本監督は就任直後、鳥谷を名指しで叱りました。弟分への檄にウソはありませんが、秋季キャンプで打撃の直接指導に当たったのは若手だけではありません。大和にも『引っ張れ、無理に右に流さなくてもいい』と助言しています。大和の守備センスを見出したのは和田豊前監督。金本監督が大和を指導したとき、鳥谷の次に考えたと感じた関係者も少なくありませんでした。植田を一軍キャンプに呼んだのも、その一環」(同) 打撃面だけでも復調してくれば、なんとかしてやろうというのが金本監督の考え方。5月27日の巨人戦からは打順を1番に戻したが、ダメだった。6月の月間打率は2割2分4厘で、5月よりも低かった。昨今は2番で使われているが、復調の兆しは見えて来ない。 今年のドラフト会議で有望な内野手が指名できれば、ポスト鳥谷は変わるかもしれない。当の鳥谷は一部OBに「ショートが守れなくなったら、考えなければならない」と、意味シンな返答をしていたという。 チームスローガンの“超変革”には、「鳥谷外し」が含まれていたようだ。
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スポーツ 2016年07月19日 14時00分
松山英樹に続き錦織圭もか リオ五輪辞退者続出裏にドーピング問題
8月5日に開幕するリオデジャネイロ・オリンピック(ブラジル)。参加選手が続々と決まる一方で、ゴルフ界からは欠場するトッププロが続出している。ジカウイルスや治安の悪さを理由にしているが、実は別の問題があった。 今年1月、女子テニス全豪オープンのドーピング検査で、マリア・シャラポア(ロシア)が陽性反応を示したことを告白、それが大きな原因なのだ。国際テニス連盟(ITF)はドーピング違反として彼女に2年間の資格停止処分を下した。 納得できないとしたシャラポアはスポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議申し立てを行い、ロシアテニス連盟もシャラポアをリオ五輪代表に選出する方針を変えていないが、2年間の資格停止処分が覆る可能性はゼロに等しい。 「シャラポアがこれほど五輪にこだわるのは、プライドや国の威信が理由ではありません。ドーピング違反とされたことでスポンサー離れが相次いでいるからです。スポーツ用品、自動車メーカーなど世界的な企業がスポンサー契約を一時停止にしたり、契約更新を見送ったりしており、シャラポアの損出は1億ユーロ(約111億円)にも上る。彼女にすれば死活問題で、藁にもすがる思いなのでしょう」(大手広告代店) この問題は、ゴルフ界にとっても他人事ではない。'08年からドーピング検査を導入した米ゴルフツアー(PGA)だが、これまで処分されたのはたった3人。これが最もチェックが厳しい五輪ならそうはいかず、名誉と引き換えに墓穴を掘る選手はいるはずがない。 世界ランク1位のJ・デイ、4位のR・マキロイ、8位のA・スコットに続き、松山英樹までもリオ五輪欠場を表明した。ジカウイルスや治安の悪さは隠れ蓑。五輪で禁止薬物の使用が発覚するのを恐れているのだ。 「今の男子プロは、300ヤードの飛距離がなければ上位は望めない。そのパワーゴルフを勝ち抜くため、筋肉増強剤を使用している選手も少なくない。チェックが緩いPGAでは通用しても、五輪ではアウトの可能性が高く、シャラポアの二の舞は御免、というわけです」(ゴルフ誌記者) 松山が7月4日に五輪辞退を表明したことで「自分も」とリオ行きを取りやめようとしているのが、テニスの錦織圭だ。先のウィンブルドンでは左脇腹痛のため4回戦途中で棄権。体調面にも理由はあるだろうが、見逃せないのはスポンサー収入。米『フォーブス』誌のスポーツ選手の長者番付では日本勢最高の3350万ドル(約33億円)で29位。大部分がスポンサーからの収入で、とても危ない橋は渡れないのだろう。 「恐れているのが、食事。ライバル国から禁止薬物を混入される可能性もある。それに五輪に出れば、いつ抜き打ち検査があってもいいように、常に居場所を事前に報告する義務を負う。噂のモデルと真夜中にベッドで抜き打ち検査を受ける可能性も…」(女性誌記者) 五輪に最高のプレーを求める時代は終わったようだ。
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スポーツ 2016年07月18日 16時00分
プロレス解体新書 ROUND10 〈第2回IWGP決勝戦〉 不透明な決着にファンが暴徒化
1984年6月14日、蔵前国技館。悪夢のKO敗戦からの雪辱を期して、第2回IWGP王座決定リーグ戦で決勝に進出したアントニオ猪木と、対するは因縁の相手ハルク・ホーガン。 新日本プロレスはこの1年間、御難続きだった。そのモヤモヤを晴らすような猪木の快勝をファンは期待していたのだが…。 思えば第1回IWGP決勝戦での“舌出し失神事件”以降、猪木と新日にとってはまったくロクなことがなかった。社内クーデターによる猪木の社長解任、タイガーマスクの引退宣言、UWFの設立と前田日明以下選手の大量離脱…。 その原因のすべては、時期を前後して猪木が入れ込んできた『アントン・ハイセル事業』にあった。絶好調だった新日の稼ぎのほとんどを、猪木はそのブラジルでの事業につぎ込み、さらに自身の会社である新日から借金を重ねていた。 サトウキビの廃液を牛の餌に変えるバイオ産業。今ならエコ事業として称賛されそうだが、アントン・ハイセルの問題は一切、実用段階に進まなかったことだ。 また、当時のブラジルはハイパーインフレ状態にあり、砂漠に水を撒くがごとく、つぎ込んだ資金が翌日には二束三文となっていった。そんな状況に業を煮やしたタイガーが去り、不平分子のクーデターも起きた。 もともとはUWFの設立も、猪木が新たにカネをせしめる算段からのものであり、つまり、すべては自業自得だった。だからといって不遇の状況に甘んじる猪木ではない。 「猪木抜きの新日は考えられない」 とのテレビ朝日の意向によって社長復帰を果たすと、リング内でも同様。第2回IWGP王座決定リーグ戦決勝は、猪木復権の狼煙を上げるべき舞台であった。 「今日、俺が勝って、この1年の悪夢が消えるだろうか? いや消えないだろうな。だが、今日は何としても負けられない」 試合前の控室で、猪木はそう意気込みを語っていたのだが…。予選ではアンドレ・ザ・ジャイアントやディック・マードック、マサ斎藤、長州力らを相手に全勝し、決勝進出を果たした猪木。相手はシード枠の前年覇者、ハルク・ホーガンだった。 '82年の『ロッキー3』に出演以降、その人気は沸騰。'84年1月にWWF王座を奪取して全米侵攻のエースに抜擢され、日本でもリングインの際の掛け声『一番』のプリントされたTシャツが大ヒットしていた。 シリーズ開幕戦の福岡大会では特別試合でいきなり猪木vsホーガンが組まれ、結果は猪木の暴走による反則負けとなるも、「この決着は(IWGP決勝の)蔵前でつけるぞ」と叫ぶ猪木の姿に、ファンの期待は否応なく高まっていった。 そうして迎えた決勝戦。じっくりとグラウンドで攻める猪木に対し、いら立ちを隠せないホーガン。猪木ペースで試合は進むが、ホーガンの“斧爆弾”アックスボンバーをかわして共に場外へ転落すると、そのまま両者リングアウトとなる。 観客席から湧き上がる「延長」コールを受けて協議の結果、時間無制限の延長戦に突入すると、猪木はアリキックの連発から足4の字固め。だが、ホーガンがエプロンへ逃れると、またもや両者カウントアウトとなる。 もちろん、観客は再度の「延長」コール。再延長戦が始まると、再びホーガンの斧爆弾が炸裂。フラフラの猪木はホーガンを持ち上げるが、バランスを崩して場外転落し、ファンに「またか」の悪い予感が走る。しかし、待ち受けていたのはそんな予想をはるかに超えるバッドエンドだった。 リングサイドに現れた長州力が、唐突に猪木へリキラリアット、返す刀でホーガンにも一撃を加える。斧爆弾との相打ちで両者ダウンするのを尻目に猪木がリングインすると、その勝利が告げられたのだ。 いきなり訳の分からない結末を見せられた観衆が収まるはずもなく、「カネ返せ!」コールに始まって、リング内には座布団や飲食物が際限なく投げ込まれる。一部ファンは場内の椅子や大時計を破壊するなど暴徒化し、蔵前警察署から10人以上の警官が駆けつけるまでの騒ぎとなった。 「すでに大スターとなっていたホーガンを相手に、猪木が完全勝利するのは契約上も慣習上も無理な話。大会中に先代のビンス・マクマホンが亡くなったため、『ドサクサでやっちまうか』なんて話もあったけど、それはホーガン自身が納得しなかっただろう。長州に乱入させたのは、今後、長州を売り出していこうという考えからだった」(新日関係者) 観客おいてけぼりの乱入劇は、特に前フリもないまま団体の都合だけで決行された。それでも結果的には思惑通りに長州はトップスターとなり、良くも悪くも伝説の一戦として後々まで語られることになった。 新日の歴史の中で汚点とされる暴動騒ぎも、今になって振り返ってみれば“大成功アングル”だったと言えるのかもしれない。
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