スポーツ
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スポーツ 2016年05月15日 12時00分
「俺の手のひらの上で転がした」内藤哲也“消化試合”をベストバウト級の試合で制す!
「レスリングどんたく2016」5・3福岡国際センターには、5,299人という超満員の観客が詰めかけた。【試合前は五分五分も試合後にはL・I・Jを支持】 内藤哲也が石井智宏を相手に初防衛戦を行ったメインのIWGPヘビー級選手権試合は、30分を超える大熱戦。内藤がオカダ・カズチカを破りIWGPヘビー級王座を初戴冠した4・10両国国技館大会では内藤への支持が圧倒的だったが、この日は両国で「帰れ」コールまで受けた石井への声援も数多く飛んでおり、度重なる介入を繰り返したロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン(以下L・I・J)に対しては大きなブーイングが浴びせられた。これはL・I・J旋風がまだ地方にまで行き届いていないことを意味している。しかし、戦前は「消化試合」と言い切っていた内藤と「凄惨な消化試合」と言い返した石井の意地がぶつかり合い、石井が滅多に使わないドラゴンスクリューや膝十字固めなどを繰り出して、内藤にとっては泣きどころである膝を効果的に攻め立てたことで、タイトルマッチに相応しい年間ベストバウト級の試合となった。観客はこれを制した内藤に惜しみない拍手を送り、最後はL・I・Jの大合唱。この光景は、以前オカダが棚橋弘至を破り、レインメーカーショックを与えたときと非常に似ている。【内藤辛勝も「すべては俺の手のひらの上だよ」】 「『石井、あと一歩だったんじゃないか』とか『内藤、凄く追い込まれたんじゃないか』とか、みなさん思ってるかもしれないけど、残念ながらそれもすべて、俺の手のひらの上ですよ。だから、俺言ってんじゃん! たとえ、防衛戦の相手がキャプテン・ニュージャパンで、会場が東京ドームだとしても、俺はドームを大爆発させますよ。もうね、挑戦者が誰とか関係ないから。俺がリングで、俺の世界を見せれば、たとえキャプテン・ニュージャパンだとしても、俺は東京ドームを爆発させますから。だから、石井が頑張ったんじゃないよ。あれは石井が頑張っているように見えただけ。あれはすべて、俺の手のひらの上です」 6日に行われたシリーズ明け会見で、内藤は一気にこうまくし立てた。L・I・Jを結成してからの内藤は勝っても負けても“余裕”を崩さない。オカダも終始“余裕”がある選手だが、クセがある分、内藤のほうが不気味さを兼ね備えているように見える。5・3福岡大会をテレビ解説した山崎一夫氏は「もともと持っていた華の部分に、毒が加わった」と内藤を評した。あれだけ凄い試合を見せられて「俺の手のひらの上だよ」と言われてはファンの頭の中は混乱するのではないだろうか。もちろん対戦相手にとってはこれ以上の屈辱はない。 ただ、最近のプロレスは“分かりやすさ”を追求するがあまり、ファンに“考える”力が欠けているのは確か。それはプロレスというジャンルが広がっていくためには決して悪いことではないのだが、プロレスに対して“考える”ことはプロレスを楽しむ上で醍醐味のひとつである。内藤が発するストレートな発言と、今回の謎かけのような発言から内藤旋風を紐解いてみるのも面白いだろう。【次なる挑戦者はオカダに決定も「俺がやりたいのは…」】 「今日の会見、俺が次の挑戦者を指名するための会見じゃなかったんですか? なんで、俺が話し始める前に、もうすでに大阪城のカードを発表しちゃってるわけ? エェ〜…。ホント、俺の、そしてIWGPヘビー級チャンピオンの決定権のなさを、改めて痛感しましたよ。今日、俺は指名できると思ってたからね。次の挑戦者として指名したかった相手は…EVIL! EVILの福岡での後藤戦、見た? 滝に打たれ、コスチュームを変え、そしてCHAOSの一員になった後藤を、福岡で圧倒しましたからね。今、IWGPの挑戦者として、一番ふさわしいのはオカダなんかじゃないよ。EVILだと俺は思いますけどね! なんなら、ファン投票でもやってみますか? 誰に挑戦してほしいか、オカダなのか、EVILなのか、ファン投票をやってみたほうがいいんじゃないですか?」 4・10両国大会の一夜明け会見から、内藤が会社の決定に反した挑戦者を指名すること(前回はキャプテン・ニュージャパンとの30連戦)が恒例化しつつあるが、今回は福岡で挑戦表明をして挑戦が認められたオカダ(6・19大阪城ホール戦が決定)ではなく、同門のEVILが次期挑戦者に相応しいとコメント。SNSなどで会見をライブ配信で見ていたファンの反応は、7割近くがEVIL戦を支持しており、対戦相手が誰であろうとも「今の内藤なら誰とやっても面白くなるから、内藤がやりたい選手とやるべき」という声が大半を占めていると言ってもいい。そして、すぐにリターンマッチが認められたオカダに対して皮肉を込めるかのように「俺が大阪城で負けてもすぐに再戦できるなら軽い気持ちで挑めちゃう」と語り、2014年の1・4東京ドーム大会で自身が屈辱を味わった「ファン投票の開催」を提案した。【ブーイングを浴びせ続けた大阪のファンへの想い】 「非常に楽しみですよ、大阪のお客様の反応が。まぁ、やっぱり心のどこかで大阪のお客様だけには手のひら返しをしてほしくないな、と。あの、かつての大阪のままでいてほしいなって思ってますよ。なので、かつて僕が浴びたブーイングという名の大歓声を、僕は大阪城のメインイベントで期待してますよ」 内藤に対して全国で最もブーイングを浴びせていたのは大阪のファン。かつてブーイングや罵声を浴びせていた大半のファンは現在、手のひらを返したかのように内藤を支持している。内藤は、そんなファンに対して複雑な感情を持っているのではないだろうか。その気持ちが会見でのコメントに繋がったように思える。大阪の過剰なまでの大ブーイングがなければ今の内藤はもちろん、L・I・Jも結成されることはなかったはず。ある意味、L・I・Jにとって大阪は生誕の地なのかもしれない。 6・19大阪城大会には舌戦を繰り広げている木谷高明オーナーも来場するだろう。内藤はオカダだけではなく、ファンや権力とも闘うことになる。(増田晋侍)<新日Times VOL.18>
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スポーツ 2016年05月12日 10時00分
盟主交代 巨人が「補強SOS」を送る福岡ソフトバンク巨大戦力
由伸巨人が福岡ソフトバンクホークスに“SOS”を出した−−。 巨人は日本ハムとの間で、左のセットアッパー、乾真大を獲得する交換トレードを成立させたが、補強はまだまだ続く。一連の賭博事件で巨人は4人の投手を失った。高橋由伸監督(41)の構想に入っていた左のリリーバー・高木京介の喪失は特に痛かった(1年間の失格処分、後に契約解除)。 「計算に入っていたドラフト1位の桜井俊貴がつるべ打ちに遭い、即二軍落ち。一軍昇格が遅れるようであれば、先発が務まる投手をトレード補強しなければなりません。打線も、ギャレットが心配のタネです。マジメな性格なので不振になると考え込んでしまうので」(球界関係者) そこで着目されたのが、巨大戦力を誇る福岡ソフトバンクホークスだ。 「長谷川勇也のように、首位打者のタイトルを獲得しても('13年)レギュラーが確約されない選手もいます。育成の三軍選手にしても、他球団の二軍に引けを取りません。他球団ならレギュラーを張れる選手がゴマンといる」(スポーツ紙記者) 巨人はそのホークスとの“ホットライン”を持っている。球団事務所の電話からホークスに、「短縮ダイヤルでつながっている」という話もあるくらいだ。 「両球団内で成立したトレード、コーチの交換にしても、本人よりも先に球団スタッフが知っていたこともありました」(同) また、ホークスの王貞治球団会長は巨人OB会長職を退いてはいるが、親密さは変わっていない。巨人側がトレードを持ち込めば前向きに対応してくれるはず。 「元ホークス選手は総じてレベルが高い。亀澤恭平は中日でレギュラーを獲り、巨人でも立岡宗一郎が外野の一角を奪いました。ヤクルトでもホークス二軍で鬱積していた山中浩史がローテーション入りしており、新垣渚もホークス出身。ホークス選手は“チャンスがあるならば他球団でも”の心境です」(同) 各球団は「ホークス側から近く仕掛けてくる」と見ている。去る4月20日、松坂大輔が二軍戦に登板した。日本球界復帰後、初の公式戦先発。2回被安打4、失点2で、「一軍登板は程遠い」との声も聞かれたが、実際は違う。 通用するか、否かを判断するのは工藤公康監督(53)だからだ。 「二軍首脳陣が“松坂復活”の件で託されたのは実戦登板できたか、どうかだけ。通用するかどうか、どう使っていくかを決めるのは、あくまでも工藤監督です。松坂は王会長が孫正義オーナーに直談判し、3年12億円も投資して獲得した経緯もある。投げられるのならば、近く一軍で使わざるを得ない」(前出・球界関係者) 松坂が工藤監督の前で投げることになれば、巨大戦力の有能な一軍投手の誰かが弾き出される。同様に、昨秋のドラフト1位・高橋純平に関して、「今季後半に一軍デビューする」との情報もある。松坂だけではなく、高橋も一軍に上がるとなれば、弾き出される投手は増える。巨人以外のセ・リーグ各球団もこうした推移を見守っているのだ。 「近年のトレードには特徴があって、東日本大震災以降、各球団は移籍選手の生活にも配慮しています。ホークスと交換トレードとなれば、九州全般に広まりつつある震災の影響もくんであげるはず。そのあたりは当該球団で話し合うことになるでしょう」(同) ヘンなジンクスもある。 「千葉ロッテでは『家を買った、建てたばかり』の選手が移籍するケースが続いています。今江敏晃は家を建てたら、FA宣言せざるを得ない低評価を突き付けられました。また、西武ライオンズにいた帆足和幸投手(現ホークス打撃投手)は東日本大震災が起きた直後、家族を転居させました。『子どもの進学が…』と言っていましたが、同年FA宣言してホークスに移籍しました」(ベテラン記者) 由伸巨人がホークスの若手を狙うとしたら、選手を九州に行かせない金銭トレードになりそうだ。工藤監督も、「選手のチャンスが広がるのなら」との思いから反対しないだろう。 「最下位に低迷するDeNAもホークスの巨大戦力に目を付けています。高田繁GMは王会長とも親しく、工藤監督には『初代指揮官』の交渉をした経緯があります。阪神も同様で、若手登用で好スタートを切ったものの、『タマ切れ』の感が漂っています。阪神はいろいろな球団にトレードを申し込みましたが、相手側が『欲しい選手がいない』とし、相手にされませんでした。でも、今年は金本知憲監督によって若手が成長しているので対応も変わってくるはずです」(同) 巨大戦力のホークスであえてウイークポイントを挙げるとすれば、捕手だろう。若手の山下斐紹などが出てきたが、「打撃優先」の選手である。細川亨、鶴岡慎也の両ベテランにはこれ以上の上積みを求めるのは無理。山下と世代的にかぶらない20代後半から30代前半の捕手ならば、「ホークス側がサービスしてくる」との見方もされている。 セ球団の優勝への近道は「ホークスと仲よくすること」かもしれない。
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スポーツ 2016年05月11日 14時00分
友成那智 メジャーリーグ侍「007」 問題山積のチームを救った救世主 ドジャース前田健太
ドジャースは昨年、ライバルであるサンフランシスコ・ジャイアンツに8ゲーム差を付けてナ・リーグ西地区を制した。しかし、ドジャースではオフに入って間もなく、攻撃の要である天才外野手ヤシエル・プイグの粗暴な振る舞いを苦々しく思っていた大エースのクレイトン・カーショウが球団首脳にプイグのトレードを要求。それを球団が拒否したため、選手間だけでなく、主力選手とフロントとの間にも、ぎくしゃくした空気が流れた。 さらに、昨年19勝3敗、防御率1.77という驚異的な成績をマークした右のエース、ザック・グレインキーがプイグとの軋轢を嫌って再契約を拒否。FAで同地区のダイヤモンドバックスに移籍、6年220億円の契約を交わしチームを去った。 これでローテーションは大きくレベルダウンした。そのうえ、キャンプで8人いる先発投手のうち4人が故障して長期欠場することになり、ローテの5番手にルーキーのストリップリングを起用してシーズンに臨まざるを得なくなった。 一方、宿敵ジャイアンツはオフに積極的に動きエース級の先発右腕ジョニー・クエトとジェフ・サマージャを獲得したため、チーム力は完全に逆転。アナリストや記者の多くはジャイアンツの地区優勝を予想し、問題山積のドジャースには高い評価を与えなかった。 そんな悪い流れにピリオドを打ったのがマエケンこと前田健太だった。 先発の4番手レベルと過小評価されていたマエケンがメジャーで投げ始めた途端、無失点を続けたことはチームにとって嬉しい誤算であり、久々の明るい話題になった。いきなり14イニング無失点をやってのけたことで、ファンはグレインキーが抜けた大きな穴をしっかり埋めてくれる投手が出現したことを知り、メジャー・ナンバーワンの投手であるカーショウに次ぐ第2エースになることを期待するようになった。 結果的にマエケンの出現で、ドジャースは悪い流れにピリオドを打つことができたので、彼の出現はチームにとっても大きな意味を持つものとなった。 マエケンは速球の平均スピードが145キロ程度で、メジャー球団の評価もダルビッシュや田中将大に比べるとワンランク低かった。それなのに、初登板からこれまで日本人投手が見せたことのないレベルの活躍を見せているのはなぜか? 米国スポーツメディアのアナリストや記者連は、以下の2点を高く評価している。 一つはハードヒット率の低さだ。この指標は強いライナー性の打球や痛烈なゴロ打球が出る比率を示すもので、メジャー平均は15%程度だ。マエケンはこれが9%程度で、メジャーでもトップレベルの低さ。これは、同じ球種を投げる場合でも、一球一球スピードと軌道を変えながら投げているため、打者はドンピシャのタイミングで叩くことができないのが最大の要因だ。 マエケンは速球系のスピードが140キロ台の中頃なので、打球がいい角度で上がり外野に飛んでいくと一瞬外野席まで飛ぶように見えるが、打球は失速して大きな外野フライに終わることが多い。これは微妙にタイミングが狂っているからで、計算し尽くされた投球の産物と言っていい。 もう一つ高く評価されているのは、ボールになるスライダーを振らせるテクニックだ。 マエケンはスライダーを最大の武器にしていて、広島時代からスライダーでスイングを誘う技術はピカイチだった。それがメジャーに来て以来、この得意技を使う頻度が増えた。これはメジャーのストライクゾーンが外側にボール1つ分、ないし1個半くらい広いことをフルに活用して、右打者を仕留める手段にしているからだ。 マエケンの好調を語るうえで、もう一つ見逃せない要素になっているのが、優秀なキャッチャーの存在だ。日本人投手は変化球を多用するため、リードの上手い捕手と組んだ場合と、そうでない場合とでは防御率がまったく違う数字になる。松坂大輔はレッドソックス時代、リードの上手いバリテックと組んだ時の防御率は4.00だったが、リードの下手なビクター・マルチネスと組むと5.47、サルタラマッキアと組んだ時は7.25というひどい数字だった。岩隈久志は今季、受ける捕手が入れ替わって的確なリードをしてもらえないので、投球自体は悪くないのに防御率が4点台で、勝ち星に見放されている。 それとは逆に、マエケンは捕手に恵まれている印象を受ける。今季は正捕手のグランダルが6割、第2捕手のエリスが4割くらいの比率で女房役を務めると思われるが、グランダルは昨年の捕手防御率が3.34、エリスも3.35でともにトップレベルだった。エリスは特に変化球の使い方が上手く、マエケンの初登板と2度目の登板時に女房役を務めて、2試合連続で無失点ピッチングをサポートしている。ドジャースを選択したメリットはいくつかあるが、キャッチャーに恵まれたこともその一つだ。ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。
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スポーツ 2016年05月10日 15時00分
夏場所前の稽古も不十分 白鵬が力士会会長“引退”前倒しの理由
4月25日に発表された大相撲夏場所(5月8日初日、両国国技館)の新番付で4場所ぶりに東の正横綱に返り咲いた白鵬(31)だが、ちょっとおかしい。 先場所、白鵬は4場所ぶりに36回目の優勝をしたものの、危険なダメ押しや横綱らしからぬ立ち合いの変化を見せ、千秋楽の表彰式では館内の大ブーイングを浴び大粒の涙を流した。 「稀勢の里が1差で激しく追い上げていましたからね。ブーイングを飛ばしたファンにすれば“横綱がなんだ、そんなにまでして優勝したいのか”と思ったのでしょう。これで白鵬は、モンゴル相撲で6回優勝している父親に並んだという思いもあって、いろんなものが込み上げてきたと話していましたが、あんなことは初めて。相当ショックだったんじゃないでしょうか。あれ以来、すっかり元気がなくなってしまったのです」(担当記者) 20日に打ち上げた春巡業でも、最後まで稽古らしい稽古はやらずじまいだった白鵬。それどころか、9日の藤沢巡業(神奈川県)から5日間も腰痛を訴えて朝稽古や取組からも外れていた。連日のバス移動で、ずっと座席に座って膝を曲げていたため、「腰(の筋肉)が硬くなってしびれた」そうで、「(30代になって)体調が変わってきている」と苦笑いしていたが、これまで“無事これ名馬”を印象付けてきた横綱だけに、こんなことは珍しく、報道陣を驚かせた一幕も。 常勝横綱もいよいよ肉体の曲がり角に差しかかったのか…。 そう言えば、20日付の自信のブログでは、ひと足先に引退を表明していた。 「本日をもって力士会会長を引退します。新会長には日馬富士がなります」 こう綴って、6年間務めてきた力士のリーダーの座から降りたのだ。春場所前は、8月の夏巡業が終わったら勇退することを表明していたのだが、それがどうして4カ月も早まったのか。ブログには、詳しいことは書かれていなかったが、もしかすると、急速にやる気を失ったのかもしれない。 「26日の力士会には、二所ノ関審判部長(元大関若嶋津)ら協会幹部が乗り込み、力士全員に改めてダメ押し厳禁を通告した。力士会会長のままでは面目丸つぶれですからね。その前に辞めてしまえ、ということになったのかもしれません」(協会関係者) 心も体も下降線。果たして、白鵬は大丈夫だろうか。
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スポーツ 2016年05月10日 12時00分
ACミランにも中国マネーが…なりふり構わぬW杯出場権“爆買い”
イタリアのサッカー名門クラブのACミランが中国の検索エンジン大手バイドゥに売却される可能性があると報じられ、あの“爆買い”がサッカーW杯の出場権をもかっさらうのかと世界を驚かせている。 中国代表が2018年W杯ロシア大会のアジア最終予選へとコマを進めた。 「1次予選の段階から薄氷の勝利の連続だったのですが、海外メディアだけでなく中国国内でも『奇跡的進出』と伝えられています」(特派記者) 中国サッカーといえば、'15、'16年の移籍市場で南米の現役代表選手を次々と獲得。欧州リーグのビッグクラブを驚かせ、国内リーグ『スーパーリーグ』は異様な盛り上がりを見せている。代表チームはまだW杯に出場するレベルには届いていないが、秘策はあった。 「南米の強豪国には代表入りが叶わなかったものの、見どころのある若手がゴマンといます。『ユニホームの色は問わない、W杯に出たい』とする選手も多く、彼らを帰化させ、代表の戦力にしようとする動きがあるのです」(専門誌記者) その資金源はテレビ放映料だ。中国は空前のサッカーブームで、「独占中継権が欲しい」とする国内テレビ局が殺到。異例のオークション方式の販売となり、'20年までの5年間、80億元(約1400億円)の値で競り落とされた。 さらに「サッカー中継のスポンサーに」と名乗りを上げる企業も後を絶たず、さらにアメリカ、カナダ、シンガポールなど、海外在住の中国系ビジネスマンがインターネット中継を視聴。約1660万人の海外赴任者がサッカー中継をする有料サイトと契約した。 「『スーパーリーグ』全16クラブには、年間放映権料収支の4%ずつが振り分けられました。約11億円ずつですよ。各クラブはこの莫大な分配金を使い、新たな外国人選手獲得を目指しているのです」(同) 今後の選手獲得は、強豪国で代表入りも可能な有望若手選手となる。 「水面下での獲得交渉は1次予選中から始まっていた。最終予選中の補強が間に合わなかったとしても、本大会出場が決まれば中国代表はガラリとメンバーを変えてくる可能性もある」(同) 移籍市場で猛威を振るう中国は金に糸目はつけない。すでにロックオンされている大物選手は…。
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スポーツ 2016年05月08日 12時00分
誰がKUSHIDAを止めるのか? 新日本プロレスジュニアの祭典出場選手決定!
今年で23回目を迎える新日本プロレスジュニアヘビー級選手の最強決定戦「ベスト・オブ・ザ・スーパージュニア23」(以下BOSJ)の出場選手が3日福岡国際センター大会の休憩前に発表された。<出場選手> 【Aブロック】KUSHIDA(7年連続7回目)※第73代IWGPジュニアヘビー級王者、2015年優勝田口隆祐(11年連続12回目)※2012年優勝カイル・オライリー(2年連続2回目)※2015年準優勝マット・サイダル(初出場)ロッキー・ロメロ(5年連続6回目)外道(2年連続10回目)BUSHI(2年振り4回目)マット・ジャクソン(2年振り2回目)【Bブロック】獣神サンダー・ライガー(16年連続20回目)※1994年、2001年優勝タイガーマスク(15年連続15回目)※2004年、2005年優勝ボビー・フィッシュ(2年連続2回目)バレッタ(2年連続3回目)ニック・ジャクソン(3年連続3回目)リコシェ(2年振り3回目)※2014年優勝ボラドール・ジュニア(初出場)ウィル・オスプレイ(初出場) 5月21日後楽園ホールで開幕戦を行い、各ブロック総当りで対戦。最終戦の舞台として今年は6月6〜7日に仙台サンプラザでの2連戦が決定している。2014年の飯伏幸太、2015年のケニー・オメガと当時のIWGPジュニアヘビー級王者が2年連続で出場しなかったため、6月(昨年は7月)の「ドミニオン」で優勝者が挑戦する流れになっていたが、今年は福岡大会で行われたタイトルマッチの前にメンバーが発表され、チャンピオンのKUSHIDAも、挑戦者のライガーも名を連ねていたため、3年振りにIWGPジュニア王者が出場することになった。 Aブロックは福岡大会でライガーを相手に4度目の防衛に成功したIWGPジュニア王者KUSHIDAに対する包囲網が敷かれるのは間違いない。KUSHIDAは7月18日から開幕するヘビー級の最強決定戦「G1クライマックス」や8月21日に有明コロシアムで開催されるジュニアオールスター戦「スーパーJカップ」の出場を視野に入れており、「スーパージュニアは2連覇。夏前に独走する」と絶対王者になるためにも連覇は不可欠と捉えている。しかし、最近はKUSHIDAのサポートに回っている田口や昨年決勝を争ったオライリー、初出場のサイダル、そしてKUSHIDAを付け狙うBUSHIと難敵が待ち構えている。KUSHIDA本命は揺るがないが、団子状態になると意外な選手が勝ち上がる可能性もあるだろう。 Bブロックは福岡大会でKUSHIDAに敗れたものの「ライガー最終章」という言葉をKUSHIDAに再挑戦する日まで封印すると宣言した“世界のレジェンド”ライガーが20回目の出場。福岡大会の試合後、改めて「ライガー(を出来るの)はあと5年」と話しているだけに、最後のスーパージュニア優勝も狙っているはずだ。ただ近年の実績や勢いから予想するとこのブロックは2014年にKUSHIDAを破り優勝しているリコシェを本命に推したい。サイダルとのハイフライヤーズではIWGPジュニアタッグ王座を福岡大会で再度奪還するなど今ノリに乗っている。注目はCMLLから初出場するボラドール・ジュニアと、同じく初出場のオスプレイが何処まで星を伸ばせるか? 彼らにとってはまさに生きる伝説であろうライガーとの対決も楽しみだ。 1・4東京ドーム大会でケニーを破りIWGPジュニア王座を奪取してから完璧とも言える防衛ロードを築き上げているKUSHIDA。ライガーも「ジュニア最強のチャンピオン」と称賛していたが、2013年のプリンス・デヴィット以来、3年振りのチャンピオンとしてBOSJ制覇、そして連覇となると2004年〜2005年のタイガーマスク以来の快挙となる。はたしてKUSHIDAの時計の針を止めることができる選手はいるのか? 今年もBOSJが見逃せない。(増田晋侍)<新日Times VOL.17>
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スポーツ 2016年05月04日 15時20分
長与千種 新団体Marvelous(マーヴェラス)初陣に女子プロレスファン1,300人集結
女子プロレス界の新勢力・Marvelous(マーヴェラス)が3日、東京・豊洲で旗揚げされた。絶大なネームバリューを誇る長与千種が舵を取る、驚異の新団体。プロレス初仕様となる豊洲PITには、およそ1,300人の大観衆が押し寄せ、歴史的な幕開けを見届けた。 お笑い芸人・椿鬼奴のお祝いVTRで幕を開けた初陣イベントは、所属全6選手にエールを送る長与のナレーションに合わせて、幼少期からの写真が5つのスクリーンに映写される粋な演出。14年3月の“That's女子プロレス”大田区大会に続き、歌手・華原朋美が再びサプライズ出演して、生歌で門出を祝福した。 オープニングマッチは、この日がデビューの門倉凛。昨年、「プロレスに携わる仕事がしたくて」同団体の運営職員として入社したが、スタッフの薦めによって、レスラーに転向した23歳。およそ10か月前は腕立て伏せさえできなかったが、この日は、グラン浜田を父に持つ浜田文子を相手に、育成されたプロの姿を見せた。 第2試合は、そんな門倉と同期にあたり、2月13日に米国ニューヨークで開催されたMarvelous USAのイベントでデビューした桃野美桜が、国内初試合。デビュー戦と同じ木村響子に2連敗を喫し、「技術も気持ちも及ばなかった」と肩を落とした。プロレスラーになりたくて高校を中退、単身で上京、NYでデビューする様子が、ドキュメント番組で放映された期待の17歳。門倉とともに、女子プロ界の次代を担う美少女だ。 第3試合に出場した雫有希も先月、密着ドキュメント番組が放映されたばかり。上智短期大学(現:上智大学短期大学部)、慶應義塾大学通信制卒のインテリ・アスリートは、僧侶でもある。乳児院を支援する“きらきら太陽プロジェクト”の主幹でもあり、「キャリアは別だけど、キャリアを生かした出方ができるのは私だけ。上の選手にも下の選手にも、負けない」と、胸を張る。 第4試合には、その雫が生まれた86年にデビュー、今年が選手生活30周年のメモリアルにあたるKAORUが出場。キャリア最長で、94年に長与が興したGAEA JAPAN(解散)に続き、絶対的な安心感を誇る。「私にとっては終の棲家になるんで、プロレスの楽しさを教えていきたい」。団体唯一のヒール。セミロングの髪の一部を紫に染色しての、再出発だ。 第5試合に出場した渡辺智子は、長与が1度目の引退をした89年に全日本女子プロレス興業(解散)に入団。唯一の同期である伊藤薫を相手に、20分引き分けドローに終わった。「オレンジ(昔の水着)を雫にあげたので、これからはピンク」と心機一転。Marvelousの名を刻んだ、オール新調コスチュームで臨んだ。 メインを張ったのは、彩羽匠。“絶対王者”里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)に大敗を喫し、「里村さんが長与さんの一番弟子であるのを知ってて、それが悔しくて、越えたくて。また試合をしたら、絶対に勝つしかない」とリベンジを誓った。 同団体は地方巡業を終えた秋以降、首都圏・東京を軸にしたイベントにスライド。東京タワーのふもとにあるスタジオ・東京スターライズタワーで、週1の定期イベントを催す予定だ。さらに、所属全選手を芸能プロダクションに所属させ、エンターテインメントとスポーツの両方でパフォーマンス能力を養う。3人目の新人・田中未来(みき/18歳)もお披露目され、大きなムーブメントを起こすべく旅立ったMarvelous。「シアターにいる気分で観てもらえれば」(長与)。 ドラマティックな女子プロレス。第2話は、5月22日の沖縄大会で観られる。(伊藤雅奈子)
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スポーツ 2016年05月01日 12時00分
新日本5・3福岡は豪華6大タイトルマッチに! 永田、ライガーと泣けるか!? 大会展望
今年も「レスリングどんたく」の季節がやって来る! 新日本プロレスは5月3日に毎年恒例のビッグマッチ「レスリングどんたく2016」を福岡国際センターで開催する。4・29グランメッセ熊本大会が中止になったことで、タイトルマッチが当大会に振り分けられたことに加えて、NEVER無差別級6人タッグ選手権の開催も急遽決定。全10試合中、豪華6大タイトルマッチにスペシャルマッチが2試合とまさに東京ドーム大会級のラインナップとなった。今回は5・3福岡大会の全対戦カードの見どころを掲載する。1.キャプテン・ニュージャパン&ジュース・ロビンソン vs バッドラック・ファレ&高橋裕二郎 ヨシタツにハンタークラブ入りを直訴したが保留されているキャプテン。ここはバレットクラブ相手に結果を出したいところ。バレットクラブは最近大人しい裕二郎の奮起に期待したい。2.タイガーマスク&田口隆祐&ジェイ・ホワイト&デビット・フィンレー vs 桜庭和志&YOSHI-HASHI&ウィル・オスプレイ&外道 注目は福岡初登場のオスプレイ。8人タッグなので何処まで予測不能な難易度が高い空中殺法が飛び出すかわからないが、まだ荒削りながらも今後新日ジュニアの中心に間違いなく入って行く選手なので、その一挙手一投足に注目してもらいたい。3.IWGPジュニアタッグ選手権試合<王者組>ロッキー・ロメロ&バレッタ vs リコシェ&マット・サイダル<挑戦者組> 4・10両国大会のリターンマッチ。外国人によるIWGPジュニアタッグ戦は本当にハズレがない。この絡みが新日本マットで見られるのは本当に幸せなことである。両国でも熱を生んだこのカードが福岡でも爆発するのは間違いなく、勝敗に関しては当日運が良かったチームが最後にベルトを巻いているのではないだろうか。それだけ両チームの実力は拮抗している。最初から最後まで目が離せない。4.NEVER無差別級6人タッグ選手権試合<王者組>棚橋弘至&マイケル・エルガン&ヨシタツ vs ケニー・オメガ&マット・ジャクソン&ニック・ジャクソン<挑戦者組> この試合も4・10両国大会のリターンマッチだが、4・27博多スターレーン大会でファレとの激戦を制した棚橋が、ケニーが保持するIWGPインターコンチネンタル王座への挑戦表明(ケニーは拒否)したことにより、棚橋がケニーを振り向かせることができるのか注目される。また敗れはしたものの、ケニーと大熱戦を演じたエルガン、ハンタークラブ設立に向けて動いているヨシタツと話題を欠かさない王者組に、チームワークに自信がある挑戦者組がどう崩して行くのか。様々なテーマが入り混じったタイトルマッチになりそうだ。5.IWGPタッグ選手権試合<王者組>タマ・トンガ&タンガ・ロア vs 真壁刀義&本間朋晃<挑戦者組> ジュニアタッグと同じく4・10両国大会で王座を明け渡した真壁&本間のGBHが、トンガ兄弟を相手にリターンマッチを行う。ここ数年、IWGPタッグ戦線はなかなか日本人タッグチームが確固たるチャンピオンになれていないだけに、GBHにかかる期待は大きい。またGBHが勝利を収めると会場内が笑顔に包まれることを見ても、ファンから愛されていることがわかる。一発でリベンジして九州に笑顔を与えて欲しい。6.NEVER無差別級選手権試合<王者>柴田勝頼 vs 永田裕志<挑戦者> 小島聡、天山広吉と第三世代を相手に防衛を続けている柴田。天山戦ではダメージから試合後にコメントブースで座り込む姿が見られた。次なる挑戦者は、4・10両国で半ば逆指名される形で永田が登場。柴田は先日の後楽園大会で行われたタッグ戦で中西学も破っており、永田が第三世代最後の砦になる。「もう一度這い上がる」と誓った第三世代にとって永田の挑戦は背水の陣と言ってもいい。リスクを背負う闘いという意味では今大会最も注目のカードだ。7.IWGPジュニアヘビー級選手権試合<王者>KUSHIDA vs 獣神サンダーライガー<挑戦者> 4・10両国でライガーが挑戦表明する形で実現。ライガーは約6年振りのIWGPジュニア挑戦。もし戴冠するとなると2000年7月以来、16年振り12回目の快挙となる。しかしこの後スーパージュニア、スーパーJカップが控えているKUSHIDAは時代を戻すわけにはいかない。8.スペシャルマッチ後藤洋央紀 vs EVIL 昨年11月のEVIL凱旋マッチ以来の対戦。あの時は内藤の介入もあり不透明決着に終わっている。一連の石井戦で覚醒したEVILにとって後藤とのシングルはさらなるステージアップするチャンス。一方の後藤もCHAOSに入り“変化”を誓っているだけに負けられない。二人の肉弾戦は見応えがありそう。9.スペシャルマッチオカダ・カズチカ vs SANADA SANADAはオカダにとってようやく現れた同世代の日本人ヘビー級選手。前哨戦では連日SANADAのSkull EndでオカダをはじめCHAOS勢が絞め落とされて来たが、シングルでは真田聖也時代に使用していた技もいくつか解禁されるはず。ただオカダもSANADAにはまだ手の内を見せていないので、このカードに対する期待値は高い。10.IWGPヘビー級選手権試合<王者>内藤哲也 vs 石井智宏<挑戦者> 内藤の「消化試合」発言に怒り心頭の石井だが、この時点で内藤が主導権を握っている感は否めない。石井が王座を奪取すれば史上最小のIWGP王者が誕生するが、L・I・Jの試合をファンは介入も含めて概ね支持しており、4・10両国のオカダ以上に石井は闘い難いかもしれない。それだけ内藤と石井の立場はこの2か月で逆転してしまった。勝っても負けても試合後の内藤の言動に注目が集まる。 以上、全10カード。今大会の結果は新日本プロレス今年前半戦の大一番、6・19大阪城ホール大会に繋がっていくので、どのカードも結果が重視される大会になるだろう。その中でもベテランの永田とライガーの挑戦は二人がIWGPのヘビー、ジュニアヘビーの王者時代を知るものにとっては感慨深いのではないだろうか。どちらかが戴冠して泣きたいファンも多いはず。はたして福岡で泣けるドラマは起こるのか?(増田晋侍)<新日Times VOL.16>
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スポーツ 2016年04月30日 18時00分
東京五輪にドリームチームはやってくるのか?(後編)
2016年のプロ野球ペナントレースは「新たに導入されたコリジョンルールがどう影響するか」が注目を集めていた。このルール導入に批判的なプロ野球解説者の言葉を借りると、「悪質、かつ故意に走者が相手捕手にぶつかっていくプレーだけを注意すればいい」とのこと。捕手が走者のスライディングに対し、ブロックできなくなるため、余計な失点が増え、投手成績も落ちるのではないかと懸念していた。 善し悪しが決まるのは、シーズン終了後になるのかもしれない。しかし、別の見方もされている。 「アメリカ(メジャーリーグ)ですでに導入されている以上、日本が違うルールで公式戦を続けるのは…」(球界関係者) 2015年、メジャーリーグで正式採用され(禁止事項になったのは14年)、NPBも今年からそれに従った。WBCなど、今後さらに盛んになる国際試合に向け、ルールの解釈を統一しておきたいとの思いもあったのだろう。 「MLB(大リーグ機構)とNPB(日本プロ野球機構)が目指す共通事項があります。それは試合時間の短縮です」(前出・同) 大リーグ機構が試合時間の短縮を目指す理由はシンプルで分かりやすい。莫大な放映権料を生むテレビ局との“お付き合い”である。全米4大ネットワークのテレビ局もそうだが、スポーツ専門のケーブルテレビ局との大型契約がメジャーリーグを支えていると言っても過言ではない。スポーツ専門のケーブルテレビ局・ESPNは2021年までの8年間で、MLBと56億ドル(約6160億円)の契約を結んでいる。それだけの大型契約を結んでいるとなれば、発言力も出てくる。「試合時間をコンパクトに」と働きかけているという。 また、日本の場合は目的が少し異なる。地上波でのプロ野球中継回数が激減して久しい。野球は試合時間が読めない。野球中継は試合終了まで放送できないリスクを常にともなう。それは分かっているが、NPBが「時間短縮」を12球団に強く訴えている理由は、東京オリンピックの追加種目になるかもしれないからだ。 オリンピック大会の最大の収支はテレビ放映料である。その中継するテレビ局側が「試合時間が読めないので野球の中継はたいへん」とこぼしており、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカリ会長は追い詰められていた。これはソフトボールと“共闘”する前からの懸念事項であり、だから、2008年北京五輪大会の直前にタイブレーク制が導入され、東京五輪の追加種目当選を目指す議論の場で「7イニング制」などの“ギョーテン策”が提案されるのだ。 「試合時間が長引けば、遠方から観に来てくださったファンが帰れなくなるかもしれない。終電車の時間帯があるからと言って、試合途中で帰るお客さん、『子どもが起きている時間ではなくなった』と言って帰る家族連れ…。ファンサービスの目的もあって、試合時間の短縮を目指しています」(プロ野球解説者) ファンサービス、東京五輪の追加種目当選。NPBが時間短縮を掲げる理由は間違っていないが、辿り着くところはテレビ中継だ。新国立競技場の設計、エンブレムのデザインで必ず出たフレーズは「日本らしさ」。日本には長く野球を愛してきた歴史と文化がある。 「メジャーリーグがオールスター戦級のドリームチームを結成すると言ってくれれば、東京五輪の追加種目は野球・ソフトボールで決まるはずなんですが…」(前出・関係者) 国際オリンピック委員会(IOC)はリオデジャネイロ五輪直前の7月に総会を開き、東京五輪の追加競技を決定する。主催国・日本の思いが届くことを祈りたい。
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スポーツ 2016年04月30日 18時00分
東京五輪にドリームチームはやってくるのか?(前編)
その自信はどこに根拠があるのか…。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカリ会長が「東京五輪の追加種目」に関する見解を語ったのは、4月11日に逆上る。 「前向きに交渉している。ベストな解決策を探せる自信も持っている」 「前向きに」と自信満々に語ったその交渉相手とは、大リーグ機構である。今年3月、国際オリンピック委員会(IOC)は東京五輪の追加種目についても議論している。そこで野球・ソフトが当確するための課題として指摘されたのが「メジャーリーガーの参加、大リーグ機構の協力」だった。また、同時に「メジャーリーガーの参加は困難である」との調査報告も受けていた。フラッカリ会長の「解決策を探せる自信も」なる発言は、IOCの悲観論を否定する狙いもあったらしい。 「フラッカリ会長がどういう根拠を持って、『自信がある』なんて広言したのか分かりません。ただ、同会長が言うように大リーグ機構と粘り強く交渉を続けていくしかない」(NPB関係者) 「メジャーリーガーの参加」が野球・ソフトの復活の条件だとしたら、その命運は大リーグ機構の一存で決まると言っても過言ではない。 「東京五輪で野球が復活した場合ですが、WBSCは当初の計画を変更し、出場チーム数を『6』に減らしました。アジア地区と北米、中南米に偏った出場枠についても、IOCに『バランスが悪い』と指摘されています」(前出・同) 野球が公式種目だった2008年北京五輪に逆上っても、大リーグ機構はメジャーリーガーの選手派遣には難色を示してきた。フラッカリ会長は『解決策』について、少しだが、その内容を明かしている。準決勝、決勝の限定参加などの代案を提示するという。 これで、大リーグ機構側が協力してくれるのかどうか分からない。しかし、一縷の望みはある。大リーグ機構は今年3月14日(現地時間)で開催されたMLBオーナー会議で、バド・セリグ コミッショナーの後任を選出した。MLB最高責任者の肩書を持っていたロブ・マンフレッド氏である。 「米国では、マンフレッド氏が新コミッショナーに就くことは既定路線のように捉えられていました。マンフレッド氏は公の場で『課題はたぶん、私の右にいる紳士の後釜におさまることだと思う』と述べていましたので。弁護士でもあり、80年代から労使交渉で敏腕を発揮し、メジャーリーグでストライキが起きた1994年はオーナー側の相談役を務めています。薬物問題でも先頭に立って撲滅を目指して働いています」(米国人ライター) だが、マンフレッド氏が新コミッショナーに選ばれた直後のことだ。米デイリー・チューズ紙はホワイトソックスのジェリー・レインドルフ オーナーのコメントを掲載した。 「マンフレッド氏はソフトすぎる。私は(別候補の)トム・ワーナー氏を推していた」 しかも、マンフレッド氏のコミッショナー選出は満場一致ではなかったという。1回目の投票で22票を獲得したが、規約の4分の3に達しなかったため、2回目の投票が行われ、どうにか承認を得ることができたのが真相だ。前出の米国人ライターがこう言う。 「1回目の投票で22票を得たということは、メジャーリーグ30球団の大半がセリグ路線の継承というか、現状維持を望んでいたとも解釈できます。レインドルフ オーナーの発言には重みがありますが、セリグ路線は変わらないと思います。ただ、マンフレッド氏が1回の投票で承認を得られなかったことで強いイニシアティブを握れなくなるとしたら、何か、セリグ時代にはなかった新しいことをやらないと…」 セリグ路線継承なら、夏の書き入れ時に主力選手を失う五輪協力(選手派遣)はないだろう。マンフレッド氏が独自カラーも出したいとするならば、“大逆転”があるかもしれない。フラッカリ会長は新コミッショナーのマンフレッド氏の胸中をどこまで理解しているのだろうか。