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東京五輪にドリームチームはやってくるのか?(前編)

 その自信はどこに根拠があるのか…。世界野球ソフトボール連盟(WBSC)のリカルド・フラッカリ会長が「東京五輪の追加種目」に関する見解を語ったのは、4月11日に逆上る。
 「前向きに交渉している。ベストな解決策を探せる自信も持っている」
 「前向きに」と自信満々に語ったその交渉相手とは、大リーグ機構である。今年3月、国際オリンピック委員会(IOC)は東京五輪の追加種目についても議論している。そこで野球・ソフトが当確するための課題として指摘されたのが「メジャーリーガーの参加、大リーグ機構の協力」だった。また、同時に「メジャーリーガーの参加は困難である」との調査報告も受けていた。フラッカリ会長の「解決策を探せる自信も」なる発言は、IOCの悲観論を否定する狙いもあったらしい。

 「フラッカリ会長がどういう根拠を持って、『自信がある』なんて広言したのか分かりません。ただ、同会長が言うように大リーグ機構と粘り強く交渉を続けていくしかない」(NPB関係者)
 「メジャーリーガーの参加」が野球・ソフトの復活の条件だとしたら、その命運は大リーグ機構の一存で決まると言っても過言ではない。
 「東京五輪で野球が復活した場合ですが、WBSCは当初の計画を変更し、出場チーム数を『6』に減らしました。アジア地区と北米、中南米に偏った出場枠についても、IOCに『バランスが悪い』と指摘されています」(前出・同)
 野球が公式種目だった2008年北京五輪に逆上っても、大リーグ機構はメジャーリーガーの選手派遣には難色を示してきた。フラッカリ会長は『解決策』について、少しだが、その内容を明かしている。準決勝、決勝の限定参加などの代案を提示するという。

 これで、大リーグ機構側が協力してくれるのかどうか分からない。しかし、一縷の望みはある。大リーグ機構は今年3月14日(現地時間)で開催されたMLBオーナー会議で、バド・セリグ コミッショナーの後任を選出した。MLB最高責任者の肩書を持っていたロブ・マンフレッド氏である。
 「米国では、マンフレッド氏が新コミッショナーに就くことは既定路線のように捉えられていました。マンフレッド氏は公の場で『課題はたぶん、私の右にいる紳士の後釜におさまることだと思う』と述べていましたので。弁護士でもあり、80年代から労使交渉で敏腕を発揮し、メジャーリーグでストライキが起きた1994年はオーナー側の相談役を務めています。薬物問題でも先頭に立って撲滅を目指して働いています」(米国人ライター)
 だが、マンフレッド氏が新コミッショナーに選ばれた直後のことだ。米デイリー・チューズ紙はホワイトソックスのジェリー・レインドルフ オーナーのコメントを掲載した。
 「マンフレッド氏はソフトすぎる。私は(別候補の)トム・ワーナー氏を推していた」
 しかも、マンフレッド氏のコミッショナー選出は満場一致ではなかったという。1回目の投票で22票を獲得したが、規約の4分の3に達しなかったため、2回目の投票が行われ、どうにか承認を得ることができたのが真相だ。前出の米国人ライターがこう言う。
 「1回目の投票で22票を得たということは、メジャーリーグ30球団の大半がセリグ路線の継承というか、現状維持を望んでいたとも解釈できます。レインドルフ オーナーの発言には重みがありますが、セリグ路線は変わらないと思います。ただ、マンフレッド氏が1回の投票で承認を得られなかったことで強いイニシアティブを握れなくなるとしたら、何か、セリグ時代にはなかった新しいことをやらないと…」

 セリグ路線継承なら、夏の書き入れ時に主力選手を失う五輪協力(選手派遣)はないだろう。マンフレッド氏が独自カラーも出したいとするならば、“大逆転”があるかもしれない。フラッカリ会長は新コミッショナーのマンフレッド氏の胸中をどこまで理解しているのだろうか。

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