「鳥谷の衰えは明らかで、後継者問題がチーム内外で囁かれています。スカウト編成部は例年以上に『ポスト鳥谷』の獲得に熱心です。徹底マークしている中京学院大・吉川尚輝、日大・京田陽太の2人は鳥谷と同じ右投左打の遊撃手。和田豊前監督(シニアディレクター)を現地派遣させ、複数体制で追い掛けています」(球界関係者)
鳥谷が名指しで金本監督に喝を入れられたのは、5月17日の対中日戦にさかのぼる。9回表、同点に追い付かれ、なんでもない内野フライを鳥谷がポロリ。打ち取ったはずがピンチ拡大となり、しかも「キャプテンの凡ミス」というのが大きく響いた。中日に逆転負けを喫し、金本監督の怒りは爆発した。
「恥ずかしい。高校生に笑われるわ!」
“戦犯の鳥谷”に対し、「芝生で足を取られた」と擁護する関係者も多かった。しかし、鳥谷は今季リーグ2位タイの6失策をすでに記録。'14年は5つだったのが、'15年はその3倍近い14失策に急増。数字だけで見れば、今季も45試合で'14年シーズン以上のエラーを記録したことになる。そのうえ打撃不振で、21日の広島戦では7年ぶりに打順が8番に降格。金本監督の「喝」は不振で苦しむキャプテンを立ち直らせるためのものでもあったのだが…。
「実績のあるベテランですから、少々打てなくても我慢して使っていくつもりでした。今季は打順が6番でスタートしたので、本人の中では『なぜ?』の悔しさと、モチベーションが低かったのかも」(在阪記者)
そうなると、鳥谷が現在も継続中の『連続試合出場』の記録まで危なくなってくる。ドラフト1位候補の遊撃手はもちろん、4年目・北條の成長も著しい。故障離脱中の西岡剛も近日中に一軍復帰する。窮地の鳥谷の連続試合出場について、二通りの意見が聞かれた。
「昨秋キャンプで高卒1年目の植田海(当時)が呼ばれたのは、『鳥谷は長くない』と首脳陣が見ていたから。金本監督が鳥谷に引導を渡すのは時間の問題」(前出・在阪記者)
現在、鳥谷の連続試合出場記録は「1656」(5月23日時点)。金本監督の同記録(1766)を来年追い抜く計算であり、「是が非でも達成させてやりたいと金本監督は思っているはず」との声が多かった。
「守備負担の多いショートでの連続試合出場は物凄く価値がある。でも、金本監督は現役時代、この記録がストップした際、『安堵した』と話しており、解説者時代も『その呪縛から解き放たれた、解放感のような』とも話していました。記録達成のために他のナインに迷惑を掛けていたという、引け目があったんだと思う。鳥谷をギリギリまでサポートし、心身ともに限界と分かったら、金本監督自らが引導を渡すはず。連続試合出場の重圧が分かる金本監督にしかできない仕事」(前出・関係者)
サードやセカンドにコンバートして記録を“延命”させるよりも、「終わらせてやったほうが」という見方もあるようだ。
「金本監督が現役時代から可愛がっていた後輩は鳥谷と藤川。その『後輩愛』は周りも分かっているだけに、今は逆に厳しく接しようとしているようです」(前出・在阪記者)
5月18日、その藤川が阪神帰還後初めてストッパーとして登板した。往年のスピードはなかったが、全球ストレートで中日打線を押しまくり3者凡退。“初セーブ”を挙げた後輩を満面の笑みで出迎えたが、単なる復活劇ではなかったのだ。
「藤川は先発で使う予定でした。金本監督の就任当初、先発投手の頭数が不足しており、それを補ってもらう予定で、『先発の調整をしていればリリーフもできる』と含みのある言い方がされていました。ですが調べたら、先発・藤川は甲子園球場で一度も勝ったことがないんです」(チーム関係者)
本誌も調べ直したが、藤川の甲子園初先発は'02年7月28日。今季の5月7日まで、計8回も先発で甲子園のマウンドに立っているが、勝ち星ゼロ(リリーバーとしての勝ち星は除く)。
「リリーフとして単なる偶然かもしれませんが、今季36歳になるベテランが、本拠地で一度も勝っていないとなれば…。リリーフで再スタートしていなければ、間違いなく戦力外」(同)
マテオが一軍に戻ってくれば、どちらに守護神を託すのか、金本監督は即決できないだろう。
「打撃陣の調子が落ちているので、藤川が本当に中継ぎで使えると分かれば、ドリスを降格させ、ヘイグを一軍に戻せます。打線不振の一因は鳥谷にもあり、両ベテランは責任重大」(同)
交流戦までは様子見、アニキが後輩愛もない冷酷采配を振るうことになってこそ“超変革”だ。