「代わり映えしないね。というか、去年と比べ、戦力ダウンしている。大丈夫かな…」
そう懸念するプロ野球解説者も何人かいた。
まず、チームの精神的支柱でもある阿部慎之助(37)は2月下旬に右肩痛を訴え、いったんはオープン戦に戻ってきたが、調子は上がらず。『開幕メンバー』を発表する前の3月21日に二軍降格を伝えたのは、チーム全体に動揺が広がるのを防ぐためだと思われる。
その阿部とともに二軍落ちとなったのが、世代交代の象徴でもあった2年目・岡本和真(19)だ。そうなると、新人野手で唯一、一軍スタートを勝ち取った重信慎之介(22=早大)に注目が集まっていく。キャンプ、オープン戦で走塁センスとスピードをアピールしていたが、こんな声も聞かれた。
「もともと選手層の厚いチームなので、内外野に代わりの選手はいます。問題は投手じゃないかな。とくに先発は…」(プロ野球解説者)
開幕投手は菅野智之が務める。その菅野を軸とした『先発ローテーション』だが、オープン戦を見る限り、頼りになりそうな二番手は新人・桜井俊貴(22=立命館大)。昨季13勝を挙げたマイコラスは故障で離脱。高橋監督は「ローテーションは6人でまわす」と話していた。ポレダ、高木勇、そして、オープン戦で結果を残した田口麗斗、今村信貴の2人も入れなければ「6人」にはならない。
「高橋監督が就任直後からキャンプ中に受けた取材の限りでは、内海の名前も出していました。杉内は手術をしたので、今季終盤まで出て来られないのでは」(前出・同)
内海はオープン戦通算3試合11イニング3分の1を投げ、自責点13。ベテランであり、「調整」でテストしたい配球もあったはず。したがって、数字だけでは判断できないものの、昨季の不振から考えても、ローテーションを託すのはちょっとコワイ。大竹寛はオープン戦で投げていない。キャンプ序盤で左足を痛め、大事を取ってのスロー調整が続いている。
こうした投手事情からしても、高橋監督は本当に厳しいシーズンを送ることになるのではないだろうか。
もっとも、「菅野、桜井、ポレダ、高木勇、田口、今村」のローテーションは全員20代だ。実績のある菅野と来日2年目のポレダは大丈夫だと思うが、高木勇は昨季中盤以降、ピリッとしたピッチングを見せていない。田口、今村の成長が著しいと言っても、“大抜てき”に近い。「育てる」の要素が多いということは、指揮官がどれだけ我慢できるかが問われる。若い投手陣の奮闘に期待するファンも多いと思うが、なんか、長嶋茂雄氏の「監督1年目」にも似てきたような…。