問題は投手陣だろう。開幕投手を務める則本昴大はともかく、2番手以降が実績に乏しい。ローテーション候補は塩見、釜田、戸村、美馬、レイ、ブリガム、リズなど。塩見は昨季3勝、レイも5勝だ。松井裕樹は今年もクローザーを託された。キャンプ中盤以降の練習試合、オープン戦で2年目の安樂智大が何度もチャンスを与えられたのは、先発候補の弱さの裏返しでもあったわけだ。
野手陣はウィーラー、ゴームズの外国人野手が好調だった。梨田監督は「2番銀次」の攻撃的打線を公言している。ウィーラー、ゴームズが打線の中核を託されるとすれば、一軍登録の『外国人枠4人』の使い方が難しくなってくる。レイは当確として、ブリガム、リズが「最後の1つ」を争っている。先発投手のコマ不足を考えると、どちらかを一軍に置いておきたいところだが、救援のキャム・ミコライオに復調の兆しが見えてきた(二軍スタート)。また、3人目の外国人野手、アマダーは左手首の故障で開幕は絶望的だが、楽天首脳陣はアマダーの打撃を高く評価している。2月21日の中日戦で先制3ランを放っており、135?の巨漢ながら、技術でボールを飛ばすテクニックを持っている。梨田監督は攻撃的な野球を掲げているだけに、シーズン中、外国人野手3人を登録する時期もありそうだ。
3月20日のDeNA戦、6回一死一・三塁。一塁走者の福田が二盗を試みる。DeNAの捕手・高城の二塁送球と同時に三塁走者の桝田が本塁に向かってスタートを切った。二塁手・飛雄馬が俊敏な動きで本塁に返球した。ストライク返球だった。しかし、結果はセーフ。捕手のブロック禁止のコリジョンルールを逆手に取った「ダブルスチール」である。桝田は「キャンプからタイミングをはかる練習をやってきた」と、してやったりのドヤ顔だった。近鉄、日ハム時代の梨田監督は自由に打たせていくタイプだった。こうした走塁練習を仕切っていたのは真喜志、米村の両コーチ。桝田は本塁突入の前に二盗を決めている。先発陣が脆い分、打線が援護してやらなければならない。かといって、打撃には好不調の波が必ずある。梨田監督がまだ打撃フォームの固まらない新人・オコエを一軍で使い続ける理由は「走塁」に活路を見出そうとしているからだろう。