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2016年プロ野球キャンプ情報「混セとパ1強5弱」説は本当か?(オリックス編)

 エース・金子千尋が帰って来た。2014年オフに右肘にメスを入れ、その影響で昨季は7勝6敗と振るわなかったが、軽快なランニングやブルペン投球を見ると、15−16年オフは相当量のトレーニングをこなしてきたのだろう。酒井勉投手コーチは開幕投手について聞かれると、「そりゃ、金子でしょう」と笑っており、福良淳一監督が正式表明するのも時間の問題と思われる(3月1日時点)。東明大貴、西勇輝、ディクソンも良い。全体的に見ても、投手陣の仕上がりが早い。
 「金子が帰って来た」ということは3連戦の戦い方が違ってくる。東明、西、ディクソンのうち、たとえばディクソンを次の3連戦の初戦・先発に持っていくとする。東明、西のいずれかを金子の次の2戦目に使える。2ケタ勝利の見込める投手を第2戦に控えさせるローテーションは、絶対に脅威となるはずだ。

 また、チームに少ないタイプの外国人投手も獲得した。エリック・コーディエ(29)だ。「100マイル超え(160キロ)」を自負する右投手で、キャンプ中盤でフリーA打撃に登板し、実際に打者3人を力でねじ伏せてみせた。スライダー、チェンジアップを持ち球にすると紹介されているが、日本球界で成功するかどうかのカギは、速球との「緩急」を生むチェンジアップだろう。制球力はあまり良くない。ブルペンでは投げた瞬間に「ボール・カウント」と分かる投球もあった。クローザーで使う予定だそうだが、中継ぎで使われたら、「怖い」。オリックスの先発スタッフは、どちらかといえば、技巧派タイプだ。技巧派の後にコーディエが出てくれば、対戦チームは戸惑うだろうし、救援での実績が高い平野佳寿に繋ぐほうがいい。コーディエの制球力では与四球で走者を背負う可能性が高くなる。このコーディエの使い方がポイントになるだろう。

 正遊撃手・安達了一が潰瘍性大腸炎で出遅れたため、大城滉二、鈴木昴平の両新人内野手にもチャンスが訪れた。大城は2月29日に二軍落ちを通達されたが、2人とも守備力は高い。大城にもまだチャンスはあると思う。というのも、鈴木、大城ともに打撃ではアピールできなかったからだ。ただ、鈴木はバント、右方向への打撃ができる。オープン戦が始まっても、ベテラン中島裕之が遊撃手でスタートするとの情報がまだ流れていた。経験値は中島だが、福良監督は安達が帰ってくれば、中島を一塁か、指名打者に回すはず。同じくベテランの小谷野栄一も守備練習では三塁、一塁を忙しく兼任していた。ベテランに複数のポジションを守らせるということは、試合途中で出場選手の守備位置を変える可能性もあるのだろう。代打、代走などベンチ入りしたメンバーをフル稼働させる攻撃を想定している。つまり、守備面だけでも「使える」とアピールできた選手には出場機会があるというわけだ。

 新任の高橋慶彦・打撃コーチの影響だろう。今年のオリックスはバットを振る量が多い。これまでは居残り練習も自主性だったが、糸井クラスも遅くまでグラウンドに残り、バットを振っていた。

 新外国人選手だが、“日本球界向き”を意識して獲得したように思えた。モレルは振り回すタイプではない。捕球、スローイングを丁寧に行う内野手で、ボグセビックは「長打力が売り」と伝えられるが、守備範囲の広い外野手だ。走塁にしても、一塁を蹴った後のスピードは一級品であり、来日8年目のトニ・ブランコと一軍枠をどう棲み分けるか、福良監督は最後まで悩むだろう。一発ならブランコ、確実性ならコンパクトなバットスイングのモレル、走塁も期待してなら、ボグセビック。もともと、オリックスは走れる選手が多いチームでもある。小谷野、中島のベテランが元気で右打者なので、左バッターで「走れる」ボグセビックをメインに考えても面白いのではないだろうか。今年のオリックスは、ホークス追撃の一番手かもしれない。

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