社会
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社会 2011年12月19日 11時00分
任天堂がゲーム“実物大”展示の猛アピール
国内のゲームショーには参加せず、自社イベントを仕掛ける戦略を貫いてきた任天堂が、11月18日開幕の米ロサンゼルス国際自動車ショーにゲーム機メーカーとして初めて出展し、関係者の度肝を抜いた。 特等席ともいえる会場出入り口に一番近い場所にブースを設けて展示したのは、なんと“実物大のマリオカート”。年末商戦の目玉、12月1日発売の新作ゲーム『マリオカート7』のコンセプトカーだという。 海を隔てた日本の扱いは地味だったが、米国メディアは「任天堂が実物大のマリオカートを発売!?」と大きく報じており、思惑はドンピシャリだった。 一体、異業種の自動車ショーに参入した理由は何か。 「任天堂は来年3月期に初めて最終赤字に転落するとの予測で、尻に火がつき危機感を募らせたから、もうなりふり構っていられないのでしょう。動かない自動車を出展したことに対し、自動車関係者は『プライドをかなぐり捨てたということか』と、妙に納得していました」(経済記者) 実際、経営は急速に悪化している。当初は200億円の黒字と見込んでいた来年3月期の最終損益(今年3月期は778億円の黒字)は一転して200億円の赤字に転落の見通し。新型ゲーム機『ニンテンドー3DS』の販売が低迷、8月の値下げで逆に採算が悪化している。 その突破口として岩田聡社長が期待を寄せるのが、キラーソフト『スーパーマリオ』シリーズの最新作というわけだ。しかし、業界関係者は実に辛らつだ。 「自動車ショーで話題を呼んでも『マリオカート7』の販売に直結しなければ意味がない。当然、ショーに足を運ぶ客層との違いがあります。すぐ商売に結びつくほど甘くありません」 “ダッシュキノコ”で一気に上位浮上するマリオカート同様に、果たしてこの英断が赤字地獄脱却の“アイテム”となるかどうか、岩田社長は神にも祈る心境に違いない。
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社会 2011年12月17日 16時00分
M資金詐欺にハメられた元朝青龍の“弱り目に祟り目”
去年の初場所後、大相撲界を追われた元横綱・朝青龍(31)が、まんまとハメられた。 11月30日、警視庁捜査二課は、元朝青龍から1億円を騙し取った詐欺の疑いで、神奈川県逗子市小坪の会社役員、菊地武雄容疑者(77)と埼玉県所沢市の会社役員、熊田隆春容疑者(63)を逮捕。両容疑者は'09年の4月上旬、都内のホテルで、当時バリバリの現役だった元朝青龍に、 「フィリピンに持っている金塊を溶かして現金化する。保管料を延滞しているので、1億円貸して欲しい。金塊を現金化出来たら、モンゴル開発のために1兆円使いたい」 とウソを言い、二度に渡って現金計1億円を騙し取ったという。元朝青龍は、この2カ月前、知人女性を通じ菊地容疑者と知り合った。金を貸した後、いっこうに話が進捗しないため返却を求めたが、応じなかったために、警視庁に告訴していた。 「このようなM資金詐欺グループは長く悪事を働いており、すでに高齢化、捜二のリストに全員がファイル化されています。その中でも菊地は過去に『M資金の運用を任されている』と何度も詐欺を繰り返してきた常習犯。一方の熊田はグループの中でも若く、所沢市の高級マンションに住んでいます」(M資金詐欺に詳しいジャーナリスト) 一方、元朝青龍に関して、元高砂部屋関係者が言う。 「彼の愛国心はたいへんなもの。モンゴルの開発に協力したいと近寄ってきたため、つい信用してしまったようです。菊地容疑者らが役員を務めていた会社は実体がなく、騙し取った1億円もほとんど使い果たしている。12月1日、東京地裁はこの件で連帯保証した知人女性に1億1500万円の支払いを命じましたが、どこまで戻ってくるか。現役時代は3億円以上の収入があった元朝青龍ですが、最近は母国で経営する同族企業集団の傘下の投資銀行がリーマン・ショックで巨額損失を出すなど金回りはよくないといいますから、気が気じゃないでしょうね」 かつては角界のトラブルメーカーとして名をはせた元朝青龍だが、少々同情してしまう。
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社会 2011年12月16日 11時00分
三井物産vs三菱商事 チリ銅鉱山権益争奪戦リスクとリターン(2)
果たせるかな、チリの銅鉱山を巡っては、早くも騒動が表面化した形になっている。 前述のように三菱商事は約4200億円を投じてチリの銅鉱山運営会社に出資した。売主は英国の資源メジャー、アングロ・アメリカン。ところが、来年1月までにこのアングロ・アメリカンから先の銅鉱山運営会社の株式49%を取得する権利を所有しているチリ銅公社コデルコが「約束が違うではないか」と猛反発しているのだ。そしてコデルコに対し、5180億円の融資で一足早く商談をまとめたのが三井物産である。つまりこの銅公社を介して、三菱商事とのガチンコ対決を迫られた格好になっているわけだ。 この勝負、公社(=チリ国営)が主役だけに、どう決着するかは全く予断を許さない。まして自身の運命を託すほどの大枚を投入した資源エネルギー権益は、小説『不毛地帯』さながら一皮向けば「狐とタヌキの化かし合い」を地で行くドロドロの世界である。世界経済の悪化に伴い、今後チリに類した騒動が各国で頻発するようだと、商社の投資リスクが根底から問われかねない。 総合商社ウオッチャーは、三井物産が自らの意思に反しているとはいえ、チリの銅騒動に巻き込まれたことに「あの教訓が全く生かされていないのは残念」と打ち明ける。物産は昭和45年から国策としてイランの石油化学事業に参加。同社を中心に『イラン・ジャパン石油化学(IJPC)』の旗振り役を務めたが、イラン革命とこれに続くイラン・イラク戦争から、この大事業は昭和56年暮れに破綻。プロジェクトの中核を担っていたため、5000億円に上る損失を被った。 「当時の三井物産は、政界の田中派と資源派財界人の口車に乗って壮大なロマンに打って出たもののイラクで墓穴を掘り、後ろ向きの戦後処理から倒産寸前に追い込まれた。口さがない向きは『万事に慎重な三菱商事と違って世界の資源メジャーに対抗した報い』と斬って捨てたものです」(商社ウオッチャー) 死線をさまよった三井物産に対し、当時は「もう2度と資源ビジネスに色気を出すことはないだろう」との観測しきりだった。それを忘れたかのように資源投資に前のめりになり、バブルを謳歌しているのだから、時代が変われば変わったものである。 一方で、その当時は“慎重”と評価され、だからこそ堅実路線を取っていた三菱商事が資源投資を行い、海を隔てたチリで一躍脚光を浴びているのも、歴史の皮肉でしかないだろう。 そんな中、住友商事だけは、まだ払拭しきれないトラウマが残っているようだ。 「その理由は明白です。住商は平成8年に、当時の非鉄金属部長が銅の詐欺取引で2850億円の大穴を開け、尻拭いに汲々とした過去がある。この部長は後に8年の実刑を受けました。そんな理由で、今なおバブル投資とは一線を画しているのです」(経済記者) 世界同時不況の足音が間近に聞こえる今、ハイリターンのすぐ後ろに迫る“悪夢”が再現されることのないよう願いたいものだ。
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社会 2011年12月15日 18時30分
三井物産vs三菱商事 チリ銅鉱山権益争奪戦リスクとリターン(1)
「調子に乗って深入りし、墓穴を掘らなければいいのだが」 総合商社が競うようにして資源投資にのめり込み、三井物産に至っては、実に総資産の4割を占めるまでになっている。 折からの資源高が業績に大きく寄与し、円高の追い風もあって更なる投資に向かわせる好循環が続いているが、こんな“資源バブル”がいつまでも続くわけはない。だからこそ冒頭の市場関係者は「かつて住友商事や三井物産を直撃し、経営の屋台骨を揺るがした悪夢再現があっても驚かない」と警告する。 “過去の悪夢”については後述するとして、資源確保にまい進する各社の積極投資は、確かに目を見張るものがある。奮闘振りを挙げてみよう。いずれも今年に入ってからのものだ。 三菱商事はチリの銅鉱山に4200億円を出資、株式の24.5%を取得したばかりか、豪英の資源会社と共同で、豪クイーンズランド州の炭鉱拡張に約4230億円を投じることを決定。つい最近ではイラク石油省、ロイヤル・ダッチ・シェルと共同で、約3500億円を投じてイラクに液化天然ガス(LNG)の生産基地を新設、2020年をメドに日本へ輸出することが決まったばかり。 三井物産も負けてはいない。こちらはチリの銅公社コデルコが来年1月に予定している鉱山運営会社の株式買い取り(49%取得)に際し、5180億円の融資契約を結んだ。さらには先月11月末に、アフリカ・モザンビーク沖で世界最大級のLNGが発見されたが、総額1兆円規模といわれるこのビッグプロジェクトに、物産は第2位株主として2割の権益を保有する。 伊藤忠商事は米投資ファンドなどと共同で、米石油ガス会社サムソン・インベストメントを買収した。買収額5400億円。この夏にはコロンビアで操業中の炭鉱を1265億円で買収し、日本向けの独占販売権を獲得した。 住友商事は住友鉱山と共同でチリの銅鉱山開発に1000億円出資し、丸紅はデンマークの海運会社から520億円でLNG船事業を買収している。 繰り返せばこれは今年に入ってからの投資案件で、各社に共通するのは、桁違いの金額を注ぎ込んでいるということだ。 「欧州危機を背景に、従来であればセールの対象にならなかったような優良案件が今後とも出てくる可能性がある。だからこそ、円高もあって各社は投資計画を大幅に引き上げ、資源投資を加速させる作戦なのですが、偏った戦略は諸刃の剣になりかねない。投資マネーが大きい分、どこかで歯車が狂えば一気にグラつきます」(商社関係者)
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社会 2011年12月14日 16時00分
ヒーリングサロン妻殺害事件 除霊カウンセラーの酒乱とDV
「妻が血を流して逃げてきた。黒い髪、顎ひげを蓄えた男に刺されたと言っている」と、男の声で119番通報が入ったのは、11月22日午後8時頃。救急隊員が駆けつけると、群馬県太田市の民家の一階台所で、この家の主婦、萩原沙羅さん(54)が顔や首などを十数カ所刺され死亡していた。 群馬県警捜査一課と太田署が調べたところ、外部から他人が侵入した形跡はなく、24日になって沙羅さんの遺体の第一発見者だった夫の萩原直樹容疑者(49)を殺人容疑で逮捕した。 直樹容疑者は犯行のあった民家の一階で編集プロダクション『アカデミー21』を経営する傍ら、ヒーリングサロン『なおらい』を主宰。事件の発端はこのサロン経営を巡るトラブルにあったようだ。 「彼は早稲田大学商学部を卒業後、フジテレビ出版局で7〜8年ほど勤めた後、退社して編集者集団『みろくカンパニー』を設立し独立したのです。当初は広い分野での編集を請け負っていたのですが、次第に宗教色を強めていったこともあり仕事が激減。しかし一方で当時、指圧やマッサージの資格を持つ沙羅夫人と結婚し、彼の宗教的ヒーリングと彼女のマッサージを組み合わせたサロンを始め、こちらはうまくいっていたようです」(社会部記者) だが、指圧やマッサージだけを受けに来る客にも説法をすることに、嫌な顔をする客もいたという。 「それもあって、奥さんは太田市の別の場所に普通のリラクゼーションサロンを開業しようとしていた。このことに直樹容疑者が嫉妬したようなのです」(前出・記者) 数年前から沙羅さんを目当てに来る客も多くなり、焦った直樹容疑者は酒に溺れるようになっていた。 「太田市内の繁華街で酔っ払って他の客に因縁をつけ暴れたり、沙羅さんに迎えに来てもらうこともしばしばだったようです。近隣住民によれば、酔って沙羅さんに暴力を振るうことも度々で、シラフになってから平謝りの直樹容疑者がよく目撃されていました。おそらくDVの末の犯行なのでしょう」(同) 精神カウンセラーも行っていたという直樹容疑者のサロンだが、治療が必要だったのは本人自身だったようだ。
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社会 2011年12月13日 11時00分
骨肉を腐らせる! ロシアに拡散するドラッグ『クロコダイル』の脅威
ドラッグの蔓延が社会問題となって久しいロシア。特にヘロインの中毒死者数は年間3万人に達しているほどの薬物大国だが、このヘロイン末端価格高騰を発端として、新たな薬物が出回るようになった。 その名は『クロコダイル』。なぜ“ワニ”と呼ばれているかは後述するが、効果はアヘンの3倍強力なのにヘロインの10分の1の値段で手に入るとして、若者を中心に瞬く間に広がり、現在のところ中毒患者は120万人いるとされている。要は、安くて効き目の強い“おトクな薬物”というわけだが、そのぶん副作用もすさまじいという。 「クロコダイルの主な成分はガソリン、リン酸、シンナーなど。使用すると、皮膚や筋肉、骨、そして脳などが体内から壊死していくんです。この副作用に苦しむ患者の写真が海外のニュースメディアで報じられるや否や、日本でも大きな話題になりました」(海外のドラッグ事情に詳しいフリーライター) ネットにアップされている写真では、足の先が真っ黒になっている女性や、膝から下の皮がめくれて肉が丸見えになっている若者などが写っている。また、動画サイトでも、副作用で手先が黒ずんで壊死していく患者、肘から先の肉がなくなり、骨が丸見えになって呻いている裸の女性患者など、「これが本当に生きている人間か?」と疑うようなすさまじい映像が投稿されているのだ。 「そう、肉を腐らせ、まるでワニに噛まれたような身体になってしまうことから“クロコダイル”と命名されたのです」(同) さらに、見ているこちらが目を背けるほどのグロテスクな姿になっている患者であっても、クロコダイルの鎮痛作用によって痛みに気づかない。しかも、その覚醒効果はわずか1時間半から2時間と短いため中毒性が高く、患者の大半が1年以内に死亡し、残りの患者も2〜3年で死んでしまうとされている。 日本では今のところ、そのゾンビのような姿を目にして「怖すぎる…」との声が多数だが、なかには「そんなに気持ちいいのか」と、命と引き換えにしても止められない過激な薬物に興味を抱く輩もいる。もともと薬物愛好者は命知らずが多いから、試してみる者が現れてもおかしくないだろう。 ひょっとしたら、近い将来、ゾンビのような姿の中毒患者が日本の街を徘徊するようになるかも!?
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社会 2011年12月12日 15時30分
園児21人死んでやっと…中国が通学バス定員超オーバーに条例制定へ
中国政府機関である国務院法制弁公室は11日、通学バスの安全確保に関する条例草案を発表した。草案によれば、政府が基準を定め、それに達しない車両は通学バスとして認めないようにするというもの。ほかにも、バス運転手の資格制度の導入や、速度制限の導入などがうたわれているという。来年早々には条例制定となる。 中国では先月、甘粛省で定員9人に幼稚園児ナント64人も乗せた通学バスがトラックと正面衝突、園児ら21人が死亡するという、あり得ない事故があったばかり。通学バスの“過積載”による事故は中国国内で多発しており、国際的にも非難の声が挙がったこと(画像参照)から、恩家宝首相も無視することができず条例制定を指示したものだという。ひと昔前なら「内政干渉」の名の下にダンマリを決め込んでいたはずの中国、ここへ来ての動きは国際化の証だろうか。
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社会 2011年12月12日 11時00分
ドジョウが旗を振る 液晶“ゾンビ”企業の行末(2)
ジャパンディスプレイは産業革新機構=経済産業省が全体の7割に当たる2000億円を出資、東芝など3社が1割ずつ出資している。世界シェアは単純合計で21.6%とトップに躍り出る上、中小型液晶の市場規模は、今後もスマートフォンやタブレット端末向けなどが急伸することから、数年後には4兆円規模に拡大すると見られている。しかも次世代ディスプレイの主役“有機ELパネル”を量産化し、これとて日本の技術だが、今や世界で圧倒的な存在感を誇る韓国サムスン電子に「追いつき追い越せ」が、日本政府の「日の丸連合で世界制覇」という将来ビジョンのようだ。 つまり、産業革新機構が資本の7割を出資=背後に控える官僚が経営のグリップを握るということを踏まえれば、まさに“血税による追撃の大風呂敷”なのである。 新会社社長に決まった半導体大手エルピーダメモリの大塚周一前最高執行責任者は、3社合計スタッフを会社発足から1年で2割削減し、来年3月期に単純合計で約5700億円と見込む売上高を2016年3月期には7500億円まで増やし、この時点で「株式上場を目指す」と胸を張る。 「新社長がどう豪語しようと、捕らぬ狸の皮算用になりかねません。そもそも、参加する3社は生まれも育ちも違うし、これを一本化するのは至難の業。下手にリーダーシップを発揮すれば3社の思惑が激突して収拾がつかなくなる。ましてや会社ではそれぞれ非主流として冷や飯を食ってきた面々です。片道切符で送り込まれ、もう本体に戻れないとなればどうなるか。親会社だってそんなことは承知しているから『どうすれば巧妙に血税を吸い上げられるか』に知恵を絞り、彼らをトコトン利用しないとも限りません」(経済記者) いま関係者をあぜんとさせているのは、前述のように新会社がパナソニックから茂原工場を取得したことだ。買収額は公表されていないが、一説では“約300億円”。れっきとした血税投入にもかかわらず、産業革新機構はどういうわけか公表を渋っている。 「あの工場はパナソニックが日立から買い取って、液晶テレビの生産をしていた。テレビ事業の採算悪化に伴って工場をモバイル向けの生産ラインに“化粧直し”してセールに出した。この商談に革新機構がパクッと飛びついたのは“野田佳彦首相だから”との笑うに笑えない話がある。野田首相は松下政経塾の出身ですし、閣僚にも出身者が何人もいる。そこで保身術に長けた革新機構=経済産業省の官僚たちが“気を利かせた”結果、パナソニックの茂原工場に白羽の矢が立ち、東芝が期待した石川の工場はお呼びじゃなかった。そんな事情もあって、取得額の公表を渋っているのではないか…」(情報筋) 東芝とアップルでケチがついたとはいえ、石川工場に比べて買収額の分高くつく計算とあって「なぜパナソニックの茂原を」の声は当然出てくるだろう。それだけでも、日の丸連合の前途は早くも思いやられる。 息巻く日本政府主導の液晶事業は、まるでサムスンの参加していないトランプ“ババ抜き”のようである。
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社会 2011年12月11日 11時00分
ドジョウが旗を振る 液晶“ゾンビ”企業の行末(1)
「結局は血税を食い尽くすだけの金食い虫事業で終わるのではないか」 東芝、日立製作所、ソニーの3社と官民ファンドの産業革新機構がスクラムを組み、来年4月にスマートフォンなどに使われる中小型液晶パネルの新会社『ジャパンディスプレイ』を設立することが11月15日、正式に決まった。 この計画は今年の初めに急浮上、8月末に3社の液晶事業を統合することで大筋合意していたが、業界には「3社のお荷物事業を血税で救済するシロモノ。産業革新機構=経済産業省は何を血迷っているのか」と、いぶかる声しきりだった。しかし政府は耳を貸さず、正面突破を図った。だからこそ、冒頭の業界関係者は「世間の耳目を集めた事業仕分け、政策仕分けが、しょせんはパフォーマンスに過ぎないことがハッキリした」と斬って捨てる。 そもそも東芝、日立、ソニーの3社にとって液晶事業は、本業の足を引っ張るだけの厄介者と化しているのが実情だ。 東芝の液晶子会社である東芝モバイルディスプレイは、直近で1033億円の債務超過に陥っている。これでは新規投資など土台ムリで、来年4月稼動を目標に石川県で液晶新工場を建設しているが、1000億円に上る投資マネーは米アップル社から調達する予定だった。 「東芝は“日の丸連合”への参加を事前にアップルへ説明しておらず、慌てて説明に行ったものの、東芝の液晶事業を事実上の子会社にしようとしていたアップルは『話が違う』と態度を硬化させた。苦肉の策として新たに発足するジャパンディスプレイがこの新工場を継承する計画が浮上したのですが、この話は立ち消えになった」(情報筋) 代わって新会社は、パナソニックの茂原工場(千葉県茂原市)を取得することになった。その舞台裏は後述するとして、要するに東芝は液晶ビジネスの不振に困り果ててアップルに擦り寄った揚げ句、よりによって政府主導の“日の丸連合”との二股作戦に打って出た図式なのだ。 日立も液晶ビジネスに苦慮してきた。子会社の日立ディスプレイは220億円超の債務超過に喘いでおり、ここ数年は「選択と集中」の名の下、外部への売却観測がくすぶっていた。ソニーまた然り。既に一部ラインを京セラに売却し、早々に“足抜け”を目指してきた。 まさに3社揃って、政府肝いりによるジャパンディスプレイの旗揚げは「渡りに船」ということである。 それにしても政府はなぜ、一度死んだような事業をゾンビのように再生させようとするのか−−。
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社会 2011年12月10日 15時00分
「平松派残党は殺戮する!」 大阪・橋下新市長が行列のできる目安箱で市役所解体(3)
大阪維新王国の誕生は、中央政権にも大きな影響を与えることになりそうだ。維新の会が、これから「大阪都構想」をはじめとする諸々の主張を実現するには法律改正が避けて通れない。そのためには、維新の会の国政進出が絶対条件になるからだ。 橋下氏は、大阪都構想実現のために国や既成政党に協議を申し入れ、それが不成立に終わった場合は「国政進出」を目指し、次回の衆議院選挙に関西から候補者を擁立することを明言している。となれば、ついに地方分権を目指す全国の地域政党の連合体維新政党の誕生となるだろう。 「そのメンバーは中田宏元横浜市長、大村秀章愛知県知事、河村たかし名古屋市長、東国原英夫前宮崎県知事、そして石原慎太郎東京都知事の名前が挙がっています。また民間では、辛坊治郎氏の“晴れての参加”の噂も。もし実現すれば、自民、民主の二大政党に匹敵する強力な第三極が誕生することになります」(府政担当記者) このような状況下、既成勢力の中からも早くも合流、連帯の動きが表れている。まず動いたのは国民新党の亀井静香代表で、「維新の会と連帯する新党結成」をブチ上げた。民主党の小沢一郎元代表も、ここにきて突然、野田総理の増税路線を批判し「行政改革を最優先すべき」と政権批判を公然と始めている。 「このタイミングでこの発言。聞きようによっては維新の会へのエールですよ。それに、小沢事務所からは維新の会の選挙サポートになんらかの支援があったのでは、という噂もあります」(府政担当記者) 既成勢力の中で唯一、公然と維新の会の支持を打ち出していたのが、みんなの党だ。同党では渡辺喜美代表が再三来阪し、維新の会との強い連携を強調、11月27日の開票時には真っ先に駆けつけ、「今日が日本の夜明けだ!!」とエールを送っていた。しかし渡辺代表は、春の統一地方選挙で橋下知事を「マキャベリスト」と論じ「少し距離を置きたいクール」とも語っていたのだ。その点を渡辺代表に直撃すると「マキャベリストは褒め言葉なんですよ」と手のひら返し。 この他にも、たちあがれ日本が勝手連的に動いており、加えて公明党も今回の選挙を自主投票にしたことを幸いに、維新の会に秋波を送り出しているという。 「たちあがれ日本は、維新の会を結成当時から支援していた部分があります。亀井さんの国民新党も含め、元はといえば自民党の右派。根っこは同じなんですよ」(前出・府政担当記者) 自民党・民主党の市会議員の中にも「公務員条例などの改革協議には応じるべき」との声が上がり出した。泣く子と橋下徹には勝てない、究極の“この指止まれ状態”は、もはや止まりそうにない。 前出の元議員は、これから起こるであろう維新の会の熱狂に関し、次のように語る。 「既成政党には、うろたえるな、と言いたい。浮き足だったら終わりです。橋下さんという人は頭弁護士、腹詐欺師。これから必ずボロが出る。その時に真価を問われるのが、抵抗勢力としての既成政党だということを忘れてはいけません」 W選挙の圧勝が日本に夜明けをもたらすかどうかはわからない。だが、激動の時代の幕開けになるのは確かのようだ。