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三井物産vs三菱商事 チリ銅鉱山権益争奪戦リスクとリターン(1)

 「調子に乗って深入りし、墓穴を掘らなければいいのだが」
 総合商社が競うようにして資源投資にのめり込み、三井物産に至っては、実に総資産の4割を占めるまでになっている。
 折からの資源高が業績に大きく寄与し、円高の追い風もあって更なる投資に向かわせる好循環が続いているが、こんな“資源バブル”がいつまでも続くわけはない。だからこそ冒頭の市場関係者は「かつて住友商事や三井物産を直撃し、経営の屋台骨を揺るがした悪夢再現があっても驚かない」と警告する。

 “過去の悪夢”については後述するとして、資源確保にまい進する各社の積極投資は、確かに目を見張るものがある。奮闘振りを挙げてみよう。いずれも今年に入ってからのものだ。
 三菱商事はチリの銅鉱山に4200億円を出資、株式の24.5%を取得したばかりか、豪英の資源会社と共同で、豪クイーンズランド州の炭鉱拡張に約4230億円を投じることを決定。つい最近ではイラク石油省、ロイヤル・ダッチ・シェルと共同で、約3500億円を投じてイラクに液化天然ガス(LNG)の生産基地を新設、2020年をメドに日本へ輸出することが決まったばかり。
 三井物産も負けてはいない。こちらはチリの銅公社コデルコが来年1月に予定している鉱山運営会社の株式買い取り(49%取得)に際し、5180億円の融資契約を結んだ。さらには先月11月末に、アフリカ・モザンビーク沖で世界最大級のLNGが発見されたが、総額1兆円規模といわれるこのビッグプロジェクトに、物産は第2位株主として2割の権益を保有する。
 伊藤忠商事は米投資ファンドなどと共同で、米石油ガス会社サムソン・インベストメントを買収した。買収額5400億円。この夏にはコロンビアで操業中の炭鉱を1265億円で買収し、日本向けの独占販売権を獲得した。
 住友商事は住友鉱山と共同でチリの銅鉱山開発に1000億円出資し、丸紅はデンマークの海運会社から520億円でLNG船事業を買収している。

 繰り返せばこれは今年に入ってからの投資案件で、各社に共通するのは、桁違いの金額を注ぎ込んでいるということだ。
 「欧州危機を背景に、従来であればセールの対象にならなかったような優良案件が今後とも出てくる可能性がある。だからこそ、円高もあって各社は投資計画を大幅に引き上げ、資源投資を加速させる作戦なのですが、偏った戦略は諸刃の剣になりかねない。投資マネーが大きい分、どこかで歯車が狂えば一気にグラつきます」(商社関係者)

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