社会
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社会 2011年12月28日 18時24分
社員大量流出先の見えない武富士
業界トップから陥落し、ついには経営破綻に至ってから1年以上が経過した、消費者金融の武富士。韓国A&Pファイナンシャル傘下で再出発の予定だったが、ここにきて、再生シナリオの雲行きが怪しくなってきたという。 「買収代金282億円を払い込まず、12月1日に予定していた武富士自体の新旧分離による事業継承が、年末ギリギリまで延期されたのです」(全国紙経済部記者) とはいえ、年末までにA&Pが資金を払い込む保証はない。下手をすると、新たな支援企業を探さざるを得ないケースはもちろん、最悪の場合は会社自体の清算が視野に入ってくる。 買収資金の調達が難航している最大の理由は、皮肉にもA&P自体の信頼が大きく低下していることだという。 「A&Pは本国の韓国ではなく、金利の安い日本の銀行から調達する予定だった。ところが韓国で法定金利を超える金利で貸し付けていたことが発覚、金融当局から厳しいペナルティーを受ける恐れがあるため、日本の銀行が敬遠した。不良債権地獄の苦々しい経験から、すっかり腰が引けたのです」(金融関係者) A&Pは韓国では第1位の消費者金融という触れ込みだが、貸付残高規模で見れば、日本では中小の部類。当時は「小が大をのみ込む異例のスポンサー選定」と囁かれたものである。そんなA&Pが資金調達に汲々としているのを目の当たりにすれば、11月末で全社員の8割にあたる1300人が希望退職に応じたのも頷ける…。 「武富士の旧経営陣は、全国規模で元利用者から訴訟を起こされている。破綻したことにより、過払い金相当額の返還を受けられないという内容の損害賠償だが、今や血みどろの展開になっています」(法曹関係者) まさに泥船。
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社会 2011年12月26日 11時00分
TBSが日経と組んだ苦肉の策
TBS(東京放送ホールディングス)と日本経済新聞社が、モバイル端末向けコンテンツの開発、提供することで業務提携することになった。 「TBSといえば毎日新聞のグループ。しかし、スマートフォンなどの急速な普及によって情報の利用形態が変わりつつあるため、その対策として先手を打ったということ。日本企業の技術力や日本の文化、流行などに焦点を当てた外国語番組を制作し、動画配信サイトに提供する計画もあります」(経済誌記者) このため三井物産も、企画、マーケティング、事業推進で協力していくという。 放送関係者が言う。 「TBSといえば今年、アナウンサーの中途採用を公募したことでも話題になりました。アナウンサーを自前で養成するのにも時間と金がかかってしまう。今回の業務提携も、そんな背に腹は代えられない台所事情を反映したものですよ」 TBSの看板アナ、安住紳一郎なども、“フリー転向”の話がチラホラ。国内の放送事業ではジリ貧になることを見据えての、なりふり構わずの提携というわけだ。 「TBSに限らず、現在民放各局は何でもプロダクション任せで、すでに自前で番組を制作することは、あまりありません。情報収集力は弱くなるばかりで、単に電波を流す箱と化していることへの危機感の表れです。今回、TBSが動き出したことで、今後は垣根なしの民放再編が表面化することは間違いありません」(スポーツ紙文化社会部記者) テレビ局のCM収入が激減して久しい。制作費はさらに削られ、いずれは吉本興業などの大手芸能事務所が制作した番組をそのまま流すだけ、などということも考えられる。その前に手を打ったTBSの策は吉と出るか?
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社会 2011年12月25日 11時00分
事故多発で“自転車保険”好調
「自転車保険」が売れている。損保各社は昨年3月までに自転車保険の販売を中止したが、新たにコンビニ店頭や携帯電話で契約できる利便性の高い保険が登場し、売れ行きが好調だというのだ。 「知られる通り、自転車は強制加入保険がありません。損保は30年ほど前から自転車総合保険を扱っていましたが、商品への関心の低さなどから販売を取りやめたのです。ところが、このところ自転車事故が急増し、賠償額も高額化したため需要が高まってきたのです」(経済部記者) 中高校生の自転車事故でも裁判所では責任能力を認めている。ただし、損害賠償は就職して収入を得られるようになってから支払うことになるという。 「最も多いのは、繁華街での自転車と歩行者の接触。例えば、走行中の自転車が歩行者の主婦のショルダーバッグの肩紐をひっかけて転倒させた男子高校生には、1743万円の支払いが命じられています。一方で、加害者に支払いが命じられても一向に払おうとせず、被害者が泣き寝入りするケースもあります」(社会部記者) 保険に入るよりも、まず安全運転だ。
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社会 2011年12月23日 15時00分
大阪・橋下市長いよいよ登庁で役人天国・50代幹部職員が卒倒寸前! ハシズム劇場裏(2)
このままいけば、新市長と反維新系職員の全面対決は、ほぼ確実。もっとも橋下新市長は当面、対決よりも対話を重視する方針だという。そのため一部では「府庁で苦労したから橋下さんも変わった」という声も出ているようだが、それをまともに信じる職員は少ない。市職労の関係者が語る。 「人の話を聞くようになったなんて、とんでもない。独裁者のレッテルに辟易しているので、そういうポーズをとっているだけです。力の勝負ならいつでもできるという、余裕の表れなんでしょう」 嵐の前の静けさが、いつまで続くかが気になるところ。このような不穏と不安が入り交ざった空気とは別に、今、大阪市では、気になる動きが起こっている。ある大阪市職員OBが言う。 「実は複数の中堅幹部職員が、この機会にということで、早期退職を検討しています。全員、能力のある優秀な人たちで、もし彼らが抜けたら、それこそ大阪市の損失になりますよ」 その中には、純粋な異議申し立ての職員もいるようだが、一番の原因は、やはりこれから起こるであろう、市長と職員の対立のようだ。年齢的には退職が見えてきた50代後半が多いという。 「このままでは、中間管理職はいずれ両者の板挟みになるのは必至。しかもその溝の深さは、これまでとはケタ違い。そんなことで苦労するぐらいなら、早く楽になろうということです」(同) さらに橋下知事時代の大阪府庁で職員の自殺が相次いだことも、管理職たちのやる気を萎えさせている原因の一つだ。 「仕事のハードさは正直言って府よりも市の方が上なんです。そこに自殺の原因を作ったかもしれない人がトップに来るんですよ。正直言って、同じ道をたどるのかと気が滅入るのも当然の話」(区役所勤務の男性職員) また、ある中間管理職は「これからはまず大阪都構想ありき。それ抜きでは言いたいことも言えなくなりそうです。それに、次の職場(天下り)も期待できませんから、早く辞めたくなるのも当然です」 このような空気を前出の維新の会関係者は「これから頑張るという人はたくさんいますよ」と、“去る者は追わず”の構え。松井一郎新知事が教育基本条例に反対する教育委員に発したという、「辞任してもらってかまいません」というセリフ。これが基本姿勢のようだ。 型破り市長の登場に、職員の大脱走が始まりそうな大阪市役所。これが民間なら、影響を受けるのは社員と関係者ぐらいのもの。しかし、自治体、それも政令指定都市ともなれば、波紋は住民にまで及ぶ。 果たして、幹部職員が固唾を飲んで見守る“ハシズム劇場”は、大阪にどれほどの嵐を巻き起こすのか。
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社会 2011年12月23日 11時00分
オリンパス株で笑いが止まらないGS
巨額の損失隠しが発覚したオリンパス。延期した中間決算発表のタイムリミットである12月14日を前に、株価が乱高下した。 「期限切れで東証の上場廃止基準に抵触する可能性が高い」と一部の海外メディアが報じたのを機に急落。続けて、大株主の投資ファンドなどが上場維持を要請したのを受けて急騰。投資家は些細な情報にも一喜一憂した。 「第三者委員会や監査法人は、何としても期限内の発表にこぎつけたい。しかも総資産が公表されている損失隠し額を上回るため、懸念されている債務超過の事態は回避できる公算が強い。むろん虚偽記載の悪質性は問われますが、それを踏まえて関係者が、東証や金融庁などに水面下で『ここは穏便に』と働きかけています」(金融情報筋) その際の苦し紛れの“殺し文句”が「非上場となって解体に弾みがつけば、ドル箱の内視鏡事業が海外企業に乗っ取られかねない」ということ。実際、同社を巡っては不穏な動きがあった。米ゴールドマン・サックス証券(GS)が6.67%保有の筆頭株主に躍り出たのだ。 「GSは、まるで事件発覚を事前に察知したかのように大量の空売りを仕掛け、同社株の暴落に乗じて買い戻し、30億円近い利ざやを稼いだ。正直こちらの方が問題だとの声が燻っています」(市場関係者) つまりは自己売買と機関投資家からの注文を受けての利ざや稼ぎ。前出の市場関係者が喝破する。 「株の長期保有など眼中にないGSは、上場廃止か上場維持になるかのタイミングを見計らって次の行動を起こすに決まっている。廃止ならばオリンパスに食指を動かしている内外企業に高値で譲渡。維持ならば発表と同時に株価が急騰する。そのタイミングを見計らって売り抜けば再び大儲け。どう転んでもハゲタカの笑いが止まらない図式なのです」 果たして、小誌が発売される頃には、どのような展開になっていることやら。
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社会 2011年12月23日 11時00分
ついに巨大市場 中国バブル大崩壊(2)
中国の消費マインドの冷え込みは確かなようだ。10月の新車販売は5カ月ぶりにマイナスに転じ、近く発表されるであろう11月の実績にしても「かなり厳しい数字になる」と、この関係者は語る。中国を北米市場と並ぶ主戦場と位置づけているトヨタ、日産、ホンダなどの日本勢が、その影響をモロに被るのは避けられない。 テレビやエアコンなどの家電も例外ではない。中国は日本のエコポイント制度に先駆けて2007年暮れに、四川省などで購入価格の13%を補助する「家電下郷」制度を導入、'08年のリーマンショックで落ち込んだ景気回復を狙ってこれを全国に拡大した。そして日本と同様、この補助制度の打ち切りと同時に販売が失速。メーカーや家電小売店は、大量在庫の山を前に悲鳴を上げているという。 そんな中国経済の前途を見透かしたかのように、サッサと身辺整理をする動きもある。米投資ファンドのブラックストーンは9月末に超優良物件とされる上海ショッピングモール「チャンネル1」を売却、40億円近い利ざやを稼いで撤退した。ゴールドマン・サックスを始めとする証券会社や投資銀行も競うようにして保有不動産の売却を加速、投資マネーを回収するなど逃げ足は速い。今や上海、北京では「まだ大型物件を売却できない海外投資家はバブル崩壊で討ち死にする」とまで陰口されている、と関係者は打ち明ける。 そのデンでいうと、森ビルが総額1250億円の大枚を投じて建設した地上101階建て、高さ492メートルの「上海環球金融中心」は、中国バブルに踊った巨額投資を象徴する“歴史的遺産”になりかねない。 「中国バブルが炸裂すれば、かの地に次々と大規模工場を建設した日本メーカーは深刻なダメージを被る。日本経済が迎える第2の敗戦といっても過言ではなく、そのインパクトは絶大です」(前出・貿易関係者) これに輪をかけるのが、中国による対日投資の引き揚げである。とりわけ目が離せないのは、中国政府系ファンドが100社を上回る日本の有力企業株を次々と買い漁り、堂々たる大株主に名を連ねていることだ。 「現時点で時価3兆円と言われるビッグな投資マネーです。これが一気に売りに出されたら株価はたちまち大暴落し、それこそ“東京・兜町発の世界恐慌”に直結する。そんな最悪の事態に比べたら、日本国債の売り崩しシナリオを心配すること自体、まだかわいい部類です」(前出市場関係者) 欧州危機にも増して、どうすれば中国バブル炸裂を阻止できるか、世界の関心は嫌でも高まるばかりだ。
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社会 2011年12月22日 16時20分
ついに巨大市場 中国バブル大崩壊(1)
「欧州発の世界恐慌が現実味を増してきた」−−。最近の経済ニュースで頻繁に発せられる言葉である。しかし、日々の生活の中で「何がどうなれば」というあたりの実感がないと、理解しにくいものである。 米格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)が、ドイツ、フランスなどユーロ圏15カ国の国債を、格下げの方向で見直すと発表した。すると早くも「欧州の債務危機が日本を直撃、国債が売り崩されて日本経済が沈没する」という不吉なシナリオが囁かれるようになった。 不安に思う要因の一つは、このような想定と実態経済の境目が曖昧に感じられるところにある。 日本国債は、12月1日発売の10年物金利が1.09%と、約4カ月ぶりの水準に上昇した。金利が上がる=魅力があるというのは間違いではないが、裏を返せば、そうまでしないと国が金を集められない、つまり国に金がないという意味だ。ちなみに火種のギリシャ国債は20%を超えるまでになっているが、信用がないので誰も買わない。これは、政府が国民を騙していたという“実態”に基づいている。 欧州では一時、イタリア国債が危険水域の7.3%にまで達した(その後、政府の緊急策により低下)。また、ユーロ圏最後の安全資産と目されていたドイツ国債にしても、募集額に投資家の需要が届かない大幅な「札割れ」が発生。これを機にユーロ圏で株安・債権安が加速した。それが回りまわって「まだ安全圏」(市場筋)にある日本に飛び火し、大量の日本国債が売られて現金化されるという由々しき事態が“想定”されるという図式である。 「S&Pやムーディーズなどの米本国の格付け会社は、財政事情を無視して以前から日本国債の格下げに熱心だった。しかも日本は円高で体力が低下している。米格付け会社が更なる格下げに踏み切れば、日本国債は“第2のイタリア”になる。そうなれば日本を叩き潰して大儲けを目論むヘッジファンドの思うツボ。格付け会社とヘッジファンドの怪しい二人三脚を勘繰る向きは多い」 市場関係者が語ったこのような話は『週刊現代』でも報道されていた。彼らの目的は「安く買って高く売る」金儲けだ。そのために“信用”を操り、手段として“想定”を駆使する。 しかし、意外と知られていないことだが、日本国債の94.3%は金融機関や個人投資家など国内勢が保有しており、海外の保有比率は僅か5.7%に過ぎない。その点、国内保有比率が低い欧米各国とは事情が違うといえる。従って、日本は欧米に比べて国債売り崩しのターゲットになりにくく、これが日本経済崩壊の引き金に結びつく可能性は、あまり高いとはいえない。 「本当に怖いのは世界第2の経済大国に躍り出た中国の失速です。国家の威信をかけた『北京オリンピック』『上海万博』が終了した今、客観的データはバブル崩壊のカントダウンを告げている。そこに欧州危機の追い打ちが加われば、広大な中国市場にのめり込んだ日本企業は、至るところで返り血を浴びかねません」(日中貿易関係者)
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社会 2011年12月22日 16時19分
大阪・橋下市長いよいよ登庁で役人天国・50代幹部職員が卒倒寸前! ハシズム劇場裏(1)
“大阪都”そして“大阪市役所解体”の旗印を掲げ、暴れん坊将軍・橋下徹新市長が、いよいよ12月19日に就任、大阪市役所に乗り込む。 橋下新市長は当選時の会見で「民意を受け止められない(大阪市)職員には去ってもらう」と、市役所職員に対し宣戦布告を行っている。「大阪市役所をぶっ壊す」市長にしてみれば当然の言い分だが、理由は他にもあった。それは、職員の露骨な反発だ。 「新市長は、事前に『維新の会』に批判的な職員のブラックリストを作らせていましたが、職員も職員で市職労を中心に『橋下市政で生活はこう変わる』と題する、今後をシミュレートした文書を作成し、回覧させていました。その情報が橋下さんの耳に入り“そっちがその気なら”となったみたいですね」(市政担当記者) その文書の内容は「職員基本条例に従えば職員の5%がリストラに遭う」「一般職に配置転換の認められない現業部門職員は真っ先にリストラ」といったものだという。 こんな文書の存在は、何としてでも反抗勢力を押さえ込みたい橋下氏にしてみれば、願ってもないケンカの口実だ。 維新の会関係者によれば、橋下氏は府知事末期に打ち出した「職員基本条例案」と「大阪府教育基本条例案」を大阪市にも持ち込む構えを見せている。これが実現すれば、大阪市役所に能力主義人事や信賞必罰の人事評価が導入され、怠慢な職員はバッサリと切り捨てられる。 「こんな規定は公務員にはそぐわない、という人もいますが、民間企業では能力主義や信賞必罰は当たり前。それをおかしいと思わないぬるま湯体質が、大阪市役所をダメにしてきたんです」(維新の会の某市会議員) なにしろ大阪市は、全国の自治体でも一、二を争う役人天国。交通局、水道局といった現業部門の職員は手厚く保護され、平均年収が1000万円オーバーの職員も少なくない。一般職では多くのセクションで、退職後の天下り先が互助会的に準備されている。 「先日、新市長が白紙撤回した市立近代美術館計画。アレなんか、美術、文化軽視の観点から見直しを求める声が上がっていますが、本当の理由は幹部連中の天下りポストが減ったら困るから、というのがもっぱらです」(同) こうした“既得権益”にメスが入るのだから、反発が出るのも無理はない。 「この問題に真剣に取り組む市長は橋下さんが初めてじゃないですか? だから、職員にしてみれば、それこそ“必死のパッチ”ですよ」(維新の会関係者)
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社会 2011年12月19日 12時20分
北朝鮮の金総書記が死去
北朝鮮の朝鮮中央テレビは19日、金正日総書記が死亡したことを発表した。正午からの特別放送で公式に伝えられたもの。金総書記は17日に急病で倒れ死亡したという。69歳、死因などは現在発表されていない。
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社会 2011年12月19日 11時45分
もう信用できない? クロネコメール便 相次ぐ未配達や廃棄
クロネコメール便といえば、大手運輸会社ヤマト運輸が取り扱う輸送物。今や郵便事業の郵便物から取って代わりつつある事業で、取扱量は膨大なものがあるとみられる。そのクロネコメール便が未配達や廃棄されたというニュースを最近やたら耳にする。 最近では12月7日、同社の名古屋主管支店管内の事業所で委託契約を結んでいた60代の委託配達員が、メール便1600通を配達せず、このうち1300通を廃棄していたことが明らかになった。08年5月から11年10月に法人から依頼を受けたメール便だった。これは、11月29日に名古屋市環境局瑞穂環境事業所から「収集したごみ袋の中にダイレクトメールが入っている」との連絡があり、発覚したもので、該当地域は同市瑞穂区。同社ではその配達員との委託契約を11月末に解除したという。 11月には同社栃木主管支店管下の事業所、益子・烏山支店及び宇都宮さくら支店にて、同社社員が約960通のメール便を滞留させ、そのうち約700通を裁断や焼却処分していた事実が社内調査で判明している。対象は06年9月から11年8月に法人から依頼されたもので、該当地域は宇都宮市など。 9月には秋田市内を担当していた元委託配達員が、04年8月から07年12月にメール便3364通を配達せず倉庫に放置していたことが、当該男性の死亡後に明らかになった。これも、法人から出されたメール便で、同社の集配管理システム上では配達済みとされていた。 昨年11月には京都主管支店管下の亀岡支店の委託配達員がメール便約21000通を配達せず、一部を焼却処分していたことを同社は公表した。その際、同社では「弊社では、昨年(09年)11月にクロネコメール便の未配達が発覚し、全社挙げて再発防止に取り組んで参りましたが、そうしたなかで新たな滞留事案がわずか1年で発生したことに対し、改めて事の重大性を認識するとともに猛省いたしております。今後は、再発防止委員会のもと、再発防止策を徹底し全社一丸となって信頼回復に努めてまいります」と声明を出している。 にもかかわらず、なぜ再発事故が相次ぐのか。同社は再発防止に本当に努力しているのだろうか。かつて、東京都内で同社の委託配達員を務めていたというAさん(58)は、「社員が起こした事故もあるようですが、ほとんどが委託配達員によるものです。委託配達員は給料制ではなく、出来高制です。その条件が良ければいいのですが、1通配達して報酬は20円ほど。せいぜい1日100通ほどしか配達できません。つまり、1日がんばっても2000円くらいにしかなりません。それでいて、雨の日も風の日も、バイクや自転車で1軒1軒配らなければなりませんので、体力的にはかなりきついのです。正直、バカらしくてやってられません。さすがに私は音を上げて1年で辞めました。未配達や廃棄は悪いことですが、気持ちは分からぬでもありません。今も大方、委託配達員が配っているケースが多いと聞きます。こういった事故を防止するには委託配達員の報酬を上げるか、時給や月給で保障されている社員やアルバイトに任せるしかありません」と話す。 どうやら、その根本的な原因は配達体制にあるようだ。民間から参入し、郵政事業から仕事を奪ったのはいいが、責任を全うできないのでは話にならない。たとえ料金が安くても、ちゃんと届く保証がなければ、客側は郵便局から出すしかないだろう。同社には管理・配達体制をしっかり見直して、真に再発防止に努めてもらいたいものだ。(蔵元英二)