昨シーズンは国鉄・金田正一、西鉄・稲尾和久以来、日本プロ野球史上3人目の4年連続防御率1点台という大記録を達成したとはいえ、勝ち星は12止まりだし、昇給額があまりにも大きすぎる。「去年までは複数年契約(3年)だったから、(年俸を)抑えていたが今年は1年契約なので。日本球界を代表する選手だし、それだけの結果を出している。払いすぎということはない」。球団側はこう正当な評価だと強調する。
が、テレビのニュースでも大きな扱いを受けたように、球界内外に波紋が広がる、インパクトのある契約更改になった。西武・渡辺久信監督などは、14勝したのにダウン提示され、契約更改交渉が3度も決裂、大もめしている年俸2億円のエース・涌井への悪影響を心配している。「14勝は立派な数字。ダルビッシュが5億円だからもめるかもね。一番意識する選手だろうしね」と渋い顔だ。
他球団にまで波紋を広げるダルビッシュの年俸5億円だが、興味津々、いろいろな裏情報が流れている。今オフのポスティングをにらんだ大盤振る舞い情報を打ち明ける球界関係者がいる。
「球団にしたら、オフにポスティングシステム(入札制度)の落札金が何十億円も入るのだから、1億7000万円アップなど痛くもかゆくもないだろう。ダルビッシュが残してくれる大金の中から餞別を先に出すようなものだからね。それは気前も良くなるだろう。年俸5億円でダルビッシュが気分を良くしてチームを優勝に導いてくれれば、万々歳だろう。それでなくとも、岩隈のアスレチックス入り失敗を目の当たりにしているダルビッシュにすれば、今季しゃかりきになって働き、自らの商品価値をもう一度高騰させようと計算しているだろう。巨人・小笠原、中日・岩瀬の4億3000万円を抜いて今季、日本人プレーヤーナンバーワンの年俸5億円は、ダルビッシュのやる気をさらにあおっているだろう」
確かにお説ごもっともだ。30億円以上とも言われる、オフのポスティングの落札金を考えれば、1億7000万円のアップなど安いものになる。メジャー関係者は、同じポスティング絡みでも違った事情を指摘する。
「年俸3億円の楽天・岩隈がアスレチックスとの契約交渉で買いたたかれ、交渉決裂した例を見て、ダルビッシュ側は付帯条件なしの年俸1本を上げる作戦に出たのではないか。今季年俸5億円というのが、落札したメジャー球団との入団交渉の基本ベースになるからね。1億7000万円アップは大きいよ。昨年の年俸3億3000万円とでは、大違いになる」と。
これまた信憑性がある裏情報と言える。岩隈の場合、落札金約15億円までは予想を大きく上回り、スンナリといったのに、4年総額12億円という低い契約条件がネックになり、最終的に交渉が決裂しているからだ。楽天での年俸と変わらない額に岩隈は失望。「本当に自分を必要と思っていないでは」と、アスレチックスに対し不信感を抱き、楽天残留を決めている。
岩隈の轍を踏まないように、日本人プレーヤーナンバーワンの年俸5億円で、メジャー球団側へ改めて日本球界のエースであることをアピール。好条件獲得を目指す戦略だというのだ。日本ハムとしても、日本一の年俸5億円がポスティングの落札金のアップにつながる可能性があるのだから、悪い話ではない。
さらに、うがった第三の情報がある。1億7000万円アップは、離婚問題絡みという話だ。
「週刊誌でも報道されたが、夫人側の要求は、慰謝料なしの代わりに1か月の養育費が1000万円という途方もないものらしい。子供が成人するまで支払い続ければ、総額24億円にもなる。ダルビッシュ側の方は慰謝料1億円、子供が成人するまで月に100万円程度の養育費を考えていて、その差は埋まらないと聞いている。1億7000万円あれば、とりあえず夫人側が要求している1年分の養育費にはなるからね」。事情通の関係者はこう語る。
ダルビッシュ年俸5億円の裏でささやかれる三つの極秘情報。どれも的を射ていて、怪情報と聞き流すことはできない。