RIZIN MMAルールでは無敗の圧倒的な戦績を誇る堀口恭司が、アメリカの総合格闘技団体「Bellator(ベラトール)」から、最強の刺客を送り込まれた。BellatorはUFCに対抗すべく設立され、日本でもDAZNで放映されるなど、認知度も上がっているアメリカメジャー団体。そのBellator世界バンタム級王者のダリオン・コールドウェルと、この日から制定された“RIZIN バンタム級”のベルトを賭けて対決した。また、これは両団体のトップ同士の戦いで、まさに看板を背負っての注目の戦いとなった。
1ラウンド序盤に、コールドウェルが堀口の左腕を伸ばしにかかりピンチを迎えたが、うまく逃れて立ち上がり、3分過ぎからの2分間はスタンドからの単発のパンチを繰り出す程度でそのまま終了した。2ラウンド目もコールドウェルがテイクダウンを奪い、堀口をコーナーやロープに押し込むも、決定機は作れず、やっと離れたかと思ったところで終了のゴング。ファイナルラウンドは堀口がボディにパンチを入れて試合を動かすも、足を取られてまたもやコールドウェルが上になる状態に。しかし、堀口は左腕をスルリとコールドウェルの首に滑り込ませ、そのまま締め上げフロントチョークでタップアウトを奪い、3ラウンド1分13秒、見事な勝利を挙げた。この上ないスッキリとした勝ち方に、満員のさいたまスーパーアリーナは大爆発。ここまでで最高の盛り上がりを見せた。
リングでベルトとトロフィーを贈られた堀口は「日本で戦っているので、負けるわけにはいかない。来年もしっかりと格闘技をもっともっと盛り上げる」と宣言。会場は再び大歓声に包まれた。
全試合終了後、午前1時前に会見場に現れた堀口は「プラン通りに戦えた」と納得の表情。また、「RIZINの日本のベルトなのに、外国に持っていかれるのは自分自身も納得がいかないので」と、特別なモチベーションを持って挑んだとコメントした。相手のコールドウェルがベラトールのケージでのリマッチを望んでいると伝えられると、「チャンピオンが日本に乗り込んでくれたので、自分も恩返しでリマッチしたい」と語った上で、「ベラトールのベルトも取りたい」と敵地でのファイトも厭わないスタンスだと語った。
また、会見を締めたRIZIN榊原信行実行委員長も、堀口がベルトを巻いたことを受けて、「ベラトールでのリマッチも見てみたくなった」と感想を語り、「RIZIN対Bellatorの対抗戦やホーム&アウエーでの交流も」と、今後も堀口を中心に、団体同士の関連を深めていく構想も視野に入れていることも明かした。
年明け後も本拠地としているアメリカにはすぐには帰らず、「日本で空手の練習を」と自らの戦いの礎をさらに磨くことを重視する。言葉の節々に“日本人のプライド”を感じさせるファイターは「昔のPRIDE時代のように、格闘技は楽しいんだぞということを伝えていきたい」と、RIZINをPRIDEのように世界一のイベントに育てていく野望を持つ。2019年も“史上最強のMade In JAPAN”に刮目セヨ!!
取材・文 ・ 写真/ 萩原孝弘