▼12月31日 さいたまスーパーアリーナ
観衆 18.316人
▼Cygames presents RIZIN KICKワンナイトトーナメント決勝 RIZIN キックボクシングトーナメントルール 3分3R 57kg
○那須川天心(1R 1分27秒 TKO)藤田大和●
※3ノックダウン
※天心が優勝
▼Cygames presents RIZIN KICKワンナイトトーナメント準決勝 第1試合 RIZIN キックボクシングトーナメントルール 3分3R 57kg
○那須川天心(2R 1分58秒 KO)浜本“キャット●
※天心が準決勝進出
「みなさん誰と見たいですか?」
RIZIN参戦時からずっと提唱してきた現在の“本業”であるキックボクシングのトーナメントを制した天心は、大人の事情も絡んで実現に至ってないK-1の武尊の名前を、RIZINの大会史上最高の入りとなったファンから引き出すと「この歓声の声が答えだと思うんで、是非来年中にやりましょう」とファンに約束をしてリングを後にした。
2年前は中1日を挟んだMMAルールでの2連戦だったが、今回は早い段階から「2日間試合はやりたくない」と否定的だった天心だが、昔からトーナメントは得意としており、調整に関しても「1日空けるよりも1日に2試合やったほうがやりやすかった」という。
現在、キックボクシングではRISEとKNOCK OUTのリングを主戦場としているが、「RIZINのリングで世界最強のキックボクシングトーナメントをやりたい」という野望も持っている。これについて、榊原信行RIZIN実行委員長は「ウチは金網じゃなくてリングでやるから、色んな格闘技をお見せできる。天心とはそこの考えは同じで、彼がやりたいのは旧K-1がやっていたような立ち技のトーナメントなんですよ。例えば、フランシスコ・フィリオが極真空手の最強を背負って道着で出て来る。散打のチャンピオンやムエタイのチャンピオンが同じ形で出て来る。それがカポエラでもいいだろうし、ひょっとしたら、RIZINのバンタム級王者として、堀口(恭司)がそのトーナメントに挑む様なものができるのであれば、それも面白いと思います」と語り天心の提唱を前向きに捉えていた。
そして、気になる武尊との対戦だが、天心は「ワンマッチでもトーナメントでもやれるなら何でもいい。ファンが観たい試合なので」とコメント。しかし、「天心はウチと契約しているが、K-1さんのリングでやってもいいと言っているわけで、もし、そうなれば送り出しますし、僕らは準備ができています。ただ、いつまでも武尊に固執しても、今、天心対武尊は言われ続けたので、きょうを超える熱量が生まれるのか? 僕は生まないと思いますよ。これに関してはK-1さん次第ですね」と榊原実行委員長は、RIZINとしてK-1と交渉するのではなく、天心の気持ちを尊重するスタンスを明確にしていた。
この1年間の天心は、とにかく「キックボクシングを盛り上げたい」という気持ちが溢れていた。最近では、同世代のプロ野球選手など他のスポーツ選手からも「那須川天心」の名が聞かれるようになってきた。これまでは、武尊とどちらが最強かを決めたいが故にラブコールを送って来た感があったが、今は、大人の事情を壊した上で、キックを盛り上げるには武尊戦の実現が不可避という気持ちもあるのではないだろうか。
「1年を良い勝ち方で締められて良かったです」
こう語ると神童は満足気な笑みを浮かべた。
デビュー以来28連勝負けなし。
今年の初戦は、2.12KNOCK OUT大田区総合体育館大会。昨年1年間で、天心の首を狙うキックボクサーも増えているだけに、誰が止めるのか? それとも入場テーマ曲のタイトルのように、止まらないのか? 今年も見逃せない。
取材・文・カメラマン / どら増田