『G1クライマックス29』
▽19日 東京・後楽園ホール 観衆1,725人(札止め)
新日本プロレスは19日、真夏の最強戦士決定戦『G1クライマックス29』前半戦のヤマ場である東京・後楽園ホール大会3連戦の“中日”を迎えた。Bブロック公式戦3戦目の5試合がラインナップされた。
初めにマッチメイクされたのは、鷹木信悟とタイチの1勝1敗対決。タイチは今年引退した飯塚高史氏が残していったアイアンフィンガー・フロム・ヘルで内藤哲也を破っている。後から入場した鷹木はゴング前に奇襲攻撃を放った。だが、タイチのラフファイトにジュニアヘビー級の中ではパワーファイターの鷹木が押される場面が目立った。1発目のラスト・オブ・ザ・ドラゴンを返されたのはかなりショックだったのではないだろうか。終盤はお互いに意地と意地のぶつかり合い。タイチは師匠・川田利明を彷彿とさせるキックも見せていたが、最後は鷹木がナックル、ヘッドバッド、ラリアットからのパンピングボンバー、そしてとどめのラスト・オブ・ザ・ドラゴンを決めてタイチから勝利。これは価値ある勝利となったはずだ。
続いて2連勝中のジュース・ロビンソンと、2連敗中のジェフ・コブの外国人対決。握手で始まったこの試合はコンディションがいいジュースが主導権を握るが、コブはその場跳びムーンサルトなど、身体に似合わぬ立体的な重爆殺法でジュースを苦しめていく。最後はジュースのパルプフリクションをジャーマンで切り返すと、ツアー・オブ・ジ・アイランドを決めてコブがG1初勝利。試合後、両者は健闘を称え合った。
3試合目は矢野通とジェイ・ホワイトの元同門対決。CHAOSを裏切ったジェイに対して、矢野はいつもと変わらぬYTR殺法で速効を仕掛けるが、外道がアドバイスしたのか、ジェイもインサイドワークで応戦。しかし、矢野は外道のメリケンサックを奪い、相手の同士討ちを誘う。そして、レフェリーの死角をついてメリケンサックを握りしめた手で、ジェイに急所攻撃から速攻で丸め込み、絵に描いたような勝利。わずか3分4秒で開幕3連敗となったジェイと外道は呆然。会場は大喜びだ。
セミファイナルは、これまで幾度も名勝負を繰り広げてきた後藤洋央紀と内藤哲也が対戦。開幕から2連敗と後がない内藤は、ゴング前から後藤を小馬鹿にするような仕草を見せながら、ヒザ攻めで試合を組み立てていく、後藤もパワーでつぶしにかかるが、最後は昇天をDDTで切り返した内藤がデスティーノを決めて3カウント、連敗を止めた。
メインイベントはNEVER王者の石井智宏とIWGP USヘビー級王者のジョン・モクスリーの全勝王者対決。モクスリーにとってはニュージャパンスタイルへの適応力が試される試合だったが、ゴングと同時に激しい攻防を繰り広げた。さすがは世界のスーパースターである。
モクスリーがハードコア殺法を繰り出すと、石井も真っ向から応戦。コーナーから場外へのスーパーフライでテーブルクラッシュするなど、ど派手な技が見られ、場内からは終始どよめきが止まらなかった。最後は、モクスリーが顔面へのニーからデスライダーを決めて勝利を収めた。
試合後、モクスリーはマイクで「トーキョー!ありがとう!トーキョー!後楽園ホールに来てくれたみんな、ありがとう!きょう同じリングに上がってくれた石井にも感謝したい。お前は本当にすごいやつだ!」と感謝。
「ここで言いたいことがある。数カ月前まで俺の選手キャリアはトイレに流してしまう寸前というくらい最悪の状態だった。でも日本からのオファーがあり、このようにリングの上で闘える。アートを見せられる機会をもらえたことに感謝している。ジョン・モクスリーがG1を優勝してやる!」と優勝宣言した。
この結果、Bブロックはモクスリーが無傷の3連勝で単独首位に。一方、優勝候補のジェイはまさかの3連敗となった。
取材・文 / どら増田
写真 / 爽健美