『G1クライマックス29』
▽14日 東京・大田区総合体育館 観衆 4,074人(札止め)
「フラットな立場で見たい」
KENTA対棚橋弘至。柴田勝頼にとってKENTAとはソウルメイトで、柴田は昨年G1決勝で棚橋のセコンドについた。どちらにも肩入れできないと柴田は実況席に座り、ゲスト解説を務めた。
シングル初対決の両者が対峙すると、棚橋コールが上回った。試合でもKENTAがラフな攻撃を仕掛け、棚橋の攻撃をかわすとブーイングが起こるなど、同じくWWEからやってきたジョン・モクスリーと違って、新日本ファンの見る目は厳しいようだ。
そんな空気を読んだのか棚橋は、新日本の魂をたたき込むような攻撃を見せて、体格差のあるKENTAを圧倒していく。しかし、キックのバリエーションで何とか棚橋のプレッシャーから逃れると、膝を立てて2発目のハイフライフローをブロック。その後、隙を逃さずPKからgo2sleepを決めて3カウントを奪取。初対決はKENTAに軍配が上がった。
リング上で歓喜のマイクアピールをするKENTAを尻目にインタビュールームに現れた棚橋は、前日の試合後に「1人だけ迷子がいる」とKENTAを評していたが、「迷子は俺だった」とだけコメントすると控室に引き揚げた。棚橋は開幕2連敗。
棚橋と同じく黒星スタートの飯伏幸太はEVILと対戦。試合は接戦だったが、EVILは飯伏が初戦のKENTA戦で痛めたとされる足を踏みつけるなど、最近では見せなかったラフ殺法も織り交ぜながら、飯伏を追いつめていく。飯伏もラリアットなど力技で対抗するが、ラリアット、ダークネスフォールズ、EVILとたたみかけたEVILが3カウントを奪った。
連敗スタートとなった飯伏はインタビュールームに座り込むと、「クソッ。何も言えないですね。2連敗。全然足は痛くないです。痛くない。2連敗、あとは勝つしかないんで。でも今日の試合は終わったんで、次の試合は…まだ諦めてないです。まだチャンスはあるはずです。うん。まだ諦めてないですよ」と自分自身に言い聞かせている様子だったが、ショックは隠せない様子だった。
その他の公式戦は、オカダ・カズチカが、ザック・セイバーJr.に辛勝し2連勝。ザックはインタビュールームのセットを破壊するなど大荒れだった。ウィル・オスプレイはヘビー級のSANADAとの好勝負を制し、ランス・アーチャーもチョークスラムからのEBDクローで、バッドラック・ファレとの巨漢対決を制して2連勝を飾っている。
取材・文・写真 / どら増田