ダラスの会場には、4,846人もの「ニュージャパン」ファンが集まり、Aブロック公式戦5試合と、アンダーカード4試合、計9試合が行われた。Aブロック公式戦のトップバッターとして、ダラス出身のランス・アーチャーがウィル・オスプレイと対戦。タッグマッチではアーチャーから3カウントを奪ったこともあるIWGPジュニアヘビー級王者のオスプレイだが、先シリーズから猛威を振るってきたアーチャーが、ダラスの英雄だったエリックファミリーを意識したアイアンクロー改めEBDクローで顔面を鷲づかみにして、そのまま3カウントを奪取。アーチャーは地元で白星スタートを飾っている。
先シリーズでは、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの拳を突き合わせる輪に加わらないなど、「闘いは既に始まっている」とG1への並々ならぬ意気込みを態度で示していたEVILが、バッドラック・ファレと対戦。風はEVILに吹いているように見えたが、ファレが底力を見せつける形で、バッドラックフォールで完勝。これは意外な結末となった。EVILのパートナーであるSANADAは、ザック・セイバーJr.との名勝負をアメリカに直輸入。ザックとのサブミッション合戦を楽しむかのように試合を支配したSANADAが、最後は丸め込み合戦からオコーナーブリッジで勝利。今年のG1でSANADAは押さえておくべき選手と言ってもいいだろう。
セミファイナルは飯伏幸太と、ヒデオ・イタミとして活動したWWEを退団し、今回のG1から新日本に主戦場を移したKENTAが、プロレスリング・ノアで行われた『日テレG+杯争奪ジュニアヘビー級タッグ・リーグ戦』以来の顔合わせ。所属団体も階級もあの頃とは違うため、この対戦は新鮮さがあるかに思われたが、あの頃を思い出させるような荒々しい攻防もあり、KENTAは久々のジャパニーズスタイルを楽しんでいるようだった。最後はgo 2 sleepが決まりKENTAが勝利。試合後、両者は抱擁を交わした。G1後、KENTAの立ち位置は本隊になるのか興味深い場面である。
メインイベントは、新日本で幾度も組まれてきたオカダと棚橋が対決。2人がタッグを組むようになってからは初対決となる。今大会はキャンバスも日本で使用しているセルリアンブルーの白枠キャンバスを使用したため、アメリカのファンは「配信で見ているありのままのニュージャパン」が見られるとあって、試合前から熱気が伝わるほど“出来上がって”いた。2人は日本で築き上げて来た2人にしか出来ない白熱した試合を展開。時間はあっという間に過ぎていったが、最後はオカダのレインメーカーが棚橋に決まり3カウント。G1の初戦に弱い棚橋はアメリカでも取りこぼす結果に。日本での公式戦では、2年連続優勝を目指し、昨年のような追い上げを見せて欲しいところだが…。
国内の公式戦は13日、14日の東京・大田区総合体育館大会で開幕、8月10〜12日に開催される東京・日本武道館大会まで、1か月間に渡り、全国でシングルマッチの激闘が繰り広げられる。
文・写真 / どら増田