首位戦線を順調に戦っていた原巨人が怪しい雲行きに覆われたのは、夏。7月以降の73試合で先発投手が『クオリティ・スタート』(6回以上、3失点以内)できたのは、18試合しかない。6月末までは71試合中37試合である。内海哲也(28)、東野峻(24)、藤井秀悟(33)たちが同時期に不振に陥ったためだ。グライシンガー、ゴンザレスと一昨年の快進撃を支えた両外国人先発投手も戦力にならず、苦しい展開から抜け出すことができなかった。そう考えると、澤村の獲得は大きい。しかし、原辰徳監督(52)は今年も外国人選手に泣かされることになりそうだ。アルバラデホがそうである。彼は日本球界に不向きなストッパーではないだろうか。
キャリアハイは2009年。ヤンキースで32試合に登板している。その後、3Aに降格したが、27試合に投げ、防御率1.75。翌2010年も主に3Aに甘んじたが、57試合に登板し、防御率1.42。43セーブを挙げている。150キロ台半ばの威力のある直球でグイグイと押してくるタイプだが、「メジャーに昇格すると、与四球率が高くなる欠点」を克服できなかった。カーブ、スライダー、ツーシーム系のムービングボールが持ち球だが、これらの変化球は右打者の外角に逃げていく軌道であって、「外角に広くない日本球界のストライク・ゾーン」に苦しむのは必至だ。
そうなると、山口鉄也(27)、越智大祐(27)、昨季ブレークした久保裕也(30)など、リリーフ陣の『登板過多』は解消されない。従って、秋季キャンプで「赤丸急上昇中」の小野淳平(23)、落差の大きいフォークを操る土本恭平(25)の頭角、MICHEAL(34)、サイドスローに転向する野間口貴彦(27)、右肘故障の西村健太朗(25)の復調が期待される。
一方の打線だが、38歳となる小笠原道大、37歳のラミレスに頼りきった状況は改善しなければならないが、一気に老け込むとは思えない。三塁での定位置争いに挑戦する亀井義行(28)も順調に仕上がってくると聞く。将来のクリーンアップ候補・大田泰示(20)にも原監督はチャンスを与えるだろう。
制球力に不安のあるアルバラデホ、故障明けのグライシンガー、長期スランプに陥ったゴンザレス、若手の頭角が待たれる中継ぎ投手陣…。勝ち試合を捨てなければならないときも来る。「首位戦線をキープしながら、終盤戦へ」というのが、原監督の青写真ではないだろうか。(スポーツライター・飯山満)