意外に和食の海の幸山の幸より、洋食系のほうが人気があるか、を調べてみた。
「伊豆市全体で言えば、ほとんど和食旅館ですし…。洋食は土肥、天城、修善寺などが強いかもしれませんね」(伊豆市観光協会)
そこで、伊豆・伊東の伊東漁港沿い通りにファミリーレストランがあるが、日中あるご夫妻に話を聞いてみたところ、観光客だった。
「生魚ばかり食べていると私たちのような年寄りは腹をこわすことがあるんです。(笑)昨日は漁港が直営している《波止場食堂》に行ったので、それ以外は伊東観光であっても全部妻のチョイスで洋食系ですよ」
と旦那さん。また取材ではほかにも、熱海など他地域でも、意外にファミレスは人気の傾向がある。きっと勝算のない店舗を出している、ということもないだろう。
それに、以前房総でも観光中の中年ご夫妻に同じような話を聞いた。
「千倉の房州ラーメン系を必ず予定に入れます。カラオケ店で出てくるラーメンまでうまいですから。(笑)それ以外は中華がメイン。食べたければ、新鮮な魚貝を使った中華メニューも地元にはたくさんあります」
海の幸系だと、10月に入って旬とはいえ、伊勢えびが3000円をボーダーに、大きなものならお土産だって5000円は下らない…。漁港の食堂で、煮つけでかさご一匹さばいてもらおうとしたって、時価、の特別メニューだ。和はけっこう金がかかる。
対して、洋食や中華で火を通せば魚貝の通常メニューも無限に増えるし、その値段も手ごろ。魚の切り身だってふんだんに山の幸などと合わせれば満足感があろう。
いっぽう場所を変えて、箱根フリーパスを10回以上も使用しているという若いカップルに尋ねると、
「箱根の旅館で食べるお刺身は洗練されていておいしいです。山の中ですが漁港もありますし海の幸がおいしいんじゃないでしょうか。和食派ですね」
と口をそろえる。
箱根にはおいしい洋食もたくさんあるが、“山の中だからがんばっちゃう系”の生食の海の幸の味には、やはり捨てがたいものがある様子。
《意外に山海の幸でなく洋食で済ます観光客が多いか》は、(社)日本観光協会にも、ミシュランなどのガイドブックから取った店舗データと観光客の料金単価データくらいしかなく、全国的には極めて謎のテーマである。
まさかファミレスが一番ということはないだろうが…圧倒的な洋食の有名店の存在等によっても、知られざる意外な地域性が出てくるのかもしれない。