ネット時代のいま、フェチがずらっと並べ立てられてコミュニティーが無数に形成されているさまは、壮観である。いくつか紹介しよう。
〔唾スレッド〕は、ほんの序の口。横浜駅の某デパートの裏手が女性が唾を吐くスポットらしい。ひっそりと訪れてはほかほかのやつをスポイトで採取したりする人もたくさんいるようだ。
〔ダイバーフェチ〕。筋骨隆々の女性ダイバーのドキュメンタリー動画に、住人大興奮。素人には誰だかわからないし、思い切りおばさんにも見える。どちらかというと、リサイクルショップに飾ってあるダイビングスーツにそれとなく一度近寄ってみてなにかしら想像したりはする筆者だが、マリンスポーツに縁のある人にはそういう浅い喜びではないみたいだ。(あまり縁がない人もいるのかもしれないが。)
〔欽ちゃんの仮装大賞の顔塗りフェチ〕。いつも顔塗りで登場する常連さんは、完全にマニアのおかずになっているようで、注意が必要。青春を顔塗り仮装に賭けている元気ハツラツさがタマらないのだろうか。
タイトルのフェチは、フェチ掲示板のほかにも、〔畳の上でブーツ〕などほかの板でも少数のマニアの間で盛り上がっては消えていく運命のようだ。いずれにせよ、よくもまあ見つけてきたな、という感がある。
最後は、〔インセクトクラッシュ〕だ。
「弱いものを踏みつぶす背徳性がたまらないのです。クラッシュ性癖はその背徳性ゆえ、他のフェチに比して決して一般的なものではありません」
とは、マニアの大学講師・A氏の弁。氏は、自身も奥さんを含めた女性に虫けらのようにブーツで踏みつけられ、「何度も肋骨を折っている」(同氏)。
フェチの世界はきわめて深いが、男なら誰にでもある病気かもしれない。(了)