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書評「檻の中の少女」大石圭著、角川ホラー文庫

 孤独な画家の長澤は30代になりながらも独身で、女性経験もたった一人。ただ黙々と絵を描く日々を過ごしていた。しかしある日、長澤は画商から少女のヌードを描くことをすすめられる。長澤はそこに現れた少女の妖艶な美しさに衝撃を受けてしまう。それはまだ11歳になったばかりの少女だった。

 30歳を過ぎながら奥手な長澤と、11歳にしながら大人の女の色気を漂わせる少女とのやり取りが笑わせる。長澤は22も年下の少女を「鈴木さん」と呼び、少女は長澤を「あっ、またパンツ見たでしょ?先生って、意外とエッチなんですね。可愛いパンツ穿いて来てよかった」とからかう。
 ここまでの前半部はまるで恋愛小説か官能小説を読んでいるようだ。しかし、物語は2人がついに一線を越えてしまうことを境に、ホラーへと走り出す。ラストには戦慄の結果が待ち受けていた。
 ロリータとホラーを融合させた著者の新境地。(税別629円)

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