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書評「最期の九龍城砦」中村晋太郎著、ゴマブックス

 何事もさらなる深みへと突き詰めていくのがマニアというもの。廃墟ブームに浸るなら、次は海外に目を向けてみては?

 九龍城砦はかつて香港に存在した「東洋の魔窟」の異名をとる高層スラム街。わずか2.7ヘクタールの土地に5万人もの人々がひしめき合い、人口密度は畳1畳に3人が暮らす計算だった。

 内部はビル同士が支え合うように立ち、日中でも真っ暗な路地があるさながら立体迷路。当時は「一回入ると出てこられない」とさえいわれた。
 本書は取り壊しにより1997年に最後の住人が強制退去させられたその3週間後、誰もいなくなった魔窟へ踏み込んだカメラマンが撮った写真をカラーで紹介する。
 付属DVDに収められた未公開の内部映像はホラー映画を上回るリアルさでマニア垂涎のデキ。あとは財布と相談だ。(税別5200円)

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