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書評「14f症候群」 壁井ユカコ著 角川書店

 まだまだ当たり外れが多いとの声もある著者だが、本書は間違いなく当たりの方だろう。

 14歳の女子中学生たちに現れた「14f症候群」と呼ばれる奇妙な現象を通して、大人になろうとしている少女たちの生々しいほどの葛藤や青春を描く連作短編集。
 みけづか一中に通うそれぞれの女子中学生らに突如降りかかった魔法のような9日間。ある少女は朝目覚めると股の下に少年のモノがついており、またある少女は身寄りのない野良犬の姿となる。

 設定はどこまでも非現実的ながら、物語を駆け行く少女たちの感情はグロテスクなほどにリアル。物語全編に張り巡らされた伏線がまた秀逸だ。
 傷つき壊れやすく、そしてちょっぴりエッチな14歳の青春を、ラストまで一気に読ませるライトノベルだ。(税別1500円)

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