「俺はジャパン育ちじゃない。シカゴ育ちだ。そこで“WWF”を観て育ったんだ。でも、俺はWWEスーパースターじゃない。俺は自分で選んでニュージャパン・プロレスラーになった。そう、俺は変わったんだ。ニュージャパンのドージョーで徹底的に自分を磨いてハードな日々を過ごした。4月27日、広島の試合で、みんなの目を覚ませてやるよ。NEVER無差別級王座を獲ってやる。いいか、今の俺はアウトサイダーじゃない。ただのガイジンでもない。俺はジャパニーズ・プロレスラーなんだ」
23日の後楽園ホール大会で後藤との前哨戦を終えたジュースは、自らを“ジャパニーズ・プロレスラー”と称した。先日行われた『ニュージャパンカップ2018』では、高橋裕二郎、マイケル・エルガンを破り準決勝に進出。準決勝ではタッグパートナーでもある棚橋弘至に惜しくも敗れ、前日にエルガンも交えトリオを結成した際には試合後の握手を拒否した棚橋に嫌悪感を示した。「闘いは闘いだから、正々堂々とやりたいと思うけれども、明日の試合が終わった後で、自分たちの関係性は変わってくると思っている。友人ではなくなるかもしれないし、どうなるかはやってみなければ分からない」と話し、友情より勝利を優先させると誓っていた。
現在、ジュースが最も意識する存在は、IWGP USヘビー級王者(23日現在)のジェイ・ホワイトであることは言うまでもない。ジュースとジェイは、デビッド・フィンレーとともに“外国人ヤングライオン”として苦楽をともにした仲。昨年、王者だったケニー・オメガにG1クライマックスで勝利を収めた実績が認められ、3人の中で最初にUS王座に挑戦しした。しかし、アメリカでの武者修行を終えて今年“帰国”したジェイは一発でケニーからベルトを奪還してしまった。24日の後楽園大会ではフィンレーが挑戦するが、新日本マットで3年間闘い続けているジャパニーズ・プロレスラーとして、4大シングル王座はジュースにとって喉から手が出るほど欲しいタイトルのはずだ。
棚橋は「ジュースにはジョニー・エースのような華がある」と自身とのタッグを「21世紀の小橋(建太)&エース」と称していたことがあった。試合内容も年々良くなってきているのに連れて、会場人気も上がってきている。ファンもジュースのシングル王座戴冠に期待している。
ただ、こういうシチュエーションのとき、後藤は、とてつもない強さを発揮することが多いのも事実、だ。「俺はNEVERのベルトを背負うつもりで、日本を背負うつもりで戦うよ。オマエは何を背負うんだ?せっかくやるんだから、スケールでっかくいこうぜ」と堂々とジュースの挑戦を受けて立つ構え。4.27広島でジュースの笑顔は見られるか?
取材・文 / どら増田
写真 / 萩原孝弘