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南房総フリーきっぷ、という地味な商品を使用する

 JRに、《南房総フリーきっぷ》、という往復タイプのフリーきっぷがあるのをご存知だろうか。これを使用することで、都区内〜房総半島エリアを特急で往復でき、内房線・外房線といったエリア内も特急3日間乗り放題、エリア内の各地では有名観光地への路線バスにも乗れる。なのに値段は、一名たったの7500円と、お得なレア商品だ。

 某日。新宿から、朝6時台の成田エクスプレスに乗車。半日で帰ってくるつもりだが、十分元は取れる。リッチな気分で東京駅に到着。…そうなのだ、東京駅までわざわざ特急に乗ったのである…。それから、外房線特急〈わかしお〉で勝浦へ。休日なのに、乗客は少ない。車窓の千葉駅の喧騒を横目に、売店で買ったゆでたまごで、ビールを一杯。さらにハイテンション。

 勝浦到着。早速、旬の春かつおをいただくことに決める。店はどこでもいいので、駅に程近い定食屋で新鮮なかつおの刺身を食し、そそくさと退散。まだグルメ旅は続くのである。
 それから奇勝・メガネ岩を見に行ったが、途中にもおいしそうな中華屋を発見。イレギュラーな店のほうがおいしかったりするが、ここは我慢。
 お昼時、外房線特急で、安房鴨川到着。20分歩いて、オマールパスタなるものを食す。どちらかというと、ケーキが売りのレストランらしいが、ものめずらしさに全部平らげた。

 館山駅で、限定のくじら弁当を買ってから、野島崎灯台行きの日東バスに乗車。バスも同好の士らしき男女一名ずつに、カップル一組、地元のご婦人一名のみの同乗者。意味もなくバスに揺られて、細い道を灯台へ。そして、そそくさとUターンした。

 駅前に戻って、びわ関係のお土産など物色してから、明るいうちに古くからやっている店で寿司を食った。地のものの握り、房総の金目(名物であり、ほかにもうまい店がたくさんあるが。)、なめろう、焼きさんが、それらはビールと日本酒を進ませ、満足であった。

 特急〈さざなみ〉に乗り込み、景色を楽しんで蘇我駅で下車。内房線で千葉駅へ。
ここでも、わざわざ銚子から都区内方面へ帰ってくる特急〈あやめ〉に乗り換えたのだ。(※蘇我駅から、別料金。)
 そうして、終点の新宿に着いたときには9時前。

 これを3日間続けることを考えれば…大変だが、ご紹介したような使い方でも十分楽しい小旅行になるはず。

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