まずはまるちゃんの家であるが、どの角度から見ても、平屋建ての市営住宅にしか見えない。よく市営住宅の前を通ることがあるが、まるちゃんの家がそのまま建っているような気がする。アニメの中では廊下が中央に走り、たいそう部屋数が多いのだが、あの家の外観はどう見ても2DKぐらいではないだろうか。
お爺さんお婆さんの部屋や台所、居間や兄弟の部屋、そして大きなお風呂は、あの家には収まらないのではないだろうか。ちなみに設定だと4DKになっている。また、そんなに部屋数が多いのならば、外観の窓の数ももっと多いはずである。そして家の形は、さしずめ長方形の家となるのではないだろうか。
さらに不思議なのは、まるちゃん家の収入である。お父さんは休日以外にも、ずっと家にいる気がする。まさか、お爺さんお婆さんの年金で一家が生活しているわけではあるまい。
その正解は原作にあった。お父さんの職業は実は八百屋ということ。つまり、八百屋で働いているために、お父さんが昼休みに家で食事をしていてもおかしくないのである。
アニメに登場するまるちゃんの友達の家は、二階建ての一般的な家であるのだが、それさえもまるちゃんの目には憧憬の思いが込められているような気がする。
まるちゃんがよく欲しいものがあると、自分の貯金箱を開けて金額を数えているのであるが、いつも10円玉しか入っていないのは、実はまるちゃん家の経済事情をよく表しているのではないだろうか。
原作にはおまけとして作者の幼少時代が描かれていたが、その中に登場するお姉さんはアニメのような気の強いお姉さんではなく、病弱な優しいお姉さんとして描かれている。また、真冬にも家にはコタツしか暖房器具がなかったなどと描かれていた。
まるちゃんの家庭はおよそ裕福とはいえない、ともすれば「現代格差社会の敗者」と烙印を押されかねないイメージが湧くのであるが、それでも小さな幸せを噛み締めて生きているような気がするのは、筆者だけであろうか。
(藤原真)