今回のロウでは、日本時間6月18日にイリノイ州シカゴ郊外のオールステート・アリーナで開催するPPV『マネー・イン・ザ・バンク(MITB)』のラダー戦出場6枠を懸けた闘いがスタートした。
MITBは2005年にクリス・ジェリコが考案したとされるゲーム性の強いルールで、天井に吊るされたアタッシュケースを6〜10人の選手(毎年変動あり)が闘い、奪い合う。アタッシュケースの中にはWWE王座に1年間、時期や場所を問わず1度だけ挑戦できる契約書が入っている。初代優勝者はエッジだった。当初はレッスルマニアなどの1つの試合として開催されていたが、2010年からはPPV化された。
日本でもDDTの「いつでもどこでも挑戦権」や、新日本プロレスのG1クライマックス優勝者に与えられるIWGPヘビー級王座への挑戦権利証「アタッシュケース」など、MITBの影響を受けた企画は多い。ちなみにIWGPの権利証のように、MITBでも防衛戦を行うことがある。昨年は初の女子によるMITBも開催。優勝したカーメラは権利失効直前の先月、試合のダメージが強いスマックダウン女子王者シャーロット・フレアーに権利を行使(キャッシュイン)した。結果、見事に王座を奪還している。
この日のロウのオープニングでは、MITBラダー戦出場を主張するブラウン・ストローマンとケビン・オーエンズが登場。カート・アングルGMは予選として、2人のシングル戦を組んだ。先日のグレイテスト・ロイヤルランブルでも圧倒的なパワーを見せつけて優勝したストローマンは、オーエンズに苦戦する場面も見られたが、最後は迫力満点のランニングパワースラムでオーエンズから3カウントを奪取。MITBラダー戦出場権を獲得した。
また元・新日本プロレスで初代バレットクラブのリーダー(創始者)、プリンス・デヴィットことフィン・ベイラーも登場。ローマン・レインズ、サミ・ゼインとのトリプルスレット戦でMITBラダー戦の予選マッチを行った。レインズの勝利が予想されたこの試合だが、序盤は各選手の持ち味が発揮された見応えのある応酬が繰り広げられた。ファンも試合に思わず見入っていた。
しかし試合前にラダー戦出場をアピールしていたジンダー・マハルが、突如レインズの足を引っ張って妨害。その隙を突いたゼインがレインズにヘルヴァキックを決め、レインズを戦線離脱させた。さらにベイラーがゼインにジョン・ウーを決め、トップロープから必殺技のクー・デ・グラ(ダイビング・フットスタンプ)を炸裂させて3カウント。ベイラーがMITBラダー戦出場権を獲得した。
残る4選手が誰になるのか気になるところだが、AJスタイルズや中邑真輔よりも早く、新日本からWWEに移籍したベイラーには注目したい。怪我による長期欠場があったとはいえ、彼らに先を越された悔しさはあるだろう。日本でも人気の高い選手なだけに、このチャンスをつかんで、WWEのトップ戦線に割り込んでほしい。
文 / どら増田
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