試合は中邑がキンシャサを狙うと、AJスタイルズがカーフクラッシャーで返し、互角の攻防を展開。好勝負の予感を漂わせたが、現在の中邑には好勝負をする気などさらさらないのだろう。AJの攻撃がレフェリーに誤爆しそうになった隙を突いて、レフェリーの死角に入った中邑は“得意の”急所打ちを見舞った。
中邑のフォールで試合は終わるかと思われたが、これをAJが辛うじてロープブレイク。中邑の反則行為に怒り心頭のAJは中邑を場外に連れ出し攻撃を続ける。この間、無情にもレフェリーのカウントが進み、WWEでは珍しい両者リングアウトの不完全決着。試合終了のゴングが鳴っても怒りの収まらないAJは中邑をバリケードに叩きつけ、フェノメナルフォアアームでKOしてAJは怒り狂いながら退場した。
両者の因縁がより深まったところで、日本時間5月7日に開催される次回PPV『バックラッシュ2019』(ニュージャージー州ニューアーク、プルデンシャル・センター)で三たび対戦することが発表された。日本時間5月2日には、カナダ・ケベック州モントリオールで開催された主力ブランド、スマックダウンの中で、3度目の対戦がノーDQマッチ(反則決着のないルール)で行われることが発表された。現在の中邑にとっては朗報かもしれない。
AJは、「俺はタイトルを防衛する。急所打ちばかりで中邑は卑怯者だ。反則するならやり返してやる!」と中邑への怒りから今回、ルールを変更したと明らかにした。するとそこにサモア・ジョーが登場。「俺はPPVでローマン・レインズを倒す。お前は中邑に勝って防衛しろ。そしたら俺がお前を叩き潰してやる」とAJに宣戦布告した。
すると突如、中邑のテーマ曲が流れる。正面からではなく背後から現れた中邑は、AJにまたしても急所打ち。中邑は満足そうに笑みを浮かべながら日本語で?AJに何やら罵声を浴びせると、キンシャサを躊躇なく叩き込んだ。
中邑はチャンピオンベルトを掲げて眺めると、そのままリングを後に。きっちりとサウジアラビア公演の“お返し”をして3度目の挑戦に照準を合わせた。
サウジアラビア公演のメインイベントでは、50人で争うグレイテスト・ロイヤルランブル戦が行われた。ダニエル・ブライアンが1番手で登場し“Yes”コールで会場を盛り上げると、レイ・ミステリオ、マーク・ヘンリー、ランディ・オートンら50人のスーパースターが次々と登場した。さらに、日本の相撲界で飛翔富士として活躍した住洋樹がSUMIとして登場し、マーク・ヘンリーと相撲対決をするサプライズもあった。
この試合では、41番手で登場したブラウン・ストローマンがケタ外れのパワーを披露した。巨体のババテュンデ、ダン・マタ、ビックEを軽々とちぎっては投げ、ちぎっては投げの連続でリング上を「大掃除」。試合終盤にはストローマンが、コーナートップにいたシェーン・マクマホンを投げ飛ばして解説テーブルを破壊すると、ボビー・ラッシュリーや最後の50番目に登場したクリス・ジェリコ、ケビン・オーエンズの3人を次々に脱落させた。
試合はストローマン、ブライアン、ビック・キャスの3人に絞られた。ストローマンに果敢に攻め込むブライアンだったが、中邑とのタッグ結成からブライアンとの因縁が勃発し、『バックラッシュ』でのシングル対決が決まっている因縁のキャスにビックブーツを食らう。ブライアンは1時間以上粘ったがここで脱落。サウジアラビアのファンからも大きなため息が漏れた。
しかし、そのキャスもストローマンに抱えられそのまま股間をロープに叩き付ける急所攻撃でダメージを受けた。さらにストローマンは、ロープの反動で勢いを付けタックルを見舞い、オーバー・ザ・トップロープ。ストローマンがグレイテスト・ロイヤルランブル優勝を果たし、ビンス・マクマホン代表から特製のチャンピオンベルトが贈られた。エンディングは野外会場ということもあり派手な花火を打ち上げ。感動の中、幕を閉じた。
文・どら増田
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