10月13日夜の情報番組『Mr.サンデー』(フジテレビ系)に出演した橋下徹元大阪市長が、台風19号の豪雨による河川の氾濫被害をVTRで見た後、「都市化されている下流地域に被害が出ないように、上流部であえて氾濫させる考え方がある」とビックリ仰天の発言をした。少々誤解と誇張があったようだが、下流が上流の堤防決壊によって救われるというこのヒドい話が、今回の19号で現実になった。
こうした「水」を武器に下流各国を脅しているのが中国だ。
「チベット高原に源を発する東南アジアにおける最大のメコン川は、ミャンマー、ラオス、タイ、カンボジア、ベトナム5カ国で形成する『メコン経済圏』に住む人々には欠かせない存在です。メコン川には、中国主導の巨大なダムが11カ所完成しており、現在さらに8カ所が計画中です。中国側がダムの水を勝手に放流すると、下流域では水位が急激に上昇し、自然環境破壊ばかりか、洪水が局部的に発生するのは明らか。農業、漁業に甚大な影響が出ます」(中国ウオッチャー)
8月1日にバンコクで開催された『メコン・イニシアティブ閣僚会議』に出席したポンペオ米国務長官は「上流をコントロールする中国が下流域の生活を支配している」と警告し、メコン問題は「次の南シナ海だ」と指摘した。中国が上流ダムを放流するゾと脅して政治交渉に臨めば、下流域諸国は何らかの取引を求めながらも、引き下がらざるを得なくなる。
「実際、今年初め、中国が景洪ダム(中国雲南省)を改修工事すると言いだし、いきなり放流したため、下流の穀倉地帯は水害被害に遭っています。その上、7月からは貯水を始めたので、今度は干ばつに襲われ、現実の脅威に見舞われました」(同・ウオッチャー)
ベトナム政府の「国防白書」には、「(ベトナムが)南シナ海における領有海域への不満を言い続けるなら、メコンの水流で締め上げる」と、中国が恐喝外交を展開したと記されている。
中国は、こうして“反中国運動”を抑え込むのだ。