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4番候補の強奪!ゲレーロ獲得で巨人が被る代償

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デスパイネ

 マネー戦争は「巨人の勝ち」となりそうだが、その代償も高くつきそうである。

 今オフの目玉、ナンバー1助っ人が動くということで、前中日のアレックス・ゲレーロ(31)の去就に注目が集まっていた。

 2017年、来日1年目で本塁打35、打点86を稼いだが、ゲレーロが中日サイドに突き付けた残留条件は「複数年契約と年俸3億円以上」。同年の推定年俸が1億5000万円だから、倍増だ。中日の説得は実らず、交渉解禁と同時に巨人が口説き落とし、「近日中にも正式発表」と伝えられている。

 しかし、このゲレーロ争奪戦で本命視されていたのは福岡ソフトバンクホークスだったはず。ソフトバンクはゲレーロ側と接触すらしなかったようである。

「ソフトバンクが参入すると聞いたので、ゲレーロに提示する条件を引き上げたんです」

 巨人の関係者はそう打ち明ける。これに対し、パ・リーグに詳しいプロ野球解説者は「獲得を検討したところまでは間違いないが、実際には動かなかった」と否定していた。

「優勝しても補強は積極的に行うというのが、ソフトバンクの方針です。デスパイネとゲレーロが並べば、本当に凄い強力打線になっていたでしょう」(前出・プロ野球解説者)

 巨人は「3年15億円」でゲレーロを口説き落としたという。ソフトバンクは12球団でもっとも資金力があるチームだ。今季で退団した松坂大輔に「3年12億円」を払ってきたわけだから、巨人以上の条件を提示するのは十分に可能だったはす。ソフトバンクはこのマネー戦争からリタイアしていたと見るべきだろう。

「デスパイネに配慮したようですね。いや、『デスパイネの背後』にも気を遣ったんでしょう。そもそも、デスパイネはキューバ政府と契約して獲得した選手です。ゲレーロもキューバ出身ですが、彼は亡命し、メジャーリーグを経験して今日にいたっています。デスパイネとは『3年12億円』で契約しているので、ゲレーロを獲れば自動的に、正規ルートで来日しているデスパイネのほうが下ということになってしまいます」(球界関係者)

 野球王国・キューバの政府に配慮したというわけだ。

 キューバ選手の獲得ルートにおいて、巨人は先駆者的地位を自負していたはず。2014年、巨人はキューバ政府による「国外移籍解禁」の第一号選手、フレデリク・セペダ(37)を獲得している。当時を知る関係者がこう言う。

「キューバ政府が自国の野球選手を海外のプロチームに派遣してもいいと伝えてきたとき、巨人は『お願い』もされています。セペダを獲ってほしい、と。セペダはすでにピークを過ぎていましたが、キューバ国内リーグの象徴的存在でした。彼のメンツを立ててほしいとお願いされたんです」

 巨人入りしたセペダは活躍できなかった。DeNAがその直後に獲得したユリエスキ・グリエルが活躍していただけに、「巨人は選手を見る目がない」とも野次られていた。それでも、セペダと翌15年も契約したのは、「キューバ政府に配慮すれば、将来、有望な若手をまわしてもらえる」と思ったからで、同時に、キューバ政府との関係を大事にしたいと判断したからである。正規ルートとは異なるゲレーロを獲得したことで、キューバ政府との関係に亀裂が入らなければいいのだが…。

「来日2年目ともなれば、対戦チームだってゲレーロの研究をしてきます。苦手なコース、球種も分かっているはず」(前出・プロ野球解説者)

 昨年オフ、NPB史上初となるFA選手の同時3人獲得を強行し、外部補強に頼りきったやり方に批判が集中した。鹿取義隆ゼネラルマネージャーは若手育成面を強化するプランも伝えていたが、今オフも前西武投手・野上亮麿(30)をFA獲得した。ゲレーロ獲得が正式に決まれば、先発投手と4番候補をまたもや外部補強したということになる。キューバ政府がゲレーロに大金を積んだ巨人のやり方をどう捉えるのだろうか。

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