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リプレー検証の完全導入で聞かれる 「ウチの監督、大丈夫?」の声

 監督の力量、つまり、名将か否かがはっきりとファンに伝わる『ルール変更』となりそうだ。

 来季から、審判が下した判定に異議がある場合、ビデオ映像による「リプレー検証」を求められるようにルール変更された。すでにコリジョンルールの導入に伴い、本塁でのクロスプレー、二塁ベース上で併殺プレーを阻止するための危険なスライディング、本塁打かどうかを確認するためのリプレー検証は行われてきたが、来季からはもっと“細かく”なる。メジャーリーグに倣い、打者走者が一塁ベースを駆け抜けたときのアウトかセーフか、自打球の確認はもちろん、それこそ、ストライク、ボールの判定にもリプレー検証を要求することができるようになる。

 ただし、その検証要求は両チームとも「1試合2回まで」、判定が覆った場合はカウントされない。また、延長戦に突入した場合は“リセット”となる。メジャーリーグでは「チャレンジ」と呼ばれる同制度は、NPBでは「リクエスト」という名称になる。

 このリクエスト制度の導入は、監督の力量を晒し出すことにもなりそうだ。

「混乱は起きないと思います。第4回WBCでもチャレンジ制度が使われ、日本でも本塁突入時のアウト、セーフを巡るリプレー検証は何度も行われてきましたので」(在京球団スタッフ)

 直近の例を挙げれば、日本シリーズ第2戦、ホークス1点ビハインドで迎えた7回裏二死満塁の場面で適時打が出た。二塁走者が本塁に突入した際、工藤公康監督がリプレー検証を要求し、判定は「セーフ」に覆っている。このリプレー検証が短期決戦の流れを変えたことは言うまでもないだろう。

 この日本シリーズでのリプレー検証を指して、こんな声も聞かれた。

「審判団がビデオ検証を終え、セーフをコールしたとき、工藤監督はガッツポーズを取りました。セーフの確信があったのではなく、工藤監督はリプレー検証に持ち込むことに目的があったと見るべきでしょう」(プロ野球解説者)

 リプレー検証に持ち込むことが目的…。つまり、試合は中断する。判定通り、「アウト」だったら、守備に着いていたベイスターズナインは「同点は許したが、逆転は阻止した。さあ、これから」と士気が高まっただろう。しかし、審判団が検証ビデオを入っている間、彼らはグラウンドで待っていなければならない。その僅か数分の「間」が士気を奪ったというのだ。

 工藤監督の手腕、試合主導権を握るためのインサイドワークだ。来季から、「リクエスト」の使い方が巧い監督が試合を有利に進めることになる。

「試合展開の読めない監督は、単に判定に不服があるときにしか『リクエスト』を使わないでしょう。しかし、試合の流れを止める、流れを変えるために使う監督も出てきますよ」(前出・同)

 早くも、この制度に不的確な指揮官も予想されている。熱くなるタイプの阪神・金本知憲監督、優柔不断な一面も持つ巨人・高橋由伸監督、指揮官一年生のロッテ・井口資仁監督などがそうだ。一般論として、プロ野球監督の「抗議」には二種類がある。一つは本当に判定に対する不服で、もう一つは味方選手を鼓舞するための演技。今後、後者が「リクエスト制度」に変わるわけだ。

 巨人・高橋、阪神・金本両監督のプライベートを知るプロ野球OBがこんな話をしてくれた。

「高橋監督は一緒に食事にいくと、注文をなかなか決められない。散々悩んで、最後は『任せるよ』と後輩にメニュー表を渡します。金本監督は飲み始めると、ずっと同じ話をしています。現役時代、試合で打てないと、翌日も怖い顔をして球場入りしていた」

 新制度導入で大きな影響は出ないとの声のほうが多いが、チーム内にはありそうだ。指揮官の求心力にも影響しかねない。際どいタイミングの度に、「ウチの監督、大丈夫?」の目線を向けられなければいいのだが…。

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