■繰り返された監督の交代
今季と同じく降格危機の中、辛くも最終節で残留を決めた昨シーズン終了後、新監督の候補が数名挙がったものの、およそ1か月もの間、決定の発表がなかった。その間、次シーズンの巻き返しを図るべく行われた秋季練習は、本来指揮を執る筈の新監督ではなく、コーチのみで行われている。12月にようやく三浦文丈氏の就任に至ったものの、J3クラブからの「昇格」とあって、手腕を疑問視する声も少なくなかった。
その三浦氏が1勝しかできず、10試合を終え事実上の解任。後任となった呂比須ワグナー現監督も日本での指導経験はほとんどなく、能力未知数の指揮官でのリスタートとなる。結局、その呂比須監督も夏を過ぎるまで立て直せず、ここにきて4試合負けなしと結果を残しつつあるものの、すでに降格は目の前に迫っていた。
■ブラジル人に頼り続けたこれまで
2年連続での監督途中交代となり、戦術の積み上げが皆無の中、頼みであるはずの個の力も不十分のシーズンだった。
長年、新潟の伝統として他クラブの脅威となりつづけたブラジル人助っ人も、今季登録された4人は全員が新入団であり、低迷打破の原動力にはなり切れなかった。開幕から現在までレギュラーとして出場しているのは、スピードはあるが迫力不足のMFホニただ一人。途中入団のドウグラスタンキは、期待された決定力を発揮できずにベンチ要員となっている。他2人のブラジル人はシーズン半ばでクラブを去った。
昨年まで所属し、現在では他クラブの主力として活躍しているレオシルバやラファエルシルバといった優良外国人に「支えられっぱなし」だったといっても良い新潟、その生命線が途絶えてしまった今季、それまでのツケが一気に結果として現れ、訪れてしまった悲劇的な結末。
定まらなかった戦術、ブラジル人に頼りすぎていたクラブのスタンス。もちろん低迷の要因は他にもある。来年J2という過酷なリーグを戦うにあたり、戦力補強に関しても資金力に乏しく地理的にも不利と言われるローカルクラブ・アルビレックス新潟は、一年での復帰に向けてなりふり構わず進んでいかなければならない。
ただし、間違いを繰り返すようであれば、更なる悲劇を迎える可能性もある。転落はJ2だけに留まるとは限らないだろう。
(佐藤文孝)