「金本(知憲=49)監督と話しがしたい。できるだけ早く…」
直接会談の目的は、金本監督の野球観を知るためだという。しかし、新社長・揚塩氏は「現場の言いなり」になるつもりはない。現場の要望をこれまで聞き入れてきた分、フロントが奮闘していることを訴えるようだ。
「金本監督は秋季キャンプで、江越(大賀=24)をスイッチヒッターに改造しています。江越は右の大砲候補。金本監督は生え抜きの大砲を育てると言っておきながら、その候補者から長所を奪うようなことをしています。金本監督の狙いをきちんと聞いておきたいというのが、新社長の目的でしょう」(在阪記者)
パワータイプ、打球の飛距離がウリである右バッターに左打ちの練習を強要…。スイッチヒッター、出塁の高いリードオフマンのタイプなら、他にいるはず。素人目にはその狙いはまったく分からない。
「昨年の秋季キャンプでは、大和をやはりスイッチヒッターに改造しています。その大和はFA宣言の権利を行使し、退団は時間の問題と見られています」(前出・同)
金本監督は今季、優勝に届かなかった敗因として、外国人バッターが機能しなかった点を挙げていた。助っ人の調査獲得はフロントの仕事だ。こうした“間接的なフロント批判”に対し、新社長は反論の材料を得ているという。
「主催ゲームの観客動員数は303万4626人。12球団トップです。2位巨人に7万人以上も引き離しており、日本一になったソフトバンクよりも観客を集めました。阪神フロントは甲子園球場をリニューアルし、また、新グッズを手掛けるなど営業努力を続けてきました。これは他球団も認めています」(球界関係者)
現場の健闘もあってこそ。しかし、フロントは怪我防止のための最新測定マシンの導入も決めており、和田豊元監督など数名をその研修に行かせている。「フロントの努力を認めてくれ」と主張したとしても、反論できないはずだ。
「金本監督は新助っ人の調査獲得の遅れに苛立っている」との声も聞かれたが、新社長に花を持たせたほうが今後のためと見る向きも多く聞かれた。
「観客動員数が12球団トップになるとの声は、9月下旬から出ていました。ペナントレースも昨季の4位から2位に躍進し、チーム全体にこの結果に満足しているような空気が流れ出し、一部OBからは、クライマックスシリーズで3位DeNAに敗れたのは、気の緩みとの指摘も聞かれました。こういう油断が、自分にも厳しい金本監督には許せないんでしょうね」(プロ野球解説者)
ある関係者によれば、金本監督は怒って目が覚める日もあるという。選手、フロント、不甲斐ないプレー、怒りの原因は日々さまざまだそうだ。
新社長は球団事務所を訪ねた後、一部メディアに囲まれ、金本監督との会談を要請したことを認めていた。その際、「コーヒーとお菓子というわけにはいかないでしょう」とも答えていたそうだ。
金本監督は酒豪でもある。芋焼酎のある銘柄がお気に入りで、飲み始めたら、止まらなくなるそうだ。新社長も嫌いではないらしいが、酒席での議論は上手くいくか、ケンカになるかのどちらかだ。フロントを含め、チーム一丸の態勢を整えるには、どちらかがオトナの対応を見せるしかない。