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『恋愛ニート』前作の配役を深化させた仲間由紀恵と佐々木蔵之介

 TBS系ドラマ『恋愛ニート〜忘れた恋のはじめ方』が、1月27日に第2話「エア恋愛のススメ」を放送した。異性との恋愛を諦めている「恋愛ニート」男女6人のラブコメディである。主演の仲間由紀恵と相手役の佐々木蔵之介が前回の出演ドラマの配役と重なりながらも深化させた役どころを演じている。

 仲間が演じる木下凛は仕事熱心な出版社の営業である。事故で他界した両親に代わって弟妹の面倒も見ている。仕事にも弟妹の面倒にも張り切り、「恋愛する時間がない」と言い切る32歳で、彼氏いない歴8年目になる。若い男女が夢中になる恋愛話もバカバカしいと感じており、心の中で辛辣なツッコミを入れている。

 これは2011年放送のNHK BS時代劇『テンペスト』で仲間が主演した真鶴(孫寧温、孫夫人)と同じである。学問を修め、政治意識の高い真鶴にとって琉球王国の後宮・御内原の女達の関心事や争いはバカバカしいものであった。真鶴は心の中で鋭いツッコミを入れていた。
 女性が学問や政治から遠ざけられた時代に真鶴は男装して学問や政治に関与する。真鶴にとって女性であることは自らの可能性を閉ざすもので、朝倉雅博(谷原章介)への恋心など女性性を抑圧する。これは仕事や弟妹への責任感から恋愛を否定する木下凛と重なる。仲間のような美人が恋愛ニートである設定は現実感が乏しいものの、『テンペスト』からの流れではなるほどと思わせる。
 一方で聡明で琉球王国に降りかかる難題を次々と解決する真鶴に比べると、凛は張り切り過ぎる割には結果が伴わない。仕事では大失敗し、弟妹ともすれ違う。自業自得の感もあって主人公に感情移入が難しかったが、第2話ではムキになって張り合う子どもっぽい性格が明らかになり、コメディのキャラクターとして磨きがかかった。

 2クール連続でのドラマ出演となった佐々木蔵之介が演じる松本直哉は人気の開業歯科医で、収入も名声もある人物である。凛とのデートで高級レストランに招待するなどステレオタイプなモテる男性を演じている。これは前クールの『僕とスターの99日』で佐々木が演じたトップ俳優・高鍋大和に重なる。大和が小学生時代は太っていたという秘密の過去を持つ点も、地方出身で無理して都会風を装っている直哉に似ている。芝居かかった佐々木の演技は『僕とスターの99日』と重ねると面白味が増す。
 一方で韓国のスター女優ハン・ユナ(キム・テヒ)にベタ惚れであった大和に対し、直哉はデート中に嫌味を言う凛に嫌味を返している。愛し合う前に二人が反発して火花を散らす展開はラブコメの定番である。現時点では凛の唇を奪った槙野駿平(永山絢斗)に一歩リードされているが、凛と直哉の成長に注目する。

(林田力)

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