その場所とは、大田黒公園(東京都杉並区)である。公園の入り口の門をくぐると、大イチョウの並木道がつづく。音楽評論家・大田黒元雄氏(1893-1979)の屋敷跡地で、区内初の回遊式日本庭園だ。
大田黒公園は、閑静な住宅街の中にあった。到着した午後6時過ぎには、すでに夜のとばりがおりていた。並木道も、足もとはライトで照らされているが、離れた場所は薄暗い。
大田黒公園を管理する杉並区みどり公園課に問い合わせをしてみると、紅葉ライトアップは11月26日から12月5日まで、時間は夕方5時ごろから午後8時まで(入園は7時45分まで)。ライトアップ期間が終わると、通常どおりの午後5時で公園は閉まってしまうそうだ。担当者によると、多くの見物者でにぎわっているという。その中にデートをするカップルもいるのかを聞いてみたが、来園者の調査まではしていないとの答え。
並木道を過ぎると、一面の紅葉が照らされていた。真上では、赤や黄色に色づいた先に夜空が広がり、奥の方では水の気配もする。
園内を見渡すと、小さな子どもを連れた家族や、女性どうしの見物客が多かった。特に、橋を渡って池のほとりに出るコースが人気で、多くの人が、湖面に写された紅葉に見入っていた。
公園を一周すると、大田黒元雄氏の屋敷跡があった。その奥に、広場のような場所がある。ライトアップはされておらず、木々に覆われて薄暗いままであった。行ってみると、ベンチがあった。人はいない。しかし、手のひらを当てると、少し前まで誰かが座っていたぬくもりが残っていた。ここが、うわさのデートスポットなのであろうか。
今回の調査では実態まではつかめなかったが、いずれにせよ、街が華やかに彩られる季節、多くの場所で、恋人たちが愛を語り合うことであろう。