クルーズは今季主に二塁を守り、133試合に出場。打率は.255と低かったものの、16本塁打、73打点で勝負強さを発揮。守っては堅い守備で、ゴールデングラブ賞を受賞した。2年在籍したロッテとは条件面で折り合わず、退団していた。メジャーでも三塁、遊撃を守った経験があり、本人はポジションにはこだわらない意向だという。
そこで、問題になってくるのが西武からFA権を行使して、古巣・巨人に復帰したばかりの脇谷亮太内野手との兼ね合いだ。脇谷もクルーズ同様、内野ならどのポジションもこなせるユーティリティプレーヤー。脇谷は引退した井端弘和(コーチに就任)の“穴埋め”として補強したが、「その上、なぜクルーズまで獲得する必要があるの?」との疑問が生じる。同じ内野手の脇谷、クルーズのダブル獲得は何を意味するのか?
「ズバリ、外様である三塁手の村田修一、二塁手の片岡治大への刺激剤です。2人とも今季は絶不調で規定打席にすら到達できませんでした。その分、大ベテランの井端がカバーしましたが、引退したため、井端に取って代わるような選手が必要。その点で、どこでも守れるクルーズは打ってつけの存在。これで、村田も片岡も来季のレギュラーは保障されません。スタメンから外される機会も増えるでしょう。一方、脇谷はあくまでもバックアップ要員で、左の代打としての活躍も期待されます。クルーズと脇谷では、求められる役どころが違います」(某スポーツ紙記者)
村田も片岡も、FAで巨人に移籍した外様組だが、レギュラーの有力候補であるクルーズが加入したことで、完全に尻に火がついた格好。来季も今季のようなぶざまな成績が続くようなら、それこそ“用済み”にされかねないだろう。
(落合一郎)