ルックス、歌、ダンスともにハイレベルな松下の所属先は、エピックレコーズ。ここは最近筋肉ムキムキになってしまったクリスタル・ケイとかおしゃれでカッコいい感じのアーティストが多く所属している。松下もミュージカル「黒執事」こそアイドルっぽいが、歌の上手さやダンスのキレの良さは玄人(?)好み。スキルの高さはぶっちゃけ韓流アイドルのようだ。けれど鍛えすぎない華奢な体が日本人アイドルらしい。
しかし、ヒットチャートを多少賑わすものの、松下優也のブレイクぶりは小規模。彼をゴールデン・タイムの地上波テレビで見る事はほとんど無い。この手のタイプ(可愛くて歌やダンスの上手い男の子)は、今日本で一番売り出すのが難しい芸能人だとも言われる。それはひとえに日本中の“美少年”を一手に抱えるアノ某巨大事務所が、多くのテレビ番組に絡んでいるから。大人の事情でルックスが被り、歌やダンスの実力が“段違い”に上手い松下は、某巨大事務所のアイドルとなかなか同じ画面に納まれない。過去クリスタル・ケイが同事務所所属の一番人気アイドルとコンサートでコラボしたが、女性はよくても、男性はダメ。ピンでもグループでもとにかくキャラが被ればブッキングできない事になる。そしてそれが知らず知らずに、ダンスや歌の実力は高いライバルを消し、テレビ的にウケる同事務所の男性アイドルを好ませるように視聴者に仕向けている。また、彼らと絡めるお笑いタレントや音楽バンド、畑違いのタレントは逆に“引き立て役”として重宝がられる。
とにかくヒップホップの基本をばっちり抑えていて、家族の反対を押し切り中学三年の時からNYへ単身渡米し本場のゴスペルやソウル・ミュージック、ダンスに触れ勉強している松下優也。お世辞ではなく見た目の華やかさは某巨大事務所のアイドルにまったく引けをとらない。しかし全国的に(特に東京)で悲しいほど知名度が低い。記者が思うに、もっと評価されていいアイドルだ。いくら落ちぶれても、「地上波テレビ」と某巨大事務所の蜜月が続く限り、日本の芸能界のこの歪んだ現象はずっと続くのであろうか。(コアラみどり)