初対戦が決まった時から「蝶野選手から直接勝利して彼を虎にしたい」と画策していた初代虎は、この日のメーンで長州力&ウルティモ・ドラゴンと組み、蝶野&関本大介&ザ・グレート・サスケ組と対戦。黒いカリスマとの初遭遇はゴング直後にすぐ訪れた。
先手を取ったのは初代虎だ。公称92キロというが、優に100キロは超えるであろうド迫力ボディーから放たれる蹴りのオンパレード。重厚なミドルキックの連打に、十八番のローリングソバットがうなりをあげる。見る見るうちに黒いカリスマの胸板も真っ赤。たまらず蝶野も一時場外に退避するほどだ。
ファーストコンタクトで蝶野を圧倒。その勢いはホンモノだった。蝶野からSTFで絞められ、関本からアルゼンチンバックブリーカ―で担がれようとも、難なくエスケープしてピンチを回避。今度は逆にサスケにツームストンパイルドライバーを決めて形勢逆転し、そのまま最後は14分2秒にジャパニーズレッグローリングクラッチで3カウントを奪う圧勝劇だ。
試合後は「オーラも人気も抜群」と蝶野を絶賛。戦前の目論見通り「直接勝利」とはならなかったが、黒いカリスマと初遭遇を果たし、初代虎の中ではより一層蝶野を配下にし「彼を虎にしたい」という願望が強くなったようだ。
蝶野を虎にすることにこだわるのも無理ない。ここ数日でプロレス界を取り巻く環境が変わった。昨年12月に2代目タイガーマスクの三沢光晴さんと夢の初対決したが、その三沢さんが13日にこの世を去ったこともあり、初代虎は「プロレス界はかけがえのない1本の柱を失った」と未来のプロレス界を危惧している。
そんなことから「2代目亡きいま蝶野選手には5代目タイガーかチョーノタイガー、もしくはヘビー級版ブラックタイガーとして覚醒してもらわなければ…」と鼻息が荒いのだ。
黒いカリスマとの初遭遇を終えた初代虎。「蝶野選手とこれで終わりにしないためにも、やはり彼には虎の遺伝子を注入しなければいけない。きょうは直接勝利できなかったので彼を手懐けるまでにはいきませんでしたが、近日中に勧誘しようと思ってる」。プロレス界活性化の次なる一手を打つためにも蝶野虎化計画を遂行する。