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マンションのセキュリティーが進み過ぎて別の問題が発生中

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提供:週刊実話

 セキュリティーの面で安心を謳うタワーマンションだが、不審者が侵入する事件はゼロではない。某マンションの防犯カメラ映像から判明した手口はこうだ。

 深夜、不審者Aは、普段あまり人の出入りがない自動ドアのサブエントランスから侵入し、集合郵便受けに向かった。ダイヤル錠が掛かっているはずの箱の扉を、掛け忘れて開くところがあるか全部チェックしたところ、オートロックを過信してか、面倒だったのか、ダイヤル錠を掛けていない住民がかなりあった。そして、その中から自宅のカギが入っていた2軒のものを盗み出した――。

 「郵便受けをカギの受け渡しに使うことはままあることなのです。今回、防犯カメラに顔は写っていましたが、住民の誰もが知らず、警察に届けたものの侵入者の身元は分かっていません。カギを盗まれた家庭はというと、自宅に入られる前に気付いたのでカギを取り換えたのですが、これで一件落着とはいきませんでした。自宅のカギはオートロックの入り口用も兼ねているので、盗んだカギを持つ不審者はいつでも共用部分に堂々と侵入できるからです。全部取り換えるわけにはいかず、住民も管理会社も頭を抱えているということです」(防犯ジャーナリスト)

 高齢化・認知症社会になって、カギのトラブルも多発している。例えば家族が外出中に、残った認知症の家族がドアチェーンを掛けてしまったが、その外し方が分からなくなって外出から戻った家族が内に入れない。そこで外からチェーンを切断してようやく中に入ったというケースだ。この場合、カギを盗まれるより大問題となる。

 このようなさまざまな問題が浮上しているが、部外者や侵入者に対するマンションのセキュリティー対策は急速に進歩している。サムターン回しを防ぐ玄関ロックや防犯ガラスの導入、メインエントランスに加えて、エレベータホールや各フロアにもオートロックを設けるダブルオートロックシステムなどだ。そのオートロックも指紋認証や虹彩認証(人の瞳)と高度化している。

 また最近では、警備会社と提携して、留守中の異変や居住者からの通報時に急行するシステムの導入が増えてきている。複数の管理スタッフによる24時間常駐管理も中規模マンションでは当たり前になりつつある。

 もはや不審者・犯罪者の類いは、こうした高セキュリティーマンションに近づくことすらできない。ただ、ここまで来ると別の問題が出てくる。

 「不審者を寄せ付けない高度なセキュリティーは、普通の来訪者にとっては非常にめんどくさい。友人に会うまでに二重、三重のセキュリティーゲートがあるのでは、だんだんと訪ねるのがおっくうになってくるのです。さらに高レベルセキュリティーが徹底すると、マンション内のコミュニティーにも支障が出てきます。階が違えばいちいちカギを持って出なければならないから、サンダル引っ掛けて、ちょっと階下に茶飲み話でもといった、マンション内での気楽な近所付き合いすら難しくなってくるのです」(住宅ライター)

 長屋暮らしのような気楽さと「安全」「安心」の両立は難しい。

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